中沢佑
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中沢 佑（なかざわ たすく、1894年(明治27年)6月28日 - 1977年(昭和52年)12月22日）は、日本の海軍軍人。最終階級は海軍中将。長野県諏訪市出身。
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[編集] 略歴
旧制長野県諏訪中学校より海軍兵学校第43期入校。入校時成績順位は100名中第71位、卒業時成績順位は96名中第19位。
妻英子は陸軍大佐土方久路長女。
海軍大学校入校までは殆ど艦船勤務を占め、卒業後は参謀と軍令勤務が示すように、一見すると対英米強硬派である艦隊派の範疇に見られがちであるが、中沢はれっきとした対英米避戦良識条約派であり、その点では軍令部次長伊藤整一の思考に近い存在と言える。嶋田繁太郎海軍大臣兼軍令部総長の奇矯とも言うべき言行動にははなはだ手を焼いていたらしく、残された中沢の日記にそれを窺わせる不満と憤りを感じさせる記述が垣間見られる。
東條内閣が総辞職後小磯國昭が発足すると、米内光政が海軍大臣に就任したが、米内は中沢に新体制に残留するように強く慰留に務め、井上成美海軍次官や海軍兵学校同期の高木惣吉も中沢に強く残留を望んだが、不本意ながら海軍部内に於いてあ号作戦失敗の張本人と看做され、更に中沢が親嶋田一派と誤解されており、また中沢本人も前線勤務を希望したため、本人の意向を尊重して台湾への転属が実現した。
戦後は戦犯裁判に依り重労働10年の刑を受け仮釈放されるまで巣鴨刑務所に収監される。
[編集] 人物像
長野県南信人特有の頑固なまでの生真面目さが特徴的な人物だったらしい。
昭和20年11月1日の定期人事異動に依り木村昌福、矢野志加三と共に海軍中将に昇進した。
[編集] 年譜
- 1893年(明治26年)8月5日- 長野県諏訪郡上諏訪村(現在の諏訪市)生
- 1912年(大正元年)9月9日- 海軍兵学校入校 入校時成績順位100名中第71位
- 1915年(大正4年)12月16日- 海軍兵学校卒業 卒業時成績順位96名中第19位・任 海軍少尉候補生・装甲巡洋艦「吾妻」乗組・練習艦隊近海航海出発 佐世保~仁川~旅順~大連~鎮海~舞鶴~鳥羽方面巡航
- 1916年(大正5年)4月3日- 帰着
- 1918年(大正7年)4月6日- 戦艦「伊勢」乗組
- 12月1日- 任 海軍中尉・海軍水雷学校普通科学生
- 1919年(大正8年)5月23日- 海軍砲術学校普通科学生
- 1920年(大正9年)5月20日- 帰着
- 1921年(大正10年)12月1日- 任 海軍大尉・海軍水雷学校高等科第21期学生
- 1922年(大正11年)11月30日- 海軍水雷学校高等科優等修了
- 12月1日- 2等駆逐艦「菱」乗組
- 1923年(大正12年)5月1日- 1等海防艦「浅間」分隊長 少尉候補生指導官
- 1924年(大正13年)4月5日- 帰着
- 4月10日- 第15号駆逐艦艤装員
- 12月1日- 第1潜水戦隊参謀
- 1926年(大正15年)12月1日- 海軍大学校甲種第26期学生
- 1927年(昭和2年)12月1日- 任 海軍少佐
- 1928年(昭和3年)11月26日- 海軍大学校甲種卒業 卒業成績順位22名中第8位
- 1929年(昭和4年)11月30日- 第2艦隊司令部参謀
- 1930年(昭和5年)11月15日- 聯合艦隊兼第1艦隊参謀
- 1931年(昭和6年)12月1日- 海軍省軍令部出仕
- 1932年(昭和7年)1月11日- 在アメリカ日本大使館附海軍駐在武官府補佐官附 スタンフォード大学留学
- 1934年(昭和9年)1月20日- 帰朝
- 3月10日- 軍令部第1部第1課 対米戦作戦班長
- 1936年(昭和11年)11月2日- 聯合艦隊司令部附
- 12月1日- 任 海軍大佐・聯合艦隊兼第1艦隊先任参謀
- 1937年(昭和12年)12月1日- 軍令部第1部第1課長
- 1939年(昭和14年)11月15日- 兼 陸軍参謀本部員
- 1940年(昭和15年)10月15日- 重巡洋艦「足柄」艦長
- 1941年(昭和16年)7月5日- 軍令部出仕
- 1942年(昭和17年)11月1日- 任 海軍少将
- 1943年(昭和18年)6月15日- 軍令部第1部長
- 1944年(昭和19年)12月5日- 第1航空艦隊司令部附
- 12月20日- 第21航空艦隊司令官
- 1945年(昭和20年)2月5日- 台湾航空隊司令官
- 1946年(昭和21年)4月30日- 予備役編入
- 1948年(昭和23年)12月10日- 横浜軍事裁判所 重労働10年刑宣告
- 1952年(昭和27年)4月11日- 身柄仮釈放
- 10月1日- アメリカ海軍横須賀基地勤務
- 1962年(昭和37年)12月31日- アメリカ海軍横須賀基地退職
- 1977年(昭和52年)12月22日- 死去 享年83
[編集] 参考文献
- 海軍中将中沢佑(中沢佑記念刊行会編・原書房)
- 戦史叢書・第29巻 北東方面海軍作戦 (防衛庁防衛研修所戦史部編・朝雲新聞社)
- 戦史叢書・第71巻 大本営海軍部・聯合艦隊(5) (防衛庁防衛研修所戦史部編・朝雲新聞社)
- 戦史叢書・第45巻 大本営海軍部・聯合艦隊(6) (防衛庁防衛研修所戦史部編・朝雲新聞社)
- 戦史叢書・第37巻 海軍捷号作戦(1) (防衛庁防衛研修所戦史部編・朝雲新聞社)
- 戦史叢書・第56巻 海軍捷号作戦(2) (防衛庁防衛研修所戦史部編・朝雲新聞社)
- 戦史叢書・第93巻 大本営海軍部・聯合艦隊(7) (防衛庁防衛研修所戦史部編・朝雲新聞社)
- 高松宮日記(細川護貞・阿川弘之・大井 篤・豊田隈雄編・中央公論新社) ISBN 4-12-490040-6 C0320
- 細川日記(中央公論新社) ISBN 4-12-000818-5 C0020
- 高木惣吉日記と情報・上下巻(みすず書房) ISBN 4-622-03506-5 C3031
- 海軍大将米内光政覚書(高木惣吉著・光人社) ISBN 4-7698-0173-4 C0095
- 昭和史探訪(3)太平洋戦争前期 (対談)統帥乱れる「北部仏印進駐」 (三国一朗編・番町書房)
- 米内光政(阿川弘之著・新潮社) ISBN 4-10-300413-4 C0093
- 井上成美(阿川弘之著・新潮社) ISBN 4-10-30414-2 C0093
- 日本陸海軍の制度・組織・人事(日本近代史料研究会編・東京大学出版会)
- 海軍兵学校沿革・第2巻(海軍兵学校刊)
- 海軍兵学校出身者名簿(小野寺 誠編・海軍兵学校出身者名簿作成委員会)
