内田博幸
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内田 博幸(うちだ ひろゆき、1970年7月26日 - )は騎手。大井競馬場の荒井隆厩舎に所属。福岡県三潴町(現・久留米市)出身。兄の秀一も佐賀、川崎に所属し、通算527勝を上げた元騎手である。
勝負服の柄は胴青・赤山形一文字・袖白。
[編集] 来歴
1989年4月6日にデビュー。初勝利は同年5月7日に挙げる。当初は赤間清松厩舎所属。
1990年代には「追える若手騎手」として南関東地区では知られる存在であったが、的場文男・石崎隆之をはじめとする南関東のトップジョッキーたちの中にあっては影が薄かった。
また、自身の騎乗馬で重賞を勝つチャンスがありながら騎乗停止処分でレースに騎乗できなくなり、乗り替わった騎手に重賞を勝たれる不運に見舞われたこともあった(平成4年東京大賞典:ドラールオウカン→堀千亜樹、平成9年帝王賞:コンサートボーイ→的場文男)。
しかし2000年頃から従来南関東リーディングの上位に進出するようになり、2004年は413勝を挙げて南関東ナンバー1ジョッキーの座に就いた。
2005年には465勝(他にJRAで31勝)をあげ、2年連続の南関東リーディングジョッキーとなった。その上、南関東エリアの4競馬場(大井競馬場、川崎競馬場、船橋競馬場、浦和競馬場)全てで、その競馬場でのリーディングを獲得するという、特筆すべき活躍ぶりを見せている(従来は石崎、的場のどちらかが南関東のリーディングであっても、それぞれ自らの所属する競馬場でのリーディングだけは相手に譲らないなど、「完全制覇」をすること自体がまれであり、これは佐々木竹見以来の偉業である)。同年には通算2000勝を達成し、名実共に現代の地方競馬を代表する騎手の一人となった。また、同年3月26日に開催されたドバイワールドカップには、アジュディミツオーと共に地方競馬からの初参戦を果たすが6着に終わった。
2006年にはまずアジュディミツオーとのコンビで南関東古馬統一GIを完全制覇。さらにジャパンダートダービーをも制しダービージョッキーとなる。7月18日には通算2500勝を達成。これは、南関東史上9人目、南関東現役では4人目の記録である。そして佐々木竹見の不滅の金字塔と言われた3年連続400勝突破を達成。12月の全日本2歳優駿をも制し、これが年間500勝目の勝ち鞍となり、12月18日の浦和競馬場の第11レースで1番人気のトーセンマンボに騎乗して勝利、佐々木の持つ年間505勝の日本記録を遂に塗り替え、最終的には524勝まで勝ち星をのばした。佐々木の505勝という記録は全て南関東での勝ち鞍であるが、505勝を達成した時点での勝率は内田が上回っていた。
中央競馬にも騎乗機会を確保できれば積極的に参戦する姿勢を見せており、重賞は2003年の共同通信杯をラントゥザフリーズで、2005年のニュージーランドトロフィーをマイネルハーティーで制している。2005年の朝日杯フューチュリティステークスでは、スーパーホーネットの手綱を取り、惜しくも2着となった。
2006年3月4日、中山競馬第11競走で同年より重賞となったオーシャンステークスを船橋競馬所属のネイティヴハートで16頭立ての14番人気という低評価を見事に覆して勝利し、中央競馬ファンにも豪腕ぶりを見せ付けた。さらには同年4月2日の中山競馬で、地方競馬所属騎手として初の12競走中6勝するという快挙を成し遂げ、8月20日の新潟競馬7レースでアナナスに騎乗し、JRA通算100勝をあげた(ちなみに同日の札幌競馬5レースでは、同じく地方出身の岩田康誠がJRA通算200勝をあげている)。9月30日にはJRA年間56勝を達成し、それまで安藤勝己が有していたJRA所属外騎手最多勝記録である55勝を更新した。それからも6勝を上げ、年間JRA勝利数を61まで伸ばし中央競馬リーディング16位とし、年末にはグランプリ有馬記念にドリームパスポートで挑み、4着に入る。
NARグランプリ最優秀騎手賞を2004年から3年連続で受賞するなど、現在地方競馬のトップ騎手であり、2006年にはJRAで2年連続20勝を達成した事でJRA騎手免許試験の1次試験免除の条件を満たしたが、内田は日本における騎手免許の一元化を希望していること、また取材に対して「今いる場所(=大井)からでも世界は狙えるから、無理して環境を変えることもないでしょう」と話していることからしても、今のところは地方競馬の騎手を続けていくようである。
2007年2月15日にグリーンチャンネルなどに出演していたフリーアナウンサー、鈴木文子との結婚を発表。一部報道では「再婚」となっており、過去に結婚していた時期があったものとみられる。
[編集] その他
経営不振で存続の危機にあり、2007年には廃止案も出された岩手県競馬組合を応援するため、同競馬組合を運営する盛岡市と奥州市に計130万円を寄付した。
[編集] 主な重賞勝ち鞍
- 南関東競馬
- 東京大賞典:アジュディミツオー(2004、2005年)
- かしわ記念:ストロングブラッド(2005年)、アジュディミツオー(2006年)
- 川崎記念:アジュディミツオー(2006年)
- 帝王賞:アジュディミツオー(2006年)
- ジャパンダートダービー:フレンドシップ(2006年)
- 全日本2歳優駿:フリオーソ(2006年)
- エンプレス杯:ジーナフォンテン(2003年)、プルザトリガー(2005年)、トーセンジョウオー(2007年)
- 東京2歳優駿牝馬:ダガーズアラベスク(2005年)
- ダイオライト記念:ヴァーミリアン(2006年)
- 関東オークス:チャームアスリープ(2006年)
- 羽田盃:シーチャリオット(2005年)
- 東京ダービー:シーチャリオット(2005年)
- 桜花賞:チャームアスリープ(2006年)
- 京浜盃:サワライチバン(2006年)
- マイルグランプリ:コンサートボーイ(1996、1997年)、アジュディミツオー(2006年)
- 埼玉新聞杯:ナイキアディライト(2006年)
- 船橋記念:プライドキム(2007年)
- 報知グランプリカップ:プライドキム(2007年)
- その他の地区
- 栗駒賞(水沢):ハタノアドニス(2003年)
- JRA
- 共同通信杯:ラントゥザフリーズ(2003年)
- ニュージーランドトロフィー:マイネルハーティー(2005年)
- 根岸ステークス:リミットレスビッド(2006年)
- オーシャンステークス:ネイティヴハート(2006年)