七枷社
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七枷社 プロフィール
七枷 社(ななかせ やしろ、YASHIRO NANAKASE)は、テレビゲーム「ザ・キング・オブ・ファイターズ(以下 KOF)」などに登場するキャラクター。
担当声優は粟根まこと。
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[編集] 概要
[編集] キャラクターの設定
- オロチ一族の長であるオロチ復活を目論む、オロチ八傑集かつオロチ四天王の一人。オロチ四天王としての二つ名は「乾いた大地の社」。ゲーニッツ亡き後は、オロチ四天王のリーダー格になっているようである。格闘スタイルは、「七枷社」としては主に打撃系の技が中心で、「乾いた大地の社」としてはオロチの力、その中のひとつである大地の力による投げ技を多用する。また、「乾いた大地の社」は、開発側が“オロチチームは主人公チーム(日本チーム)に対比した形に”ということなったために、大門五郎に対比したキャラとなっている。
- 初登場はKOF'97である。自身が所属するバンドグループと八神庵が所属するバンドグループとの間でトラブルを起こしてしまったため、庵にそのときの借りを返すために、同じグループのメンバーであるシェルミー、クリスとともに、「ニューフェイスチーム」として出場する、との設定である。この設定は、「表向きの参戦理由」ということになっている。また、「ニューフェイスチーム」のストーリー内での庵は、「赤い髪をした男」となっている。なお、シェルミーやクリスのそれぞれもオロチ四天王一人である。
- しかし、KOF出場の際、即に決めたときには予選が終わってしまっていた。そこで、社の考えで、アメリカ地区から出場するシードチームを「果たし合い」として煽って、自分たちと対戦させた。結果、勝利し出場を決めている(正確には、招待状を奪っている)。この様子が'97でのチームストーリーとして載せられており、このときに敗れてしまったシードチームが、ストーリーの内容から察するに、アメリカンスポーツチームの3人(という設定)ではないかと思われているが、後にSNKプレイモア側が、この内容を元にしたネタをいくつか出しているので、間違いないと思われる。ただし当の本人の内の一人ラッキー・グローバーは'98のインタビューで「あれは俺たちじゃない」と否定している。
- 社曰く、アメリカからの出場を決めた理由が“どうせ奴(庵)を叩くなら別の地区からの決勝大会でと思ってな”、“たまたま手頃な奴らがここにいた”との事。なお、このときの果たし合いにて、社は自身の格闘スタイルを「七枷武真館空手」と名乗ったが、これは全くのデタラメである。
- '97にて、7戦目が終わった後に、「ニューフェイスチーム」の3人は真の姿であるオロチ四天王として、「オロチチーム」として、KOFに参加した本当の理由を明かし、そしてプレイヤーに闘いに挑んでくる。プレイステーション2版『KOF'94 RE-BOUT』のムックによると、3人はそれぞれ、自らの肉体と精神を分離させ、片方を「ニューフェイスチーム」、もう片方を大会の裏に潜む「オロチチーム」として、オロチ復活に不可欠な精神力を効率的に集めようとしていた。「ニューフェイスチーム」か「オロチチーム」のどちらかを選んでプレイしていくと、ショートデモ内でそうであると思われる会話が見受けられる。なお、彼ら3人で進んでも進まなくても、3人ともオロチ復活の為に(ストーリーの設定として)その命を捧げる事となる。
- KOFへの参加理由が表向きの設定であるためか、'97内での庵とのからみは全くといっていいほど無いが、後の'98や2002では、対戦デモ中に社が庵に対して怒りをあらわにしたような挑発シーンが見受けられる。
[編集] その他
- 豪快かつ人を食った性格で、自称が「喧嘩が強い上に男前」である。
- ペットとして鷹を飼っており、「タツウル」という名前である。'97の勝利ポーズの一部に登場していたが、'98以降は開発側の都合によるものだろうか、登場していない。
