三振
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三振（さんしん）とは、野球、ソフトボールにおいて打者が投手からストライクを3つ取られること、またそのときの記録である。英語ではStrike Out（略記SO）といい、スコアブックではKと記す。
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[編集] 概要
2ストライク後、次のような場合に三振が記録される。記録の上で状況による区別はない。三振となった投球を捕手が正規に捕球するか、規則により打者が走者となれない場合、打者はアウトになる。
- 打者がバットを振ったが、空振りだった場合。（空振り三振と呼ばれる）
- ファウルチップだった場合。
- 打者が打とうとしなかった投球がノーバウンドでストライクゾーンを通過した場合。（見逃し三振と呼ばれる）
- バントをした打球がファウルボールになった場合。（スリーバント失敗と呼ばれる）
※三振にもかかわらず打者が走者となって一塁に進むことが出来る規則については振り逃げの節でも説明するが、詳細は振り逃げの項目も参照のこと。
[編集] 三振
三振 は、打者が上記の要件を満たすことにより、打者に与えられる記録である。
- 三振は打者が狙いを外されたために起こるものであり、打者にとって屈辱的な記録の1つであるという考え方が長らく一般的であったが、近年は思い切りの良い打撃の裏返しであり打者の個性であると好意的に見られることもある。以前は三振の多い打者は「大型扇風機」などと揶揄されていたが、近年では「ブンブン丸」などニックネームが付けられることもある。三振が好意的に見られる傾向は打線の中軸を担う打者に対するものが多いが、このような打者はしばしば試合の大事な場面で決勝打を放つなどチームに貢献している選手であり、三振などの少々の失敗には目をつぶるという割り切った考え方に起因している。
- 三振で打者がアウトになった直後に塁上の走者が盗塁に失敗、または離塁が大きかったために触球されてアウトになることを、俗に「三振ゲッツー（三振併殺）」という。この場合、打者には三振が記録されるが併殺打は記録されない。
- 打席の途中で代打があり、1回の打席で複数の打者が出てきて最終的に三振に終わった場合は、第2ストライクが記録された時に打席に立っていた打者に三振が記録される。
[編集] 奪三振
奪三振（だつさんしん）は、投手が打者を三振に仕留めることで、投手に与えられる記録である。
上記の要領で打者に三振が記録されると同時に、投手には奪三振が記録される。対戦打者の三振と対戦投手の奪三振は必ず同数になる。
- 1イニングが3アウトで終了することから、1イニングで記録できる奪三振は3個が基本的な上限である。しかし、振り逃げが成功した場合、奪三振は記録されるが、アウトカウントは増加しない。振り逃げは条件さえ整っていれば1イニングに何度でも行うことが可能であるので、理論上は1イニングで何個でも奪三振が記録できることになる。
- 投手にとって三振を取ることは、打者の狙いを完全に外すことであり、投手対打者の対戦において投手の完勝と言える。特に奪三振の多い投手はドクターKなどと呼ばれ、強打者との対戦がクローズアップされるなど注目度が高い。
- 1人の打者との対決の途中に投手が交代し、最終的にその打者が三振した場合は、第3ストライクを取った投手に奪三振1が記録される。よって「奪三振1を記録するために必要な最少投球数」は「1球」ということになる。
[編集] 奪三振率
奪三振率とは投手が1試合(9イニング)完投したと仮定した場合の平均奪三振数である。すなわち次の式により求められる。
- 奪三振率＝奪三振数÷投球回×9
この値は投手のタイプの指標となり少なければ打たせて取る投手、高ければ三振を取る投手と認識される。
三振はアウトカウントを増やす手段としてはランナーを増やすリスクが少ないため、リリーフ投手ではこの値が重視される傾向にあり、おおむね9以上で優秀とされる。
[編集] 振り逃げ
無死または一死で一塁に走者がいる場合を除き、第3ストライクにあたる投球を捕手が正規に捕球しなかった場合、打者は打者走者となり一塁にフォースの状態となる。これを振り逃げといい、打者をアウトにするためには、野手は打者または一塁に触球しなければならない。それまでに打者が一塁に到達すれば、打者は走者となって一塁に生きることが出来る。ただし、振り逃げによる一塁出塁の成否に関わらず、打者には三振が記録される（これにより、1イニングに4つ以上の三振が記録される場合がありうる）。
[編集] なぜ'K'か?
