文化
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文化(ぶんか)
- 人間が長年にわたって形成してきた慣習や振舞いの体系。本稿で以下に記す。
- いわゆるハイカルチャー(文学、美術など)を指すことも多い。例えば「日本文化史」と称する本の多くは、源氏物語や和歌、仏教美術など上位の階層が担った文化の記述が大半を占めているはずである。
- (上記の意味から派生)日本において主に大正時代に生まれた(あるいは輸入された)商品によく冠された言葉。文化包丁、文化住宅、、文化鍋など
- 日本の元号の一つ。文化 (元号)を参照。
文化(ぶんか、culture)とは、人間が長年にわたって形成してきた慣習や振舞いの体系を指す。
- やや特殊であるが、動物にも文化を認める考えもある。これについては文化 (動物)を参照されたい。
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[編集] 文化の範囲
衣、食、住などの日常生活に関わる慣習や習俗、さらにそれを支える芸能、道徳、宗教、政治、経済といった社会構造まで文化の幅は非常に広く捉えられてきた。イギリスの人類学者エドワード・タイラーは、文化を、上述のようなものに加え、人間が社会の成員として獲得したあらゆる能力と慣習が文化に含まれることを指摘している。また、タイラーは単独の要素よりも様々な文化要素の複合に着目し、それらが全体として文化を構成すると主張している。
社会の成熟度が増していくにつれて、文化的事柄の体系と分岐は、繊細さと精緻さの度合いを増していく。たとえば、茶道や華道のしきたり、決まりの細かさを見るとよいだろう。こうした様式の洗練は、文化の成熟の目安でもある。タイラーの指摘に従えば、茶道や華道が単独で文化を構成すると言うよりも、茶道が発達する社会的背景、慣習、宗教などの複合的全体が文化であると定義付けることができる。
[編集] 文化の尺度
また、文化は、「未開」の対極と考えられることもある。ラテン語colere(耕す)から派生した英語やドイツ語のcultureやKulturは、「文化」という意味以外に「耕す」、「培養する」、「洗練したものにする」、「教化する」といった意味合いを持つ。
[編集] 文化を担う集団
文化の概念は、通常、ある程度以上のサイズの人間集団に対してのみ用いられ、個人に適用されることはない。また、地域や集団、時代によって文化様式は大きく異なることがある。19世紀末から20世紀にかけて活躍したアメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトは、文化相対主義の立場から、個々の文化はそれぞれの固有様式で統合されており、他の文化からの基準では本当の意味では理解することができないと主張している。
文化は人間集団によって作られるが、同時に個々の人間も環境という形で、不断に文化に適応、学習させられていると考えられる。
日本文化や東京の下町文化、室町文化など地理的、歴史的なまとまりによって文化を定義するもの、おたく文化のように集団を構成する人を基準に文化を定義するもの、出版文化や食文化のように人の活動の種類によって定義するものなど、個々の文化は様々な形で定義、概念化される。
更に小規模な集団にも企業の「社風」、学校の「校風」、ある家系の「家風」などがあり、これらも文化と呼ばれる。
なお、一般には文化の概念を人間以外の動物に適用することはないが、文化の概念をより一般化した形で、動物にも認める考え方もある。文化 (動物)を参照。
[編集] 文化の特徴
人間は他の動物に較べ、環境に適応し生存していくための身体的特徴が少ない。動物の場合、肉食動物には牙や爪があり、寒冷地に住む動物が獲得した厚い毛皮や皮下脂肪など、生存のための顕著な有機体的特徴・機能を持っている。これに対し人間は、生存手段を生物としての身体的特徴以外に持っている。狩の際には狩猟のための文化、即ち狩の道具や獲物を解体する道具を用い、気候が寒冷ならばそれに適した文化、即ち体温維持可能な服装や住居・生活習慣を生み出してきた。このように、文化は有機体としての身体的特徴を超えたところに存在する。このような文化の特徴を、超有機体的性質という。文化のこの性質のために、人間は多様な環境に適応することができ、技術の進歩や社会体制・思想の変化などに応じ、新たな文化体系を生み出してきた。
[編集] 関連用語
[編集] 外部リンク
[編集] 関連書
- イーグルトン・テリー 大橋洋一 訳『文化とは何か』松柏社 ISBN 4775401009