マイク・スコット
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マイク・スコット(Michael Warren Scott , 1955年4月26日 - )は1980年代に活躍したアメリカ合衆国の野球選手。右投げ右打ちの投手で、特にそのスプリットフィンガード・ファストボールで名高い。実働13年のプロ生活で、通算124勝108敗、1469奪三振、防御率3.54の成績を残している。
カリフォルニア州サンタモニカに生まれ、1976年にニューヨーク・メッツからドラフト2順目で指名されプロ入りした。1979年4月18日にメジャーリーグデビューを果たすが、メッツ時代には目ぼしい成績をあげられず、1983年にダニー・ヒープとのトレードでヒューストン・アストロズに移籍。
1985年にロジャー・クレイグよりスプリットフィンガード・ファストボールを習い、これをきっかけに急速にその才能を開花させる。同年、浮き上がる速球と落差の大きいスプリットフィンガーのコンビネーションを武器に、チーム最多の18勝を記録。翌1986年にはリーグ最優秀防御率(2.22)とリーグ最多奪三振(306)の二冠を達成し、サイ・ヤング賞を受賞した。ナショナルリーグで右投手がシーズン300奪三振を記録したのは、近代野球ではJ・R・リチャードにつづき2人目の快挙だった。また、この年の9月25日には恩人ロジャー・クレイグ率いるサンフランシスコ・ジャイアンツ相手にノーヒッターを達成している。スコットはこの活躍によりアストロズのリーグ優勝にも大きく貢献し、チャンピオンシップ・シリーズでも2試合に登板して2勝0敗(1完封)、防御率0.50の好成績をおさめている(ただしアストロズは2勝4敗でメッツに敗れ、ワールド・シリーズ出場はならなかった)。
1989年には20勝をあげリーグ最多勝に輝いたが、1990年に故障し、翌年引退した(スコットの引退で、彼の代名詞ともいえるスプリットフィンガード・ファーストボールが『デス・ピッチ』と言われるようになり、使い手が少なくなったとも言われる)。1987年にはスカッフボール(ボールに傷をつけて変化を増す不正投球)の疑惑がもたれたこともあったが、これについてスコット自身は肯定も否定もしなかったという。彼の背番号『33』は、引退した翌1992年にアストロズの永久欠番に指定された。
日本のゲームメーカー、ナムコが1987年に発売した野球ゲーム「プロ野球ファミリースタジアム'87 」に登場する「すこつと」は、スコットをモデルにしている。本家同様、驚異的な落差のフォークボールを投げる。