スコアブック上で三振をKと表記する理由は諸説あり、「Strike Out」のKを採ったとする説が最も有力である。これは、頭文字の「S」や「SO」をそのまま表記してしまうと、「Sacrifice（犠打）」や「Steal（盗塁）」、「StealOut（盗塁死）」と被ってしまうからだと言われる。他に、ルールブック編集者がアウトにする方法を適当に箇条書きした上で、アルファベットを一文字づつ振っていき、その結果、偶然にも三振のところに「K」が振られたのが、「三振＝K」の理由とする説もある。
[編集] 備考
高校野球では、見逃し三振は嫌われる。高野連会長が春・夏の甲子園大会の閉会式における講評の中で、「残念なのは、未だに見逃し三振が非常に多いことです」とほぼ毎年・毎回のように語っている。
[編集] 日本プロ野球
[編集] 三振に関する記録
[編集] 通算記録
記録は2006年シーズン終了時点
| 順位 | 名前 | 三振 | 順位 | 名前 | 三振 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | *清原和博 | 1944 | 11 | 王貞治 | 1319 |
| 2 | 秋山幸二 | 1712 | 12 | 宇野勝 | 1306 |
| 3 | 衣笠祥雄 | 1587 | 13 | *タフィ・ローズ | 1289 |
| 4 | 広澤克実 | 1529 | 14 | 山崎裕之 | 1267 |
| 5 | 門田博光 | 1520 | 15 | *堀幸一 | 1206 |
| 6 | 野村克也 | 1478 | 16 | 有藤道世 | 1204 |
| 7 | 大島康徳 | 1462 | 17 | ラルフ・ブライアント | 1186 |
| 8 | 池山隆寛 | 1440 | 18 | 藤井康雄 | 1152 |
| 9 | *田中幸雄 | 1388 | 19 | 落合博満 | 1135 |
| 10 | *谷繁元信 | 1332 | 20 | 石毛宏典 | 1127 |
- ※ *は現役選手
[編集] シーズン記録
| 順位 | 名前 | 所属 | 三振 | 記録年 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ラルフ・ブライアント | 近鉄バファローズ | 204 | 1993 |
| 2 | ラルフ・ブライアント | 近鉄バファローズ | 198 | 1990 |
| 3 | ラルフ・ブライアント | 近鉄バファローズ | 187 | 1989 |
| 4 | ラルフ・ブライアント | 近鉄バファローズ | 176 | 1992 |
| 5 | 岩村明憲 | ヤクルトスワローズ | 173 | 2004 |
| 6 | オレステス・デストラーデ | 西武ライオンズ | 165 | 1990 |
| 7 | ボビー・ミッチェル | 日本ハムファイターズ | 158 | 1977 |
| 8 | スコット・シェルドン | オリックス・ブルーウェーブ | 155 | 2002 |
| 9 | ラルフ・ブライアント | 近鉄バファローズ | 153 | 1994 |
| 村田修一 | 横浜ベイスターズ | 2006 |
[編集] その他の記録
- 連続三振
- 連続打数ではラルフ・ブライアント 14打数
- 1試合最多三振
5三振
- 1イニング最多三振
- 真田重蔵
- 穴吹義男
- 備前善夫
- 後藤修
- 鈴木隆
- 河津憲一
- 石井茂雄
- 菱川章
- 森昌彦
- 梅田邦三
- 辻恭彦
- 清水透
- 金村義明
- クリス・ナイマン
- 荒木大輔
- 真弓明信
- 中尾孝義
- 酒井忠晴
- 佐々岡真司
- 石井一久
- 橋本清
- 大豊泰昭
- ラルフ・ブライアント
- 平尾博嗣
- 斎藤隆
- 緒方孝市
- ネイサン・ミンチー
- 野口寿浩
- 的山哲也
- 小宮山悟
- 高山久
- 高橋建
- ジョージ・アリアス
- 後藤光尊
- タフィ・ローズ
- 井上純
- 桧山進次郎
- 久保裕也
- 村田修一
- 相川亮二
2三振
- 1試合チーム最多三振
- 千葉ロッテマリーンズ 19三振 （1995年4月21日 対オリックス）
- 中日ドラゴンズ 19三振（2005年4月6日 対ヤクルト、2006年6月19日 対ソフトバンク）
- シーズンチーム最多三振
- 北海道日本ハムファイターズ 1151三振(2005)
