ゲーメスト
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ゲーメスト、GAMESTは、新声社が発行したアーケードゲーム専門雑誌、姉妹誌としてゲーメストワールドやコンシューマーゲーム雑誌のゲーメストEX、ゲーム漫画雑誌コミックゲーメスト(1993~97)などが存在する。
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[編集] 概要
新声社と、当時大手であったビデオゲームサークルVG2との協力により創刊された。そのため、当初のライターはVG2メンバーが主になっており、創刊号の読者コーナーには、会員からのハガキが掲載されていた。
誌名は当時のVG2幹部メンバーの風見螢(現在では瑞原螢として、「エース戦記」(新風舎)などの小説も執筆している)が名付け親。
創刊当初は隔月刊誌でファミコンのコーナーなどもあった。第6号より月刊誌、1994年の第116号より月2回発行となった。
[編集] ハイスコア集計
全国のゲームセンターからの申請に基いて、誌上で全国ハイスコア集計が実施されていた(創刊当初は、個人によるハイスコア申請も受付けられていた)。情報環境のない当時としては、マイコンBASICマガジンと並んで数少ない全国規模の集計であり、店舗・プレイヤーともに「全一(全国一位)」の称号を懸けての全国的な競争を繰り広げていた。これにより数多くの有名スコアラーが誕生し、その中には後のゲーム雑誌業界・ゲーム業界で活躍することとなった人もいる。
店舗別全一(星)数が店舗のステータスとして認知される一方、星の継続的獲得を目的として、スコアラーに小幅な更新を要求する行為が横行する問題も発生した。そのためか、ゲーメスト末期には店舗別全一(星)数集計は廃止されている。
[編集] ゲーメスト出典の新語
ビデオゲーム攻略に関する専門用語の内、ゲーメストが発祥とされるものが幾つか存在する。
- めくり
- 対戦型格闘ゲーム用語。相手を飛び越すことによって、防御動作を狂わせる技術。
- 当時は同じ技術に対して「裏まわり」などの別呼称も存在したが、現在一般的に「めくり」が使われている。それだけゲーメストの影響力が大きかったという事を意味している。
- 安全地帯
- シューティングゲーム等の用語。絶対に敵の攻撃が当たらない場所を指す。
- 実際のゲーメスト誌上では「安全地帯」から更に発展して、「玉置」と言う言葉が同義語として使われていた。由来は、当時の安全地帯のヴォーカルだった玉置浩二から。また、敵弾(玉)に対して自機を置ける場所とも掛けている。
- 当て身
- 対戦型格闘ゲーム用語。相手の打撃技を受け止めて反撃する技の総称。
- 本来、当身といえば格闘技用語で打撃技そのものを意味するが、ゲーメスト誌上において餓狼伝説のギース・ハワードの必殺技「当て身投げ」が安易に略されたことから、本来とは違った意味で広まってしまった。
[編集] ゲーメストと誤植
長い間、ワープロを使わず手書き原稿であったにも関わらず、電算写植で版下を作成していたせいもあり、誤植が多いことでも有名であった。
創刊当初は再々校を出すなどの時間的余裕もあったため、殆どの誤植は校正段階で修正されていたが、発行スケジュールが徐々に厳しくなり、また、創刊当初からのベテランライターであるVG2メンバーが徐々に抜けていった事もあり、時代が下がるにつれ誤植の数は増加していった。
写植を外部委託しており、写植業者がゲームを知らなかったことも一因だが、ライター達の字が汚かったことと、タイムリミット(原稿進行スケジュール上での締切ではなく、印刷スケジュール上での期限)ぎりぎりで原稿が上がることが多いため、校正が十分に出来ないことが主因である。
最後期はワープロが導入されたので、写植業者の(ゲームに関する知識不足による)勘違いや(正確には殆どがそうとしか読めない汚い字のための)読み間違いによる誤植は減ったが、今度は誤変換・誤入力が多くなる結果となった。
