在日米軍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
在日米軍(ざいにちべいぐん、United States Forces Japan、略称USFJ)は、在日アメリカ軍、または条約などでは日本国における合衆国軍隊ともいい、日米安全保障条約第6条により日本国内に駐留するアメリカ合衆国軍の総称である。なお、日本には、キャンプ座間などに常駐している数十人の国連軍駐日武官や、各国大使館の駐在武官、係争中の領土を除き、米軍以外に駐留する外国軍はいない。
[編集] 概要
前身は1945年以降連合国による日本占領軍(連合国軍最高司令官総司令部)を構成していた米軍であり、1951年9月の(旧)日米安全保障条約締結によって丸ごと衣替えした。現在は陸軍の装甲部隊は置かれておらず、(仮に、日本が実力行使で在日米軍を排除しようとすれば)駐留軍は現存の正面戦力だけでは自衛隊に抵抗出来ないとされている。
日本に対する攻撃への抑止のみならず、韓国や台湾など東アジアの西側諸国に対する攻撃の抑止力としての存在意義も大きく、東アジアのパワーバランスで大きな地位を占めている。湾岸戦争、アフガンや中東にもその一部が派兵されている。イラクへは、航空遠征軍として米軍三沢基地(青森県)からF16戦闘機12機と整備要員100人が出動し、米軍嘉手納基地(沖縄県)から空軍兵600人以上が派遣されている。(2007年1月11日付米空軍ニュース)
近年、米軍再編(米軍トランスフォーメーション)により在日米軍再編が進みつつある。 冷戦後の世界情勢の変化に伴う、米軍の基本戦略の変化に鑑み、今後ますます編成は流動的に変化していくものと思われる。
[編集] 四軍司令部と基地
- 在日米軍司令部:横田飛行場(Yokota Air Base、東京都)
[編集] 陸軍
- 1,790人(2004年9月末)
- 在日米陸軍司令部:キャンプ座間(神奈川県座間市・相模原市)
- キャンプ座間
- トリイステーション(沖縄県)、Fort Buckner基地
- 物資の調達、管理などの補給関係者と無線傍受などに当たる情報関係者。
- 米陸軍第1軍団司令部を移す計画が浮上している。
[編集] 海軍
[編集] 空軍
- 14,240人(2004年9月末)
- 在日米空軍司令部(米第5空軍・米第13空軍司令部):横田飛行場(Yokota Air Base)
[編集] 海兵隊
- 15,533人(2004年9月末)
- キャンプ・フォスター(Camp Foster、キャンプ瑞慶覧ともいう)
- 沖縄の米兵の60%に当たる15,000人余が海兵隊員。
- 沖縄県の普天間基地と山口県の岩国基地の第1海兵航空団と第3海兵師団を組み合わせて「第3海兵遠征軍」が構成されている。
- 日本全体には19,238人(2003年3月末)駐留しており、在日米軍総員の48%を占めている。
在日米軍関係では様々な問題が絡み、日米双方議会で議題として取り上げられることもあるが、それら諸問題についてはページ下記の関連項目を参照されたし。
[編集] 都道府県別の米軍施設
平成16年(2004年)現在で27都道県に置かれている。施設の70パーセントは沖縄県に集中する一方で、四国・近畿・中京・日本海側にはほとんど置かれていない。また、首都圏では東京都の首都中枢を取り囲むように設置されているが、陸上戦力はほぼ皆無である。
なお、各基地に郵便物を送付する際、日本の郵便と米国の郵便(軍事郵便)の二つを通ることになるため、たとえ速達であっても送達に非常に時間がかかる(急を要する郵便物を送付したい場合、宅配業者に依頼する方がよい)。
日本国内の一般電話から、在日米軍基地内の軍電に電話発信する際の呼出音も、米国と同じトーン(プルルルルではなく、ズー・ズー)となる。また、軍電から一般電話への発信は、番号非通知となるため、非通知着信を拒否する設定の場合、軍電から連絡を受けることができない。
[編集] 北海道 18施設
- 陸軍
合計面積:344,634,000㎡
[編集] 青森県 6施設
- 空軍
合計面積:31,948,000㎡
[編集] 岩手県 1施設
合計面積:23,265,000㎡
[編集] 宮城県 3施設
合計面積:45,699,000㎡
[編集] 山形県 1施設
合計面積:1,310,000㎡
[編集] 茨城県 1施設
合計面積:1,078,000㎡
