マジックミラー
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マジックミラー(magic mirror)とは、明るいところで見ると鏡にしか見えないガラスや合成樹脂。ハーフミラーやミラーガラスとも言う。
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[編集] 概要
マジックミラーは、鏡に張る金属の膜を通常の鏡よりも薄くすることや板ガラスに錫や銀をめっきないし蒸着させ半透明にしたものである。
通常の鏡では光を透過させずに反射させるため、ある程度厚い金属皮膜を形成した後に裏側には皮膜を保護するための不透明な塗装を施すが、マジックミラーでは光をある程度透過させる性質を持たせるために金属皮膜を薄く粗として、さらに金属皮膜を保護するための透明な樹脂などで塗装したりガラスやプラスチックフィルムなど透明な板を貼り付けてある。
[編集] 用途
マジックミラーは一般に、明るい環境では鏡にしか見えないが、マジックミラーをはさんで暗い側から見ると、鏡の向こう側を鏡ごしに見ることが出来る。この性質を様々な用途に応用している。
[編集] 匿名性保護
これは警察の取調室において被疑者の「面通し」のために目撃者に確認してもらうのに用いることがある(首実検)。またかつてはドアののぞき窓に用いられたこともある。これは見る側が見られる側に見られないためのプライバシー保護(→匿名)の意図があってのことで、これにより被疑者に逆恨みされることなく被害者や目撃者が確認できると考えられている。
[編集] 光線からの目の保護
サングラスに応用したものは、ミラーグラスと呼ばれる。これは光の透過量が極めて少なくなるため、強い光から目を守るために利用される。特に紫外線など波長が短く目に有害な光線を効率よく遮断することができる。
ヘルメットのバイザーに用いた場合、側面から光線が入るとバイザー内部で光が乱反射するなどして前方視界が悪くなるため、宇宙服や航空機用のヘルメット以外ではあまり用いられない。オートバイ用乗車ヘルメットでは光の透過率が高いミラーバイザーなどは存在するが、こちらは外から見ると光の反射加減で虹色に見えるなど、厳密な意味でのマジックミラーではない。なお放射線防護服では光線ではなく放射線から目や顔を防護するために金属皮膜を用いたバイザーも使われるが、これも外から見ると虹色に見える。
[編集] 建築物
窓ガラスのシールとして用いると、内側から見えるが外側からは見えない状況を作り出すことが出来る。もちろん夜間はその逆となってしまう。しかし赤外線を遮断することで断熱効果もあるため、高層ビルなどではビル装飾と省エネルギーなどの観点から利用されている。
[編集] 光学部品
例えば光ディスクなど光学記憶媒体の読み出しでは、媒体表面に照射した半導体レーザーを反射させて、その反射具合で記録された情報を読み出す。この過程でビームスプリッターと呼ばれる分光器の一種が使われるが、これは「ハーフミラー」とも呼ばれる。なおハーフミラーは厳密にはプリズムの一種であって、上に述べたマジックミラーとは異なるものもある。
その一方で、プロジェクタの内部部品として複数の光源からの映像を合成するためにハーフミラーと呼ばれる板状の光学部品が使われることもある。こちらは一方からの光のみ反射させ、直進してきた光線と合成させることで複数光源に拠る明るい映像を得るために利用される。
プロジェクターやスライド映写機に利用されるコールドミラーと呼ばれるものでは、赤外線は透過するが可視光線は反射するという選択性を利用して、プロジェクタ内の液晶パネルやスライド映写機のフィルムの過剰な温度上昇を防ぐ機能がある。
[編集] 手品での使用
マジックミラーの性質を利用して、手品に使用されていた。
舞台上の美女に手品師が呪文を唱えると徐々に骸骨に変わる、といった類のマジックである。仕組みは、観客からの死角に骸骨を用意しておき、照明の強弱を利用して合成して見せるものである。
今日ではマジックミラーの存在がそれほど珍しくなく一般にもよく知られているため、余りそのものとして見世物(興行)が行われることはないが、これを利用したお化け屋敷の出し物や玩具、あるいは視覚効果として利用した博物館の展示物もみられる。
[編集] その他の用途
- マジックミラー号やマジックミラー号ちびQと呼ばれる改造自動車がある。これは車内を撮影スタジオに仕立てたもので、車外から車内を覗うことはできないが、内部からは外が丸見えである。この状況で車内で「羞恥心を煽る行動」をさせるというアダルトビデオのシリーズがある。