ゲーメストにおける誤植は、下記のように枚挙に暇がなく、いつしか誤植はゲーメストを語る上で欠かせないものになってしまった。編集部側が自虐的にネタにすることもあり、「わざと誤植した所があります。見つけた読者の方にはプレゼント!」という企画を行ったり(結局、誤植が多すぎて正解が埋もれてしまい、もっとも面白い誤植を見つけた読者を当選にするという体たらくに)、原稿チェック担当が誤植の罰を受け、春麗(ストリートファイターII)と小鉄(究極戦隊ダダンダーン)のコスプレをしたり、あげく付録小冊子「ダーメスト」というものまで作っている。
なお、以下に挙げられた誤植の中には、「誤植」ではなく、「誤字」、もしくは、「誤記」と表現すべきものも含まれている。
[編集] 著名な誤植
- 『インド人を右に』
- 正:ハンドルを右に
- セガのレースゲーム『スカッドレース』の記事中のもの。左コーナーを全開で抜ける時に、カウンターステアをあてる様子を書いたものであるが、取り様によっては「インド人が見えたところで右折」にも読める、紛らわしさも備えた誤植。
- 『ザンギュラのスーパーウリアッ上』
- 正:ザンギエフのスーパーラリアット
- 雑誌掲載文章は「ザンギュラはキックボタン3つ同時押しで足に判定のない、速めの回転のスーパーウリアッ上が出せる」。
- ストリートファイターII'TURBOの第一報兼ロケテストレポートの中での誤植。ゲーメスト最強の誤植・伝説の誤植と云われる。ちなみに、スーパーラリアットは開発中の仮称で、発売時は「ハイスピードダブルラリアット」となっている。なお、余りに酷いこの誤植に対し、写植業者に抗議を行おうと編集者が原稿を確認したところ、誰がどう見ても「ザンギュラのスーパーウリアッ上」としか読めなかったというオチが付いた。
- 『レバー入れ大ピンチ』
- 正:レバー入れ大パンチ
- ヴァンパイアのザベルの攻略記事での誤植。技の性質上、レバー入れ大パンチは隙が大きく、ヒットさせないと大ピンチに陥ることは確か。
- 格闘ゲーム用語。同様に『大パンツ』、『大パチン』などの誤植もある。
- 『ファイナルゴロー』
- 正:ファイナルブロー
- 本来はタイトーのボクシングゲーム。
- 『確かみてみろ』
- 正:確かめてみろ
- コミック『RYU FINAL』最終回最後の台詞。感動を台なしにされたとして、ファンの間では良くも悪くも語りぐさとなっている。
[編集] 記事中の誤植
意図して入れているという噂まで立てられたほど、ゲーメストには恒常的に誤植が発見された。以下一例。
- 『鉄拳』シリーズの記事で「Heihachi mishima(三島平八)」を「Heihachi Kazama(風間平八)」としたり、江田島平八としたり、挙げ句の果てに風間仁が「三島平八と風間準の息子」と再三に亘って誤記する。
- 『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズの登場キャラ「ハイデルン」の名前を通算3回にわたって「ハイデルソン」「ハキデるン」「ハンデルン」と誤植。
- 上記以外にもタイトル・人名・技名の誤植は非常に多く、「テリー」→「テワー」、「ネクロ」→「オクロ」、「ビシャモン」→「ビン+モン」、「ブランカ」→「ブララカ」、『クイズDNAの反乱』(テクモ発売のクイズゲーム)→『クズDNAの反乱』『クイズDANの反乱』、『グラディウスIII』→『グブディウスIII』、『超鋼戦紀キカイオー』→『長江仙鬼奇怪王』、『ジョジョの奇妙な冒険』→『ジョジョの奇妙な花嫁』、「ヴォルカニックバイパー」(ギルティギアシリーズのソルというキャラが使う必殺技)→「ヴォルカニックアイパー」、「スピニングバードキック」→「スピニングバードナックル」「ジャンプニーキック」→「ジャンニーキックプ」など多数見受けられた。
- 攻略・読者コーナー・ハイスコアランキングの記事でも、「ディ○ニーランド」を「ディ○ズニーランド」と伏せ字の意味がなくなるような誤植や、「神のみぞ知る」→「神のみそ汁」、「サービスエリア・イン・高岡」(富山県高岡市にあるゲームセンター)→「サービスエイリアン高岡」など、これまた多数の誤植があった。
- 格闘ゲームの連続技の紹介で、「見よ満タンからこの減り」などと書いてあるが、写真では体力ゲージが減っていなかったり、体力ゲージそのものが写っていなかったり、まったく無関係のゲーム画面が写っていたりした。