- 上記の通り、八尺瓊一族によって封印を解かれたオロチ八傑集のある一人が、660年もの間転生を繰り返した現在の姿である。白髪が特徴的で、所属するバンドグループでは、ギターを担当しており、オロチ一族の者として覚醒した今でも、プロフィールにオロチに関することが載っていない事から、元から人間としての生活を楽しんでいると推測されなくも無い(シェルミーのように明確な職業が明らかになっていないことから、プロのバンドマンとして生計を立てているように思えるが、その他細かな設定は公表されていない)。しかしその裏では、自分勝手な理屈で人殺しを行うというオロチ一族の者らしいと思える一面もあるようだ。
- 個人としては、庵を上記の一件以来ライバル視しているようで、庵のことを「赤毛」と呼ぶ。'98や2002では、「乾いた大地の社」の状態でも同じようなことを庵にしていることから、その一件による庵への恨みは相当なものだと思われる。ちなみに、SNKプレイモアの携帯ゲームである『Days of Memories』では、ある条件を満たして進むと他のオロチ四天王とそろって登場したりするが、庵と出くわした瞬間に動揺するシーンが見られる。
- '97での「七枷社」としての一部の必殺技のモーションが格闘ゲームキャラらしくなかったが、'98にてモーションが書き換えられていたり、新たに追加されたりした。
- 体の大きさより、イメージ的に攻撃判定が広く設定されているためであるのか、通常技が強力で、特に蹴りに至っては、'97では近距離強キックがしゃがみガード不能という強力ぶり。
- 「乾いた大地の社」としてBGMは『Rhythmic Hallucination』。'97ではオロチチームのBGMではあるが、'98からは「乾いた大地の社」のBGMとなっている。なおその際に、他の2人(荒れ狂う稲光のシェルミー、炎のさだめのクリス)にもそれぞれの専用のBGMが製作された。
- 彩京の格闘ゲーム『堕落天使』には彼そっくりのビジュアルを持つ「壬生灰児」というキャラが登場するが、これは社をデザインした開発者がSNKから移り、社が採用されたとは知らず類似したデザインを用いた為であるらしい。また、後の『サムライスピリッツ新章 甦りし蒼紅の刃』でも「七座灰人」という社そっくりのキャラクターが登場する。
[編集] 技一覧
技名が併記されているものは前者が「七枷社」、後者が「乾いた大地の社」としての名称である。
「乾いた大地の社」の技は日本名にキリル文字を当てた独自の表記がなされる。これは他の四天王(吹き荒ぶ風のゲーニッツ、荒れ狂う稲光のシェルミー、炎のさだめのクリス)も同様。
[編集] 通常投げ
- レバーブロー / БАКУ (ばく)
- 打撃投げ。相手を掴むと、上半身をひねって勢いをつけて思い切ったボディーブローで相手を端までぶっ飛ばす。
- ハチェットスルー / БЭКИ (べき)
- 相手を片手で楽々と掴みあげて、そのまま逆方向側の地面に叩きつける。
[編集] 特殊技
- ステップサイドキック / БУ (ぶ)
- 文字通り、ステップしながら中段の横蹴りをする。KOF'98より、連続技の間にこの技を組み込むと、この技から一部の必殺技の攻撃につなげることができる。
- リグレットバッシュ / САКУ (さく)
- '98から登場。見た目は、七枷社版「玉潰し(大門五郎の特殊技)」といったところだが、ヒットさせてダウンさせるところ以外は、性能が全く別物である。「ステップサイドキック」同様に、'98にて連続技の間にこの技を組み込むと、この技から一部の必殺技の攻撃につなげることができる。
[編集] 必殺技
- アッパーデュエル
- ジャンピングアッパーカット、言ってしまえば「昇龍拳」のような対空技だが、2度アッパーを繰り出す技で、最初に飛ばない方のアッパーを出し、それがヒットすると続けてもう片方の手でジャンピングアッパーを繰り出す。最初のアッパーにはガードポイントがあるので、対空のキャラに強く、カウンターとしても強力だが、前述の通り、一度相手に当たると自動的にジャンピングアッパーまで出てしまう技なので、ガードされた後の隙は大きい。
- ジェットカウンター