[編集] 群馬県 1施設
合計面積:5,802,000㎡
[編集] 埼玉県 4施設
- キャンプ朝霞(AFN送信所)
- 所沢通信施設(旧所沢飛行場)
- 大和田通信所(一部が東京都へまたがる)
合計面積:2,036,000㎡
[編集] 千葉県 1施設
合計面積:2,102,000㎡
[編集] 東京都 8施設
- 陸軍
- 赤坂プレスセンター(ハーディバラックス、麻布ヘリコプター基地)
- 海軍
- 硫黄島通信所
- ニューサンノー米軍センター
- 空軍
合計面積:16,030,000㎡
[編集] 神奈川県 16施設
- 陸軍
- 海軍
- 根岸住宅地区
- 富岡倉庫地区
- 上瀬谷通信施設
- 深谷通信所
- 小柴貯油施設(2005年10月18日に施設大半の返還が決定)
- 鶴見貯油施設
- 吾妻倉庫地区
- 横須賀海軍施設(海軍第7艦隊司令部)
- 浦郷倉庫地区
- 池子住宅地区及び海軍補助施設(旧池子弾薬庫)
- 厚木海軍飛行場(滑走路は海上自衛隊と共用)
合計面積:21,421,000㎡
[編集] 山梨県 1施設
合計面積:45,967,000㎡(静岡県にまたがる)
[編集] 静岡県 4施設
合計面積:89,163,000㎡(一部が山梨県にまたがる)
[編集] 新潟県 1施設
合計面積:14,087,000㎡
[編集] 石川県 1施設
合計面積:1,606,000㎡
[編集] 岐阜県 1施設
合計面積:1,626,000㎡
[編集] 滋賀県 1施設
合計面積:24,538,000㎡
[編集] 兵庫県 1施設
合計面積:10,000㎡
[編集] 広島県 7施設
合計面積:5,227,000㎡
[編集] 山口県 2施設
- 海兵隊
合計面積:5,731,000㎡
[編集] 福岡県 2施設
合計面積:1,415,000㎡
[編集] 佐賀県 1施設
合計面積:13,000㎡
[編集] 長崎県 13施設
- 海軍
合計面積:4,594,000㎡
[編集] 熊本県 3施設
合計面積:16,242,000㎡
[編集] 大分県 2施設
合計面積:56,384,000㎡(一部が宮崎県にまたがる)
[編集] 宮崎県 2施設
合計面積:9,195,000㎡(一部が大分県にまたがる)
[編集] 沖縄県 37施設
海兵隊関連施設が多いのは、沖縄統治に当たっての働きを考慮した論功行賞であるため、占有部分の返還には絶対に応じないだろうと言われている[要出典]。
- 陸軍
- 海軍
- 楚辺通信所(通称「象のオリ」)
- 天願桟橋
- キャンプ・シールズ
- 泡瀬通信施設
- ホワイト・ビーチ地区
- 黄尾嶼射爆撃場
- 赤尾嶼射爆撃場
- 沖大東島射爆撃場
- 空軍
- 奥間レスト・センター
- 八重岳通信所
- 瀬名波通信施設
- 嘉手納弾薬庫地区
- 嘉手納飛行場(通称「嘉手納基地」)
- 鳥島射爆撃場
- 出砂島射爆撃場
- 久米島射爆撃場
- 海兵隊
- 北部訓練場
- 伊江島補助飛行場
- キャンプ・シュワブ
- 辺野古弾薬庫
- キャンプ・ハンセン
- キャンプ・キンザー
- キャンプ・シールズ
- ギンバル訓練場
- 金武レッド・ビーチ訓練場
- 金武ブルー・ビーチ訓練場
- 読谷補助飛行場
- キャンプ・コートニー
- キャンプ・マクトリアス
- キャンプ桑江(別称・キャンプ・レスター)
- キャンプ瑞慶覧(別称・キャンプ・フォスター)
- 普天間飛行場
- 牧港補給地区
- 津堅島訓練場
- 浮原島訓練場
合計面積:236,812,000㎡
[編集] 合計
135施設 1,011,359,000㎡
[編集] 在日米軍の抱える課題
在日米軍は日本を基点として活動を行っているため、日本と同じ地理的環境に置かれる。また海外駐留の軍隊であるため、現地のインフラに依存する面もあり、以下の軍事的・政治的な問題点が指摘されている。すなわち、
- 在日米軍が消費する石油は、その多くが中東からの輸入に頼っている
- 在日米軍の後方業務の一部が、日本企業に委託されている
1.については(基地が日本にある以上当然ながら)日本と同じ状況であり、対策としてシーレーンの確保が重要とされる。マラッカ海峡などの要衝が重視されている理由の一つでもある。現在のところ、日本は東アジアから中東にかけての展開拠点となっているため戦略備蓄も手厚く、燃料の不足が問題になった例はない。
