地方議会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
地方議会(ちほうぎかい)とは、地方における議決機関である。ここでは日本の地方公共団体に置かれる議会について記述する。
日本の統治機構 | ||
---|---|---|
日本国憲法 | ||
天皇 | ||
立法 | 行政 | 司法 |
国会 ・衆議院 ・参議院 |
内閣 ・内閣総理大臣 ・国務大臣 ・行政機関 |
裁判所 ・日本の裁判所 ・最高裁判所 ・下級裁判所 |
地方自治 | ||
地方公共団体 ・地方議会 |
・首長 |
|
国民(主権者) | ||
・日本の選挙 | ・日本の政党 |
目次 |
[編集] 議会が置かれる地方公共団体
[編集] 法的根拠
日本国憲法第93条では、普通地方公共団体には、その住民に直接公選された議員をもって組織する議会を置くことが要求されている。ただし、町村では条例で議会を置かず、これに代えて選挙権者の総会である町村総会を設けることができる(地方自治法第94条及び第95条)。
[編集] 組織
[編集] 選挙
後記の組合団体を除けば、国政選挙同様に日本国籍を有し20歳以上で選挙区において住民登録を行った後3ヶ月以上経過する住民を有権者とする直接選挙により選ばれる。原則として単記非委譲式の大選挙区制(複数の定数の選挙区で投票者は一人の候補に対して投票し、単純に得票の多い候補から順に当選する)だが、定数1の選挙区も存在する。都道府県議会の場合は市・郡を基本単位とする複数の選挙区から選出する。市町村および東京都特別区は単一選挙区とする場合と複数の選挙区を分ける場合と二通りある。地方議会および首長の任期は日本全国で同一の周期であるものが多いため、これらの選挙を全国で同一時期に実施する統一地方選挙が国政における政局に対しても大きな影響を与えている。
[編集] 組合議会の議員選出
一部事務組合や広域連合等の、地方公共団体の組合としての特別地方公共団体の議会の議員は、構成地方公共団体の議員から、互選で選出されるかもしくはそのまま組合団体の議会議員を兼ねる。
[編集] 権限
地方自治法では、憲法の定める首長制(地方公共団体の長を住民の公選により議会の議員とは別に選ぶ制度)のもとで、議会の地位の強化が図られている(地方自治法第96条~第100条)。
(ただし、一定の制約あり。減額修正については制限はないと解されている。)
- 執行機関の事務に関する検閲、検査権(第98条第1項)
- 監査委員に対し監査を求めること(第98条第2項)
- 国会又は関係行政庁に意見書を提出すること(第99条)
- 普通地方公共団体の事務に関する調査権(第100条)
[編集] 意見表明権
普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。(地方自治法第99条)
- ここでいう関係行政庁には、国の行政機関のほか、地方公共団体の行政機関も含まれる。
なお、当該意見書は地方公共団体の機関たる議会の意思を決定・表明するものであり、地方公共団体の団体意思を決定・表明するものではない。 したがって、当該意見書の発案権は議員のみが有しており、地方公共団体の長等はこれを有さない。
[編集] 請願
普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。(地方自治法第124条)
- なお、議員の紹介がないものを陳情という。
普通地方公共団体の議会は、その採択した請願で当該普通地方公共団体の執行機関において措置することが適当と認めるものは、これらの者にこれを送付し、かつ、その請願の処理の経過及び結果の報告を請求することができる。(同法第125条)
執行機関は請願を誠実に処理しなければならない(請願法第5条)とされるが、請願により法的に拘束されるわけではない。
[編集] 招集、会期
年4回以内の定例会制度を採用し、会期の開閉、延長等に関する自主的権限が認められている(地方自治法第101条~第138条)。
- 招集(第101条)
- 長が招集する。
[編集] 議長及び副議長
- 議長の権限
- 委員会に出席し発言できる。(第105条)
[編集] 委員会
委員会は、議会で審議される案件に、専門的知識や経験を生かし事前審査をおこなうための審議機関である。
議会の自主的な活動を推進するために、条例で常任委員会(第109条)・議会運営委員会(第109条の2)・特別委員会(第110条)を設置することができる。
[編集] 会議
- 議長または議員3人以上の発議により、出席議員の多数で議決したときは秘密会を開くことが出来る(第115条)
- 議事録(第123条)
- 議長及び2人以上の議員が署名しなければならない。
[編集] 議会の解散・議員の解職
住民からの直接請求(リコール)によって議会の解散・議員の解職を求めることができる(地方自治法第13条、第76条~第80条)。
- 議員数の4分の3以上が出席し、出席議員の5分の4以上の多数の賛成が必要によって、自主解散をすることができる(地方公共団体の議会解散に関する特例法)。
- 首長不信任が可決した場合、10日以内に首長は議会を解散することが出来る(第178条)。
[編集] 地方公共団体の長との関係
- 長は、議決について異議あるときは、再議に付すことができる(第176条1項)。その場合、出席議員の3分の2以上の者の同意が必要になってくる(3項)。
- 長の不信任議決(第178条)
- 執行機関の長である普通地方公共団体の長は、議会の違法な議決等について再議に付するなどの議決に対する拒否権が認められている(第176条・第177条)。
- 議会の権限に属する事項について長に専決処分をする権限が認められている(第179条)。
[編集] 給与その他の給付
- 報酬(第203条)
- 条例で議員に対して期末手当を支給することができる。
諸外国の地方議会制度を見ると、議員活動は殆どがボランティア制度の一環であり、議会等の出席に際しては日当と交通費の支給程度で運営されている。歳費や政務調査費等で優遇される日本の議会制度は行政コストを押し上げ、過激な選挙活動や汚職の根源となる側面がある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 日本の政治 | 議会 | 政治関連のスタブ項目