- 『ストリートファイターEX2』と別ゲームのハイスコアが一緒に掲載される。
- 『リアルバウト餓狼伝説』の攻略記事中、ある必殺技のガード後に反撃可能な技の一覧に何故か「必勝無頼拳」(※他のゲームの技)。
- 『X-MEN Children of The Atom』のセンチネルというキャラの技紹介で、「具体的にセンチネルの2択とは、ジャンプ中キックと大足払いなのだが、まずは中キックと強足払いなのだが、まずは中キックの全種類を説明しておこう」とまったく具体的といえない混乱した文章が掲載。
- 『海底大戦争』の攻略記事で「上を撃つと速くなり、上を撃つと遅くなる」等と、一行で矛盾していた。
[編集] 予告・目次中の誤植
目次に書いてあるはずの記事がない、というのもよくあることであった。
- 次号予告で「2月30日発売」。
- 9月30日発売号のプレゼントの応募締め切りが「9月30日必着」。
- ムック(同じ新声社から出版されていたゲーム攻略本)の記事なのに、「前々号にも書いたとおり~」。
- 目次の『怒首領蜂』の記事概要で『豪鬼使用コマンド公開』。
- 「先月号の誤植と訂正」の中にさらに誤植があり、次の号で「「先月号の誤植と訂正」の中に誤植がありました」等というお詫びが掲載された。他にも、「誤植を撲滅します!」という担当者の決意文の2行あとに誤植があったりした。
- 編集長の名前までもが「右井ぜんじ」に。
[編集] その他
- 『ジャンプ大パンチ アンパン 塩ラーメン』
- 正:ジャンプ大パンチ アッパー 昇竜拳
- 誤植ではなく、コミックゲーメストのゲーパロ4コマグランプリへ投稿された4コマ漫画。オチは「問題点は、アンパンから塩ラーメンが連続で入らないことだ」
- リュウ・ケンの代表的なコンボを誤植風にアレンジ。荒唐無稽に見えるが、ゲーメスト本誌のあまりの誤植の酷さ故、ありえなくもないところが失笑を誘う。数ある誤植をネタにしたものでも語り継がれる名作。「ジャンプ大パンチ」部分は唯一まともなため、「ジャンプ大パチン」「めくり大パンツ」等に差し替えられることもある。
- 桜瀬王虎姫
- 正:桜瀬琥姫
- コミックゲーメストで見られた掲載作家の名前の誤植。
- 「サムライスピリッツ」(王虎)が大ヒット中だったため、ある意味タイムリーだった。
[編集] 漫画連載
ゲーム雑誌らしく、アーケードゲーム作品と関連した漫画を連載することもあったが、休載・打ち切りが多いことでも有名であった。完結作品の代表的なものとして、中平正彦の「ストリートファイターZERO」などがある。「ストリートファイターIII」に登場する必殺技「真・昇龍拳」が生まれたのもこの作品からとされる。
ほか、広告として連載されていたものが人気を博していたこともある。代表的なものとして、東陽片岡の「てくなーとマンガ」や、小林真文の「そんなんARIKA」など。「そんなんARIKA」は後継誌にあたる『アルカディア』にも掲載されていた。
[編集] 読者投稿
「アイランド」という読者投稿コーナーが存在し、当時のアーケードゲームに関連した文章・イラスト・マンガが投稿されていた。
ここでの投稿作家から、後にイラストレーター・漫画家に転身したものも多い(雑君保プや吉崎観音、古葉美一など)。
アーケードゲームをネタにした、読者からの4コママンガ投稿ページである「ゲーパロ4コマグランプリ」は特に人気が高く、単行本の売上は本誌やコミック以上であったとも言われ、今でも語りぐさとなっている。
[編集] 廃刊とその後
新声社の倒産により、1999年8月30日発売の第274号(9月30日号)をもって廃刊となった。その号に廃刊・休刊などの報は書いていない。
廃刊時のスタッフの一部はアスキー(現在のエンターブレイン)へ移り、アーケードゲーム専門雑誌『アルカディア』を創刊した。
[編集] 関連ページ
- ゲーメスト大賞 - ゲーメスト主催のアーケードゲーム専門年間表彰。
- 私立ジャスティス学園 - ゲーム中に広告を掲載していた。
- 対戦ホットギミック デジタルサーフィン - 編集長と名物編集員が「ジャンメスト」として出演していた。