2.については複数の業務が日本企業に委託されている。米軍の持つ装備は技術的に高水準であり、整備にも高い技術力が必要とされる。しかし整備のたびに米本土へと装備を輸送していては効率が悪い。そこで日本企業は技術的にも十分なものを持っているため、近場という利便性を考えて業務委託がされているのである。また、委託されている業務の中には、東アジア全体で見ても日本でしか実現困難なものも存在する。高度な設備と技術が必要な、空母の整備などはその代表例である。この意味では、在日米軍は日本のインフラに依存していると考えることができるかもしれない。しかし、一部の依存があるといっても、日本政府が在日米軍、つまりは米政府に対して友好的であり、基地用地を提供し続ける限りは、それほど大きな問題にならない可能性が高い。
[編集] 米軍関係の自動車
自動車のナンバープレートで、米軍関係車両専用のプレートがあり、平仮名の位置に A, E, Y などのアルファベットが書かれているのが特徴である。米軍関係車両の登録台数は60000台弱程度で、そのうちの約27000台が沖縄ナンバーである。その他、八戸ナンバーは空軍三沢基地関係、多摩・八王子ナンバーは空軍横田基地関係、横浜ナンバーは海軍横須賀基地等の関係、相模ナンバーは海軍厚木基地、陸軍キャンプ座間等の関係、山口ナンバーは海兵隊岩国基地関係と推測できる。絶対的な登録台数は少ないが、静岡県御殿場市に駐留する海兵隊キャンプ富士の要員が登録している私有車両は、沼津ナンバーである。平成17年9月より駐留軍要員(米軍人・軍属)も基地の外に居住し、私有車の登録を希望する際は、車庫証明の取得が義務付けられた。これにより現在は、湘南・品川・川崎のYナンバーが存在する。車検証上所有者の所有者の住所欄には、所有者が所属する基地の所在地が記載されており、使用の本拠の位置には、実際に住んでいる(駐車している)基地外の日本の住所が記載されている。
また、自動車税が国民の2割に免除されていたり、ガソリン代に含まれる税が免除(計算の関係で基地内のガソリンスタンド内のみ適用)されるなど不公平な点も多いとされているが、自動車税に関してはYナンバーの車が基地の外と、基地の中の道路を走る割合を元に課税されているために、異なる税額との解釈もある。
公務中の米軍車両は、高速道路や有料道路の通行料が免除される(フリーパスではなく、料金所では公務通行であることを証明する書類を提示し、後で日本政府が料金を負担する)。このため、米軍人ならびに軍属やその家族が日本国内を遠方に旅行する場合、ヨコタツアーズなどの基地福利厚生部門が通行料金が免脱できる(toll included)という触れ込みで公用車扱い(日本陸運登録なし)のレンタカーや、空港・基地間連絡バスが運用されている。
米軍関係車両が交通事故を起こした場合、日本の警察だけではなく在日米軍の憲兵隊も検分に現れる。この事故が公務中であったことが米軍によって“証明”された場合、加害者軍人の身柄は米軍に移るため、それに対する日本の警察権・司法権・裁判権行使は日米地位協定第十七条に基づいて行われる(治外法権)。
軍公用車両のナンバープレート表示については上記の限りではなく、日本の書式と全く異なる米国フォーマットのもの、及びむき出しのプレートに黒にペイントされた簡易プレートが装着されている(大まかな書式についてはナンバープレート (日本)#駐留米軍車両を参照)。これらの車両は、日本の道路運送車両法、道路交通法の適用外であるため、ブレーキ、テールランプとウインカーが兼用(赤色もしくは白色点滅)のものがある。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- エンジンテクノロジー編集委員会(編)『自動車エンジン要素技術 Ⅱ 進化を続けるテクノロジーのすべて』,山海堂,2005年
[編集] 外部リンク
- United States Forces Japan(英語)
- 在日米海軍司令部(日本語)
- 在日米国海兵隊(日本語)
- 防衛施設庁 - 自衛隊や在日アメリカ軍の施設管理を行う日本の官庁
![]() |
この「在日米軍」は、軍事に関連した書きかけ項目です。この項目を加筆・訂正などして下さる協力者を求めています。(関連: ウィキポータル 軍事/ウィキプロジェクト 軍事/ウィキプロジェクト 軍事史) |
カテゴリ: 出典を必要とする記事 | 軍事関連のスタブ | 日本の軍事 | 在日米軍