- シーズン最小三振（300打数以上）
- 連続無三振
[編集] 奪三振に関する記録
[編集] 通算記録
記録は2006年シーズン終了時点
| 順位 | 名前 | 奪三振 | 順位 | 名前 | 奪三振 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 金田正一 | 4490 | 11 | 小野正一 | 2244 |
| 2 | 米田哲也 | 3388 | 12 | 槙原寛己 | 2111 |
| 3 | 小山正明 | 3159 | 13 | 川口和久 | 2092 |
| 4 | 鈴木啓示 | 3061 | 14 | 山田久志 | 2058 |
| 5 | 江夏豊 | 2987 | 15 | 平松政次 | 2045 |
| 6 | 梶本隆夫 | 2945 | 16 | 星野伸之 | 2041 |
| 7 | *工藤公康 | 2748 | 17 | 松岡弘 | 2008 |
| 8 | 稲尾和久 | 2574 | 18 | 高橋一三 | 1997 |
| 9 | 村田兆治 | 2363 | 19 | *桑田真澄 | 1975 |
| 10 | 村山実 | 2271 | 20 | ヴィクトル・スタルヒン | 1960 |
- ※ *は現役選手
ちなみにこれらの上位の記録は、まだ投手分業制が浸透しておらず、各球団のエースが2,3日連投することがよく見られた時代に達成されたものである。投手分業制が基本となっている近年では、これらの記録が更新されることは2度とないだろうとすら言われている。従って、これらの記録だけを見て過去の大投手と現代の投手の奪三振能力の比較を一概に行うことはできない。
[編集] シーズン記録
| 順位 | 名前 | 所属 | 奪三振 | 達成年 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 江夏豊 | 阪神タイガース | 401 | 1968 |
| 2 | 稲尾和久 | 西鉄ライオンズ | 353 | 1961 |
| 3 | 金田正一 | 国鉄スワローズ | 350 | 1955 |
| 4 | 江夏豊 | 阪神タイガース | 340 | 1970 |
| 5 | 杉浦忠 | 南海ホークス | 336 | 1959 |
| 6 | 稲尾和久 | 西鉄ライオンズ | 334 | 1958 |
| 7 | 梶本隆夫 | 阪急ブレーブス | 327 | 1956 |
| 8 | 稲尾和久 | 西鉄ライオンズ | 321 | 1959 |
| 9 | 杉浦忠 | 南海ホークス | 317 | 1960 |
| 10 | 金田正一 | 国鉄スワローズ | 316 | 1956 |
[編集] その他の記録
- 1試合最多奪三振
- 1試合最多連続奪三振
- 1イニング4奪三振投手
[編集] アメリカメジャーリーグ
[編集] 三振に関する記録
[編集] 通算記録
記録は2006年シーズン終了時点
| 順位 | 名前 | 三振 | 順位 | 名前 | 三振 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | レジー・ジャクソン | 2597 | 11 | ボビー・ボンズ | 1757 |
| 2 | サミー・ソーサ | 2194 | 12 | デール・マーフィー | 1748 |
| 3 | アンドレス・ガララーガ | 2003 | 13 | ルー・ブロック | 1730 |
| 4 | ホセ・カンセコ | 1942 | 14 | ミッキー・マントル | 1710 |
| 5 | ウィリー・スタージェル | 1936 | 15 | ハーモン・キルブリュー | 1699 |
| 6 | *ジム・トーミ | 1909 | 16 | チリ・デービス | 1698 |
| 7 | マイク・シュミット | 1883 | 17 | ドワイト・エバンス | 1697 |
| 8 | フレッド・マグリフ | 1882 | 18 | リッキー・ヘンダーソン | 1694 |
| 9 | トニー・ペレス | 1867 | 19 | デーブ・ウィンフィールド | 1686 |
| 10 | デーブ・キングマン | 1816 | 20 | *クレイグ・ビジオ | 1641 |
- ※ *は現役選手
[編集] シーズン記録