- 常人にはとても真似出来ない、異常といえるスピードで相手に詰め寄り、打撃を一発繰り出す突進技。'97では、「レバーブロー」と同様に攻撃がボディーブローで、弱・強の違いも距離によるものだったが、'98以降は強の攻撃部分が変更され、拳を思いっきり振り下ろすような動作になった。この技のモーションは、攻撃が出るまでの移動で一瞬消えるが、その部分にも当たり判定がついているので、飛び道具などの攻撃をかわすことはできない。
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- ジェットカウンター・スティル
- '98から登場。「ジェットカウンター」後の追撃技で、弱がストレートパンチ、強がアッパーカットとなる。2002では、連続技にこの技の強バージョンまで組み込んだ後に、追撃で「ファイナルインパクト」(後述)をヒットさせることができる。
- ミサイルマイトバッシュ
- 腕全体を横に往復で振りながら攻撃する突進技。'97では、その前述の攻撃の仕方で、フィニッシュも「レバーブロー」の攻撃部分の流用である。また、突進距離も短く、攻撃後の硬直も長かったために、使用する場面が限られている。'98では、技のグラフィックが全て書き直され、腕全体を横に振るものから、左右の腕を使ったフックの連打に変わり、フィニッシュも専用のアッパーモーションに変わった。そこそこ使えるものとなったが、やはり限られる場面が多く、強バージョンに至っては硬直時間もあまり変わらなかったためか、次回登場の2002ではこの技だけ削除されている。
- スレッジハンマー
- 突進しながら、鉄鎚(かなづち)のように拳を縦に振り叩く突進技。出場作品一貫して奇襲として使える。'98から上半身を大きくひねりながら孤を描きつつ突進するように変更され、'97のような勢いさは感じられはしないが、対空の相手にも繰り出されるようになり、攻撃範囲がより広くなる。ヒットすればダウンを奪えるが、技後の硬直が長いので、カードされると反撃は必至である。
[編集] 超必殺技
- ミリオンバッシュストリーム
- 「ミサイルマイトバッシュ」の強化版で、腕全体を横に振りながら攻撃する動作が多くなりかつモーションの速度が速くなり、フィニッシュはしゃがみ強パンチ同様のアッパーになる。発生中はボタンを連打させておかないと、途中で強制的にフィニッシュ部分に移行してしまう。腕を横に振る動作は、'97と'98ともに、それぞれの「ミサイルマイトバッシュ」の突進部分の流用である。MAX版は、腕を振る回数が増え、かつ速度もかなり速くなっており、フィニッシュが「アッパーデュエル」となっている。体力削りとしては使えるものの、通常使う場合は、使える場面も少なく、また、技後の隙が大きいため、どちらかというと、あまり使えない方である。そのためか、基となる「ミサイルマイトバッシュ」とともに、2002では削除されている。
- ファイナルインパクト
- リョウ・サカザキの「天地覇煌拳」のような一撃必殺の打撃技で、「大人しく寝てろ!」と豪快に言い放ち、思い切ったストレートパンチで相手をぶっ飛ばす。発動後、攻撃発生までの間に、ボタン押しっぱなしにより溜めておくことが可能で、最大溜めは通常よりもかなりのダメージ力を誇る。'97から存在している技ではあるが、インストラクションカードには載っていなかったために、当時はあまり知られていない技でもあった。その上、'97でのこの技は、最初辺りと溜め中のモーションが'97と'98にあったエキストラモードでのパワーゲージためモーションと同じな上に、攻撃部分が発生するまでのモーションが、現在のものより相当長かったため、あまり使える技ではなかった。2002では、「ミリオンバッシュストリーム」が削除されたため、唯一の超必殺技となった。当然、2002のMAX版対応技もこの技のみである。
- 「ERROR…」code""2002""
- 2002とKOF NEO WAVEでのMAX2で、突進系乱舞技。低く構えた後、勢いよく突進し、ヒットするとロックして乱舞を見舞い、最後は「アッパーデュエル」でシメる。
[編集] 必殺技(乾いた大地の社)
- НИРАГУ ДАЙЧИ (にらぐだいち)
