ポートピア連続殺人事件
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ジャンル | アドベンチャーゲーム |
対応機種 | PC-6001 PC-8801 FM-7 X1 MSX ファミリーコンピュータ 携帯アプリ |
開発元 | エニックス |
発売元 | エニックス |
人数 | 1人 |
メディア | [PC各種]カセットテープ [FC]カセット [携帯]アプリ |
発売日 | [PC各種]1983年 [FC]1985年11月29日 [携帯]2001年 2005年1月13日 |
『ポートピア連続殺人事件』(ぽーとぴあれんぞくさつじんじけん)は、堀井雄二がデザインしたアドベンチャーゲーム。当時のゲーム業界は個人による開発が主流で分業がほとんどされておらず、本作もオリジナル版のプログラム・シナリオ・グラフィック等の全ての作業を堀井が一人でこなしている(移植版は除く)。
1983年にエニックスより発売され、当時の多くの家庭用パソコンに移植された。1985年11月29日にファミコン移植版が発売され、ファミコン初のアドベンチャーゲームとなった。
目次 |
[編集] 作品解説
パソコン版とファミコン版では若干ストーリーも異なる他、ファミコン版には地下迷宮が追加されている(なお、この迷宮は『ウィザードリィ』へのオマージュであると思われる。有名な落書き「もんすたあ さぷらいずど ゆう」は英語版ウィザードリィでモンスターの奇襲に遭った場合のメッセージ)。パソコン各版の間では、ストーリーはほぼ同じであるが、ゲーム途中に出てくる暗号は機種毎に異なり、その難易度には明らかに差があった。
堀井雄二がシナリオを担当したアドベンチャーゲーム『軽井沢誘拐案内』『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』と本作を合わせて「堀井ミステリー三部作」とも呼ばれた。
機種版によっては犯人さえ知っていれば途中の捜査を完全に飛ばしてしまってもゲームをクリアできる。しかし、その場合ゲームをクリアしても、犯人の動機や犯行に至るまでのドラマまでをも飛ばしてしまうことになる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
黒い噂の絶えない金融会社、「ローンヤマキン」の社長山川耕造がある日突然に自殺する。その死に不審感を抱いた主人公は、他殺の可能性を調べようとするが、耕造の発見された部屋は完全な密室であった。果たして本当に自殺なのであろうか・・・。
[編集] システム
当時のアドベンチャーゲームというジャンルに従って、スクロールなどは原則行わず、文章入力型の対話式が採用されたが、ファミコン版では文章入力が困難であったため、コマンド選択方式が採用された。ここで採用したコマンド選択方式は、後に『ドラゴンクエスト』にも生かされるが、これはそもそも堀井と中村光一が、「パソコンで流行っているRPGをファミコンにも浸透させるにはどうしたらいいか。まずこのゲームでコマンド入力に慣れてもらおう」という狙いがあった。当ゲームのファミコン移植が検討された時点から『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』まで作る構想はかたまっていた。
[編集] キャラクター
- ボス - プレイヤーが操るキャラクター。
- 間野康彦 - 通称「ヤス」。ボスの部下であり、捜査上のパートナー。彼がボス(プレイヤー)に語りかけ、ボスの命令で動く形式でゲームが進行する。
- 署長
- 山川耕造 - この事件の被害者。多くの人の恨みを買っていたローンヤマキンの社長。
- 沢木文江 - 耕造の秘書。耕造の死体の第一発見者でもある。
- 小宮六助 - 耕造に雇われている守衛。文江と共に耕造の死体を発見している。
- 事件現場はファミコン版が一戸建て住宅、PC版がマンションの一室という差異がある。そのため小宮はPC版ではマンション管理人という設定になっている。
- 山川俊之 - 耕造の甥。現在でいうニート。
- 平田 - 商店経営。耕造に多額の借金を抱えている。
- 平田由貴子 - 平田の娘。俊之とは知り合い。PC版では登場しない。
- 川村 - 生前の耕造とは昔からの知り合いだが、揉めていた。手形詐欺の常習犯で前科6犯。
- 夕日おこい - 新劇シルバーに勤めるストリッパー。川村の知り合い。
- 文江の兄 - 行方不明になっている。
- 寺田屋旅館の女将
- スナックぱるのマスター
- リカちゃん - 電話番号を「0000000000」と入力すると、現れる。PC版では登場しない。iアプリ版では「リガちゃん」に変えられている。
- 通信司令室 - 電話番号を「110」と入れると「デカが110番回してどないするんじゃ!」と怒られる。
[編集] ゲーム中に登場する地名
- 花隈町:第1の事件現場であるが、パソコン版では特定の地名はなく、単に「現場付近」とされた。
- 新開地
- 神戸港(中突堤):洲本行きの高速船がある(発売当時、明石海峡大橋は起工していなかった)。
- 京都
- 阿弥陀ヶ峰
- 洲本市:ちなみにパソコン版で「アワジ イケ」と入力すると、「アワジト イッテモ ナカナカ ヒロオマスガ・・」と返ってくる。
[編集] その他
- パソコン版では文章入力方式であり、新開地に進みたければ「シンカイチ イケ」のようにコマンドを打つのであるが、特定の機種版では、方言対応と銘打って「シンカイチ イクンダヨ」のように入力しても反応できる仕様となっていたが、「シンカイチ イクナ」と入力しても新開地に行ってしまうような代物であった。
- 当時このゲームが流行していた世代に育った子供は、このゲームを一度もやったことが無くても犯人の名前を知っている。それぐらい、犯人の名前は流通していた。
- ビートたけしがゲームに興味を持ち始めた頃、ラジオ番組『オールナイトニッポン』の中でこのゲームをプレイしていたとき「犯人、こいつじゃねぇのか?」と偶然言い当ててしまったのが電波に乗ってしまい、周囲で見ていたたけし軍団が大慌てした。また、たけしはこのゲームが気に入っていたのか、テレビ番組『オレたちひょうきん族』内で、女優の「分からないわ・・・」という台詞に対し、「あれでしょ? ポートピア連続殺人事件。地下の迷路が難しいんだよ」とボケていた。
- ファミコン版ソフトの箱とソフトのラベルに描かれている男女の絵と物語の関連性が当時話題になった。
- 登場人物の一人である沢木文江は、後に同じエニックスの続編『軽井沢誘拐案内』にも登場する。
- 音楽が一切無い。ファミコン版で出て来る音響は冒頭などのサイレンの音、電話の音、ドアなどを閉める音、コマンド入力音、台詞の文字が流れる音くらいのものである。逆にこれが恐怖を煽る演出として効果的である場面が多く出て来る。
[編集] 関連項目
- 神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア'81)