| 順位 | 名前 | 所属 | 三振 | 記録年 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | アダム・ダン | シンシナティ・レッズ | 195 | 2004 |
| 2 | アダム・ダン | シンシナティ・レッズ | 194 | 2006 |
| 3 | ボビー・ボンズ | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 189 | 1970 |
| 4 | ホセ・ヘルナンデス | ミルウォーキー・ブルワーズ | 188 | 2002 |
| 5 | ボビー・ボンズ | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 187 | 1969 |
| プレストン・ウィルソン | フロリダ・マーリンズ | 2000 | ||
| 7 | ロブ・ディアー | ミルウォーキー・ブルワーズ | 186 | 1987 |
| 8 | ホセ・ヘルナンデス | ミルウォーキー・ブルワーズ | 185 | 2001 |
| ピート・インカビリア | テキサス・レンジャーズ | 1986 | ||
| ジム・トーミ | クリーブランド・インディアンス | 2001 |
[編集] 奪三振に関する記録
[編集] 通算記録
記録は2006年シーズン終了時点
| 順位 | 名前 | 奪三振 | 順位 | 名前 | 奪三振 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ノーラン・ライアン | 5714 | 11 | ファーガソン・ジェンキンス | 3192 |
| 2 | *ロジャー・クレメンス | 4604 | 12 | *グレッグ・マダックス | 3169 |
| 3 | *ランディ・ジョンソン | 4544 | 13 | ボブ・ギブソン | 3117 |
| 4 | スティーブ・カールトン | 4136 | 14 | *カート・シリング | 3015 |
| 5 | バート・ブライルベン | 3701 | 15 | ペドロ・マルティネス | 2998 |
| 6 | トム・シーバー | 3640 | 16 | ジム・バニング | 2855 |
| 7 | ドン・サットン | 3574 | 17 | ミッキー・ロリッチ | 2832 |
| 8 | ゲイロード・ペリー | 3534 | 18 | サイ・ヤング | 2803 |
| 9 | ウォルター・ジョンソン | 3504 | 19 | *ジョン・スモルツ | 2778 |
| 10 | フィル・ニークロ | 3342 | 20 | フランク・タナナ | 2773 |
- ※ *は現役選手
[編集] シーズン記録
| 順位 | 名前 | 所属 | 奪三振 | 達成年 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ノーラン・ライアン | カルフォルニア・エンゼルス | 383 | 1973 |
| 2 | サンディ・コーファックス | ロサンゼルス・ドジャーズ | 382 | 1965 |
| 3 | ランディ・ジョンソン | アリゾナ・ダイヤモンドバックス | 372 | 2001 |
| 4 | ノーラン・ライアン | カルフォルニア・エンゼルス | 367 | 1974 |
| 5 | ランディ・ジョンソン | アリゾナ・ダイヤモンドバックス | 364 | 1999 |
| 6 | ルーブ・ワッデル | フィラデルフィア・アスレチックス | 349 | 1904 |
| 7 | ボブ・フェラー | クリーブランド・インディアンス | 348 | 1946 |
| 8 | ランディ・ジョンソン | アリゾナ・ダイヤモンドバックス | 347 | 2000 |
| 9 | ノーラン・ライアン | カルフォルニア・エンゼルス | 341 | 1977 |
| 10 | ランディ・ジョンソン | アリゾナ・ダイヤモンドバックス | 334 | 2002 |
- 1試合最多奪三振 1986年1996年ロジャー・クレメンス 1998年ケリー・ウッド 2001年ランディ・ジョンソン20
[編集] 関連項目
下記はいずれも三振が多い打者
- 清原和博（通算1位）
- 池山隆寛
- ラルフ・ブライアント（シーズン1～4位独占）
- 岩村明憲（シーズン5位）
