地域研究
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地域研究(ちいきけんきゅう)とは、主に国家規模の地域を対象として、各地域の共時性に留意しながら、その地域の特色を他地域と比較しながら考察し、当該地域の政治、経済、産業、法制度、社会、文化、民俗などについて広く研究する学問分野である。
地域研究という名前からは、地域とは何か?、あるいは、国家や地方行政区が相互排他的であるのに対し、重層的、相互重複的に存在しうる地域の特質、といったことへの考察が連想されるが、これらはむしろ政治経済学分野の地域主義などでなされていて、地域研究で問われることは少ない。また、地縁関係に基づく基層的な地域社会を対象とする研究も地域研究ではなく社会学の対象とされている。一方、ユーラシア、南北アメリカといった広域的な地域の研究も国際関係論の対象とされ、地域研究で扱われることは少ない。地域研究は、国際関係論や比較政治学のように、複数の地域・国家の関係性や比較に留意するよりも、個々の地域を独立的に捉えようとする傾向が強い。
地域研究が盛んな日本国内の大学・研究機関としては、東京大学大学院総合文化研究科および東洋文化研究所、京都大学東南アジア研究所およびアフリカ研究所、北海道大学スラブ研究センター、東京学芸大学大学院地域研究教室、東京学芸大学教育学部(欧米研究専攻、アジア研究専攻、日本研究専攻)、東京外国語大学、大阪外国語大学、アジア経済研究所などがある。また、ミッション系の大学において、創設や宗派と関係の深い研究を行っている例も有る。たとえば、上智大学ラテンアメリカ研究所、同志社大学アメリカ研究科などである。
海外では、ロンドン大学東洋アフリカ研究科(SOAS)などがある。
しかし、今日、欧米や日本など先進国あるいは旧宗主国における地域研究は、徐々に最先端から離れている。さらに、有る程度政治や社会環境が落ち着いた国に関する研究は、現地や周辺国の大学・研究機関あるいは、現地の研究者によるものが徐々に主流を占めつつある。
[編集] 地域研究と地誌学の相違点
地域研究は一見地誌学と似ているが、相違点もある。
地域研究は原則として自然科学的な方法を排除するが、地誌学は自然科学的な研究方法を用いる 地域研究は自然科学的な研究方法は原則として用いないが、地誌学は人文科学・社会科学・自然科学全ての研究方法を用いる。したがって地域研究では対象としない地域の自然(地形・水文・気候等)は地誌学の研究対象となる。また政治・経済・産業・法制度・社会・文化・民俗等について見るべきものがなく、地形・水文・気候等しか研究対象のない北極地方や南極地方は地誌学の研究対象となるが、地域研究の対象とはならない。ただし、近年、環境問題・環境政策のようにある程度は自然科学の知識が必要な問題が地域研究の課題とされるようになっているため、この区別は絶対的なものではなくなっている。
地域研究は国外のみを対象とするが、地誌学は世界と自国を対象とする ただし、地域研究の比較対照として自国を用いる場合は多い。さらに、ここから派生し東京大学などで進められている比較日本研究も地域研究の一部と理解すべきである。