ローマ帝国の国境線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() |
|
![]() |
|
ハドリアヌスの長城 | |
(英名) | Frontiers of the Roman Empire |
---|---|
(仏名) | Frontières de l'Empire romain |
登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | 文化遺産(2),(3),(4) |
登録年 | 1987年 |
拡張年 | 2005年 |
備考 | |
公式サイト | ユネスコ本部(英語) |
地図 | |
![]() |
ローマ帝国の国境線(ローマていこくのこっきょうせん)はユネスコの世界遺産登録物件名である。ローマ帝国の繁栄と衰退を残す文化的景観が評価されて、1987年に、イギリスのハドリアヌスの長城で登録。その後、2005年にドイツのリーメスが含まれて拡大登録となった。
目次 |
[編集] 概要
[編集] ハドリアヌスの長城
詳しくはハドリアヌスの長城を参照せよ。
ハドリアヌスの長城は、イングランド北部のスコットランドとの境界線近くにある長城で、1世紀後半に版図にブリタンニアを組み込んだローマ帝国がケルト人のうち、ローマに服従していないピクト人など北方諸部族の進入を防ぐために築いた。皇帝ハドリアヌスが長城の建設を命じ、122年に工事が開始される。
ニューカッスル・アポン・タインからカーライルまでの118kmにも及んだ。壁の高さは4から5m、厚さ約3m。後の方で建設された部分は、約2.5mに狭くなっている。完成当初は、土塁であった。その後、石垣で補強されたと考えられている。約1.5kmの間隔で、監視所も設置されていた。
[編集] リーメス
詳しくはリーメスを参照せよ。
リーメスまたはリメス(Limes)は,ドイツのライン川とドナウ川の間に残るローマ帝国時代の長城跡。リーメスの建設は、紀元前2世紀頃から始まり、目的としては、ゲルマン民族の侵入からライン川・マイン川流域の肥沃な土地と通商路を守るためであった。リーメスの遺構は、主に長城と物見櫓、砦に分けられる。
長城の総延長は約550kmで、東はドナウ川から西はライン川まで達する。長城は大きく分けて、北部ドイツ(Upper-German、約330km)とラエチア(Raetian、約220km)の2つの部分に分けられる。北部ドイツ部分は、ライン川とライン川の支流であるマイン川に沿って、土塁による長城と堀が設けられていた。堀は約8mの幅と約2.5mの深さを持っていた。また北部ドイツ部分には長城にそって約40の砦が築かれていた。ラエチア部分は、うち約167kmは高さ約3m、幅1.2mの石塁で築かれた。石塁は、付近から産出する石を使用していた。
物見櫓は長城の塁に沿って、およそ300mから800mの間隔で建てられた。現在、896箇所が確認され、うち260箇所は現在でも構造の一部が残る。櫓の構造は、土台が4mから8mほどの大きさの正方形をしており、その上に見晴台が築かれたと推定されている。
長城に沿って、大型のものは約60以上の砦跡が確認されている。大型の砦には1つあたり約100から1000人程度の守備隊が配置され、長城の警備および長城を通過する人々を管理する関所の役割を果たしたと考えられている。また20から30人の配置規模の偵察や監視を目的とした小さな砦も多数存在していた。
リーメスの砦の中で調査が行われているものの1つのザールブルク砦(Saalburg fort)は、北部ドイツの部分に属し、砦の初期は紀元前90年頃の建築と推定され、長方形の形をしており、面積は約0.7haであった。ザールブルク砦の発掘調査は、19世紀後半から始まった。1897年にドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が、このザールブルク砦の再建を命じ、第一次世界大戦前に完成した。現在ではこの時に復元されたザールブルク砦が博物館として使用されている。
[編集] 登録基準
この世界遺産は、世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた。
- (2) ある期間を通じて、または、ある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- (3) 現存する、または、消滅した文化的伝統、または、文明の、唯一の、または少なくとも稀な証拠。
- (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する、建築様式、建築物群、技術の集積、または景観の優れた例。
[編集] 関連項目
イギリスの世界遺産
World Heritage Sites in the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland |
|
---|---|
文化遺産 | |
グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁 | ダラム城と大聖堂 | アイアンブリッジ峡谷 | ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群 | ファウンテンズ修道院跡を含むスタッドリー王立公園 | バース市街 | ローマ帝国の国境線 | ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院、聖マーガレット教会 | ブレナム宮殿 | カンタベリー大聖堂、聖オーガスティン修道院と聖マーティン教会 | ロンドン塔 | エディンバラの旧市街・新市街 | 河港都市グリニッジ | オークニー諸島の新石器時代の遺跡中心地 | ブレナヴォン産業用地 | バミューダ諸島の古都セントジョージと要塞 | ソルテア | ニュー・ラナーク | ダーウェント峡谷の工場群 | キュー王立植物園 | 海港商業都市リヴァプール | コーンウォールとウエスト・デヴォン鉱山の景観 | |
自然遺産 | |
ジャイアンツ・コーズウェーとコーズウェー海岸 | ヘンダーソン島 | ゴフ島野生生物保護区 | ドーセット及び東部デヴォン海岸 | |
複合遺産 | |
セントキルダ島 | |
世界遺産 | ヨーロッパの世界遺産 | イギリスの世界遺産 | 五十音順 | | |
ドイツの世界遺産
World Heritage Sites in the Federal Republic of Germany |
|
---|---|
文化遺産 | |
アーヘン大聖堂 | シュパイア大聖堂 | 宮殿庭園群と司教館広場があるヴュルツブルク司教館 | ヴィースの巡礼教会 | ブリュールのアウグストゥスブルク城とファルケンルスト城 | ヒルデスハイムの聖マリー大聖堂と聖ミカエル教会 | トリアのローマ建造物群、聖ピーター大聖堂、聖母マリア教会 | リューベックのハンザ同盟都市 | ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群 | ロルシュの大修道院とアルテンミュンスター | ランメルスベルク鉱山およびゴスラーの歴史都市 | バンベルク市街 | マウルブロン修道院の建造物群 | クヴェートリンブルクの大学教会、城、旧市街 | フェルクリンゲン製鉄所 | ケルン大聖堂 | ヴァイマルとデッサウにあるバウハウスとその遺産群 | アイスレーベンとヴィッテンベルクにあるルター記念物群 | 古典主義様式のヴァイマール | ベルリンのムゼウムスィンゼル(博物館島) | ヴァルトブルク城 | デッサウ-ヴェルリッツ庭園王国 | ライヒェナウ修道院島 | エッセンにあるツォルフェライン炭鉱の産業建造物群 | シュトラールズント歴史地区とヴィスマル歴史地区 | ライン渓谷中流上部 | ドレスデンのエルベ川流域 | ブレーメンの市庁舎とマルクト広場のローラント像 | ムスカウの庭園 | ローマ帝国の国境線 | レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアンホフ | |
自然遺産 | |
メッセル・ピットの化石地域 | |
世界遺産 | ヨーロッパの世界遺産 | ドイツの世界遺産 | 五十音順 | | |