レバノン料理
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レバノン料理とは中東のレバノン共和国で食べられている料理。中東諸国で広く見られるケバブのような肉料理もあるが、新鮮な野菜を使用したベジタリアン料理が豊富である。
レバノン料理の特徴に、ゴマ、レモン、オリーブオイル、ハーブ類、ヨーグルトを使った料理が多く見られる。香辛料としてはシナモンやオールスパイスが好んで使用されるが、素材を生かした料理法で香辛料は強くなく、辛くないため日本人にも馴染みやすい。隣国の料理(イスラエル料理、シリア料理、パレスティナ料理)にはファラフェルやフムスなどレバノン料理と共通した料理が多くある。また、ギリシャ料理やトルコ料理とも共通した要素を持つ。チーズ、オリーブ、野菜を用いたメッゼ(Mezze, مزة)と呼ばれる前菜、または付け合せは他のアラブ諸国の料理と共通する。人口の約30%を占める東方正教徒は四旬節や毎週水曜日と金曜日をはじめとして頻繁に小斎を守る必要があるため、ベジタリアン料理が発達している。
日本ではあまり知名度の高くないレバノン料理だが、レバノン内戦を避けて多くのレバノン人がヨーロッパや南北アメリカなどに移民したため、レバノン料理は世界中の大都市で見ることができる。また、洗練されたレバノン料理はモロッコ料理と並んでアラブ諸国の中でも特に人気が高い。ヨーロッパ、アメリカ合衆国、オーストラリアでは健康的なベジタリアン料理またダイエット食として人気が高い。
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[編集] 代表的なレバノン料理
[編集] 野菜の料理
- ファラーフェル فلافل
- ヒヨコマメのコロッケ。欧米では一般的なベジタリアン料理およびダイエット食になっている。
- ババ・ガンヌージュ بابا غنوج
- 焼いて皮をむいたナスをすり潰してオリーブオイル、タヒーニ、香辛料を混ぜたペースト。代表的なメッゼのひとつ。
- タブーリ تبولة
- パセリとブルグールのサラダ。代表的なメッゼのひとつ。
- 揚げカリフラワー قنبيط مقلي
- 揚げナス بثنجن مقلي
- ミハシー محشي
- 香辛料を効かせた肉や米、野菜をキャベツやブドウなどの葉で包んだ料理。中をくりぬいた野菜を用いたものもある。いわゆるドルマと同じ。メッゼのひとつ。
- フンムス・ビッタヒーニ(フンムス) حُمُّص بالطحينة
- ヒヨコマメとタヒーニのペースト。代表的なメッゼのひとつ。
[編集] 肉の料理
- ケバーブ كباب
- 中東で広く食べられている肉の串焼き。
- シャーウェルマー شاورما
- トルコのドネルケバブと同じだが、タラトール(タヒーニとニンニク、レモン汁のソース)を添える。
- ムサッカア(ムサカ) مسقعة
- ギリシャから中東で食べられている、ナスを使ったグラタンに似た料理。
- キッビ、キッベ كبة Kibbih
- ブルグールと挽肉(主に子羊肉)を混ぜて作る料理の総称。ラグビーボール型にして揚げたキッビ・マクリーイェ(كبة مقلية)、耐熱皿に入れて焼いたキッビ・ビッセーニーイェ(كبة بالصينية)、生のまま食べるキッビ・ナッイーェ(كبة نية)などがある。メッゼのひとつ。
[編集] デザート
- バクラーワ、バ・レーワ(バクラヴァ) بقلاوة
- バターを塗ったフィロ生地を何枚も重ねてナッツを包み、シロップをしみこませたミルフィーユのような菓子。
- ヌガー
- 日本で食べられる洋風ヌガーと似ているが別物。クルミやナッツを蜂蜜などで固めてある。
- ハラーワ(ハルヴァ) حَلاوة
- すり胡麻、果物、穀類などを砂糖や油脂と混ぜて作る菓子。
[編集] 飲み物
[編集] レバノン料理の食材
- タヒーニ(طحينة、tahini)
- 胡麻ペースト。フンムス、ババ・ガンヌージュを作るのに使う他、サラダドレッシングや魚料理のソースなどさまざまな料理に使われている。日本では入手が難しい。
- ブルグール(bulgur)
- 茹でた小麦を乾燥して細かく挽いたもの。タッブーリやキッビに使う他、米の代わりに炊くこともある。
- フィロ生地(phyllo)
- 紙よりも薄いパイ生地。バクラヴァなど、菓子作りに使う。
- スンマーク(سماق)
- Rhus spp.の実の粉末。酸味があり、味と見かけは「ゆかり」ふりかけに似ている。
- ザアタル(زعتر za'atar)
- オレガノ、スンマーク、タイム、炒った白胡麻、塩などを混ぜた調味料。オリーブ油と混ぜてからパンにつけて食べる。薄くのばしたパン生地にオリーブ油とザアタルを塗って焼いたピザのようなパンをマナーキーシュ(مناقيش、manāqīsh)と呼ぶ。
[編集] 外部リンク
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