保護司
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保護司(ほごし)は、保護司法に基づき、法務大臣の委嘱を受けて犯罪や非行に陥った人の更生を支援する非常勤の国家公務員。
法務省所管の地方支分部局であり、各都道府県庁所在地(北海道にあっては、札幌のほか、函館、旭川、釧路)におかれた保護観察所の長の指揮下に職務を行う。無給なので、実質的には公務員というよりはボランティアである。犯罪者予防更生法では、保護観察官で十分でないところを補う、とされているが、保護観察官の人数が絶対的に不足していることから、更生を支援する活動の担い手は、保護観察官より保護司が主となっている、との指摘も一部にある。犯罪や非行に陥った者が保護観察を受けることになると、その期間中、保護観察所の保護観察官とともに、対象者と面接して生活状況を調査し、保護観察中に決められた約束事(遵守事項)を守るように指導をし、生活相談など社会復帰への手助けをする。また、刑務所や少年院などの矯正施設に入っている者について、釈放後の帰住先が更生のために適当かどうかを調査し、その環境を調整する。そのほか法務省の主催する「社会を明るくする運動」も中心になって運営し、地域における犯罪予防運動も行う。
こうした更生を手助けする公的なボランティア制度は、日本発祥の制度である。
保護司の任期は2年で、全国に約5万人いる(保護司法規定の上限は52500人)。保護司は各保護区(政令で定められた区域)ごとに定員があり、保護観察所に置かれた保護司選考会によって選出される。保護司法によれば、地域で信望があり、時間の融通が利きやすいことなどが保護司になる条件とされる。保護司が年々高齢化しているため、若返りを図る目的で、法務省は2004年以降76歳以上の者への再委嘱はしないことを決めた。そのため、大量に退任者が出ることとなったため、人材難が憂慮されている。 地域の警察署や公共団体が推薦することもあるが、多くは、保護司自身の人脈によって候補者を探し出しているため、人材を発掘するための方策が模索されている。現状では地方議会議員、宗教家、自営業者、公務員経験者などが多い。