- 投げ技。相手の両肩を使って前転しながら相手の背後に回りこんで、すばやく上に放り投げる。'97での動作は、相手の背後に回りこむと同時に、相手を持ち上げてバックブリーカーをした後、相手を持ち上げて空中投げの要領で地面に叩きつける。なお、'98と2002では、相手が落ちるところを追撃することができる。
- МУСЗБУ ДАЙЧИ (むせぶだいち)
- 同じく投げ技。「БЭКИ (べき)」の要領で相手を持ち上げ、相手を往復で連続3回地面に叩きつけた後に、そのまま空中投げの要領で地面に叩きつける。
- ОДОРУ ДАЙЧИ (おどるだいち)
- 乾いた大地の社版「裏投げ(大門五郎の必殺技)」ともいえる移動投げ。相手に近づいた後、すばやく後ろに回りこむと同時に抱えながらバック転のように飛び、そのままバックドロップで地面に叩きつける。
- КУЖИКУ ДАЙЧИ (くじくだいち)
- 移動投げの一種のようなもので、軽く飛んで、相手の頭を掴んだ後、後ろに回りこむと同時に相手の姿勢を崩す特殊な必殺技。相手を崩すというところは、庵の「屑風」に似ている。モーションのグラフィックは、'97以降変わっている。'97では、相手を崩した後にそのまま必殺技を仕掛けることが可能になっているが、'98以降はそのまま投げを仕掛けることがやりにくくなっており、通常打撃技からの連続技からにより一部の投げ技を仕掛けることが可能にはなっている。
[編集] 超必殺技(乾いた大地の社)
- АНКОКУ ЖИГОКУ ГОКУРАКУ ОТОЩИ (あんこくじごくごくらくおとし)
- 投げ技。名前通り、乾いた大地の社版「地獄極楽落とし(大門五郎の超必殺技)」。最初の「相手を持ち上げる⇒そのまま離して蹴り崩しつつ地面に転ばす」ところが連続ヒット扱いされているなど、流れは大門のものに似た形になっているが、MAX版では、フィニッシュが、落ちてくるところで追撃する、という形となっている。追撃の部分については、オメガ・ルガールの「ギガンティックプレッシャー」で出てくるドクロの気の柱と同じもので、それを一気に放出するようなモーションとなっている。
- АРАБУРУ ДАЙЧИ (あらぶるだいち)
- 投げ技。'97では、相手を持ち上げた後、逆方向側に叩きつけ、そのまま空中投げの要領での叩き付けを2回叩きつけた後、鉄鎚のように拳を地面に叩きつけてそこからドクロの気の柱を出して追撃する。MAX版は最初の部分が「МУСЗБУ ДАЙЧИ (むせぶだいち)」の3回叩きつける部分に変更され、その後のモーションは通常版と同じである。'98から移動投げに変更され、その際コマンドも変更された。その移動の部分は、「КУЖИКУ ДАЙЧИ (くじくだいち)」と同じで、ヒットした後の行動は、そのまま空中投げの要領での叩きつけに移行する。
- ХОЗРУ ДАЙЧИ (ほえるだいち)
- 唯一の飛び道具。大地の力を補うかのように、握り拳を地面に一瞬合わせ、そのままストレートパンチの形でその場で気を放出する技である。リーチが長いので、牽制に使えなくも無いが、硬直が長く、かつ出るまでのモーションが長く当てづらい。そのためか、2002では削除されている。なお、出すまで溜めをすることが可能であり、最大溜めはガード不能で通常より強力であるが、技自体の隙が多いので、まずヒットさせることが難しい。
- ХАРУМАГЗДОН (ハルマゲドン)
- 2002とKOF NEO WAVEのMAX2で、一撃必殺の打撃技でガード不能技。深く溜めた後に、思いっきり相手を殴りつける。攻撃が発生するまでの溜めモーションが長いために、普通に使うことが難しいが、相手のダウン中からの起き上がりを狙ったり、「НИРАГУ ДАЙЧИ (にらぐだいち)」後に空中追撃として出すとうまくヒットさせられる。
[編集] 参考文献
- ゲーメストムック Vol.197 「ザ・キング・オブ・ファイターズ オロチストーリー プロファイリングブック」
- プレイステーション2版『THE KING OF FIGHTER'S '94 RE-BOUT』に付属している。発行はSNKプレイモア。編集はエンターブレインのゲーム雑誌『アルカディア』の編集部が担当している。
- ザ・キング・オブ・ファイターズ 完全読本
- オフィシャルガイドブック。発行・発売ともに日経BP社。