リズムギター
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リズムギター (Rhythm guitar)、サイドギター (Side Guitar)とは、ギタリストの役割分担、それに付随する、ギターの弾き方。
バッキングで、ギターストロークやカッティングによる奏法が主体となるのがリズムギター。それらも兼ねて、ギターフレーズも演奏し、時には、リードギターとハーモナイズして弾くこともあるケースでは、サイドギター、その奏者の技術によって、「セカンド・ギター」などと呼ぶことが多い。(主旋律やソロを弾くギターをリードギターと呼び、アレンジやサウンドの範囲で、常に対となっていることが大部分である。)
ほとんどは、エレクトリックギターが2名以上のバンドにあてはまるが、リズムギターに関しては、まれにアコースティック・ギターで行う場合もある。70年代のTCB(エルヴィスのバックバンド)はリズムギターは2人おり、エレクトリックギターをジョン・ウィルキンソン、アコースティックギターを「何でも屋」のチャーリー・ホッジが演奏している。
ギタリストが複数在籍するバンドやグループにおいて、リードボーカル担当のメンバーがギターを弾く場合は、負担の関係からそれに至るまでの経過は別として、リズムギターやサイドギターを担当する例が多い。
奏法や演奏パートとしてのリズムギターは、サイドギターの一部と呼んでも、ほぼ間違いなく、仮に、ギタリストなどのミュージシャンが時に使う、「リズムを切る(ギターでカッティングをする=ギターでリズムを刻む演奏をする)。」といった言い回しと、「サイドを切る(サイドギターで、または、サイドギタリストとして、ギター・カッティングのパートを演奏する)。」といった言い回しの、双方の表現を比較すると、ほぼ同義となる。
複数のギタリストの在籍していたロック系のバンドにおいては、1960年代半ばまで、このリズムギター在籍の形態が主であった。日本では、ほぼ同時期のグループサウンズ(GS)において、(やはり、ギタリストが2名以上いる場合の多くのパターンで)採用されていた方式、または、パートである。時代が下って、矢沢永吉の在籍していたバンド「キャロル」では、ジョニー大倉が、リズムギターのパートを担っていた。
日本において、最もわかり易く音源も入手しやすい例は、1962年デビューの、ビートルズの初期の楽曲である。主にジョン・レノンが担当していた。ただし、中期以降は、曲に応じて、キーボードが導入されてギターが1台しか入っていなかったり、リードギター以外のギターがフレーズを弾いていて、リズムギターというよりは、サイドギターという方が相応しい演奏もある。(「主に」としたのは、例外があるからである。前期ではないが、後期のヒット曲「ゲット・バック」に於いては、ライヴ演奏での録音も行われたのにもかかわらず、ジョン・レノンがリード・ギター、ジョージ・ハリスンが完全なリズム・ギターとなっていた。詳細は、ザ・ビートルズの記事を参照のこと。)
ビートルズを引き合いに出したために、同様のイギリスの目だったロック系バンドを引き合いに出すなら、ビートルズより、やや遅れてデビューしたローリング・ストーンズについては、それまでの通説やイメージとは異なり、初期において、ブライアン・ジョーンズ、キース・リチャーズといった、2名のギタリスト共にギターソロを弾くことが可能であった。さらに、実際に両者共に、曲のタイプに合わせて役割分担していたために、単純に「リズムギター担当がどちら」とはいい難い。強いていうなら、「ブライアン」脱退後加入したミック・テイラーが、主にリードギターに専念していた際には、「キース」がギターのバッキングでリズムを刻むことが多かった。キース自体は、リズムギターの重要性やギターカッティングの地位を向上させたともいえるが、彼は、初期やその後のロン・ウッド加入後に、リードギターのパートを、曲ごとに弾き分けていることからも、単純に「キースがリズムギター担当」と解釈してよいのかは、疑問の余地がある。
また、ヤードバーズの初期においても、リードギターはエリック・クラプトンであったが、「クリス・ドレヤ」(当初の彼は、ほとんど、「リズムギター」的な演奏が主ではあった。)などの「リードギタリスト」以外のギタリストにとっては、「リズムギター」は曲のアレンジにおける一つの奏法と呼んだ方がニュアンスに近く、このバンドのサウンド全般から述べると、サイドギターやセカンドギターと呼ぶ方が相応しい。
しかし、ジミー・ペイジが加入した後に本来のギターに転向し、それまでのギタリストジェフ・ベックとの新たな関係は、非常に短期間ながら、ツイン・リードギターとも呼ばれ、技術的フィーリング的にも対等・互角であった。どちらがサイドギターかは、ほとんどの場合、アレンジや、事前の申し合わせ、ないし、即興的に、どちらか一方のギタリストがソロ(リードパート)を弾いている際の、残りのもう片方と、その都度、暗黙の了解で決まった。また、ソロパートを弾かない側は、一緒にハーモナイズさせて演奏するか、サイドギターのパートに回るかは、恣意的でもあり、曲のアレンジでも異なった。よって、この場合は、「サイドギター」という名称は、部分的なパートを指す以外、ほとんど用いられなかった。(注:「ツインリード(ギター)」という場合は、単純に「対等のギタリストが、バンド内に同時に2名在籍している」場合と、「ある楽曲内に於いて、特定の演奏パートを2人のギタリストがハーモナイズさせて弾く」場合とのふた通りがあるが、一般的には、後者のことを指す場合が多い。)
ギタリストが一人しかいないロック系のバンドの場合は(当時のブリティッシュ系ロックバンドの例なら、ザ・フー、クリーム、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープルなど。)、もちろん、ギタリストは「リードギタリスト」として存在しているが、ボーカルパートのバック演奏でリズムギターの役割をすることも多い。しかしそれは、歌のバッキングのアレンジにおけるバリエーション中での、一つのパターンやケースにすぎないといえる。
この日本における、最近の(特殊な)例としては、アルフィー(現:THE ALFEE)があるが、エレクトリックギター担当の高見沢俊彦が「リードギター」を弾く曲が多いために、アコースティック・ギター担当の坂崎幸之助が「リズムギター」を担当することが自動的に多い。が、これも、厳密には、曲ごとのアレンジの一環にすぎない。
また、フォークソングのグループ、かぐや姫なども、二人ともアコースティックギターが基本だが、歌うことの多い南こうせつは、位置的にはここにあてはまるが、音楽の性格上、アルペジオで弾くことも多く、単純にリズムギターとは定義できない部分でもある。