大学評価・学位授与機構
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大学評価・学位授与機構(だいがくひょうか・がくいじゅよきこう、英 National Institution for Academic Degrees and University Evaluation)とは、大学、短期大学、高等専門学校並びに大学共同利用機関の教育研究活動の状況についての評価等を行うことにより、その教育研究水準の向上を図るとともに、 大学以外で行われる高等教育段階での様々な学習の成果を評価して学位の授与を行うことにより、 多様な学習の成果が適切に評価される社会の実現を図り、もって我が国の高等教育の発展に資することを目的とする日本の独立行政法人である。 東京都小平市の一橋大学小平国際キャンパスの一画約1万m2に位置し、所管の省は、文部科学省である。
目次 |
[編集] 業務
- 大学等の教育研究水準の向上に資するため、大学等の教育研究活動等の状況について評価を行い、 その結果について、当該大学等及びその設置者に提供し、並びに公表する「大学評価事業」
- 学校教育法に定めるところにより、学位(学士、修士、博士)を授与する「学位授与事業」
- 大学等の教育研究活動等の状況についての評価に関する調査研究及び学位の授与を行うために必要な学習の成果の評価に関する調査研究を行う「大学評価及び学位授与に関する調査研究事業」
- 大学等の教育研究活動等の状況についての評価に関する情報及び大学における各種の学習の機会に関する情報の収集、整理及び提供を行う「大学等に関する情報収集・整理・提供事業」
- 文部科学省の国立大学法人評価委員会からの要請に基づき、国立大学及び大学共同利用機関の教育研究活動に関する評価を行い、その結果について、国立大学法人評価委員会及び当該評価の対象となった国立大学又は大学共同利用機関に提供し、並びに公表する「国立大学法人評価事業」
[編集] 沿革
- 1990年 総合研究大学院大学に学位授与機関創設調査室および学位授与機関創設調査委員会を設置。
- 1991年 学位授与機構設置。
- 2000年 学位授与機構を大学評価・学位授与機構に改組。
- 2002年 大学評価結果の初公表。
- 2003年 東京都小平市の新庁舎に移転。
[編集] 組織
[編集] 機構長
[編集] 理事
- 川口昭彦
- 山本順二
[編集] 監事
- 観山正見(非常勤)
- 山野井昭雄(非常勤)
[編集] 国際連携センター長
[編集] 学位授与事業
大学評価・学位授与機構における主な事業のひとつである学位授与事業は、国立の大学校卒業生を対象とする学位授与及び短期大学・高等専門学校卒業生等を対象とする学位授与からなる。
[編集] 授与する学士学位の一覧
国立の大学校卒業生を対象とする学位授与
- 学士(人文科学)、学士(社会科学)、学士(理学)、学士(工学)
- 修士(理学)、修士(工学)、修士(安全保障学)
- 博士(理学)、博士(工学)
- 学士(医学)・博士(医学)
- 学士(水産学)・修士(水産学)
- 学士(海上保安)
- 学士(理学)
- 学士(工学)・修士(工学)
- 学士(看護学)・修士(看護学)
短期大学・高等専門学校卒業生等を対象とする学位授与
- 学士(文学)、学士(教育学)、学士(神学)、学士(社会学)、学士(教養)、学士(学芸)
- 学士(社会科学)、学士(法学)、学士(政治学)、学士(経済学)、学士(商学)、学士(経営学)
- 学士(理学)、学士(薬学)、学士(看護学)、学士(保健衛生学)、学士(鍼灸学)、学士(栄養学)、学士(工学)
- 学士(芸術工学)、学士(商船学)、学士(農学)、学士(水産学)、学士(家政学)、学士(芸術学)、学士(体育学)
[編集] この制度で学位申請ができないもの
- 基礎資格を有しない者
- 現在、大学学部に在籍する者
- 同時に複数の申請をすることはできない。
- 既に大学評価・学位授与機構から受けた同一区分の学士号を申請することはできない。但し、同じ専攻分野でも、以下のように専攻区分が異なる場合は同一の学位が申請可能である。
- 文学(国語国文学、英語・英米文学、独語・独文学、仏語・仏文学、中国語・中国文学、ロシア語・ロシア文学、歴史学、哲学、心理学、宗教学)
- 社会学(社会学、社会科学)
- 教養学、学芸学(比較文化、地域研究、国際関係、科学技術研究)
- 理学(数学・情報系、物理学・地学系、化学系、生物学系、総合理学)
- 保健衛生学(検査技術科学、臨床工学、放射線技術科学、理学療法学、作業療法学、言語聴覚障害学)
- 工学(機械工学、電気電子工学、情報工学、応用化学、生物工学、材料工学、土木工学、建築学、社会システム工学)
- 芸術学(音楽、美術)
[編集] 短期大学卒業生・高等専門学校卒業生等を対象とする学位授与
主に短期大学卒業生や高等専門学校卒業生を対象とする大学評価・学位授与機構の学位授与は、一定の基礎資格を満たす者であれば誰でも申請することができる。 基礎資格は短期大学ないし高等専門学校を卒業している者、大学に2年以上在学し、68単位を取得している者、大学への編入資格のある専門学校を卒業している者である。なお、この大学学部に在籍している者が学位を申請することは認められていないが、既に大学学部を卒業して当該大学において学士の学位を授与された者であっても、大学評価・学位授与機構に学士の学位を申請すること、および大学院修士課程、博士課程、専門職大学院などに在籍している者が学士の学位を申請することは可能である。
申請受付は現在、4月と10月の年2回行われている。申請者は一回にひとつの学位を申請することができる。なお、学位を申請しようとする者は、申請する学位の授与に必要な単位を修得した上で、学位審査料22000円を納付し、申請書類、学修成果(レポート。ただし芸術学の場合は作品でもよい)を期限までに提出し、小論文試験(作品を提出した場合は面接試験)を受けなければならない。修得単位の審査及び学修成果、試験の何れも可の判定を受けた場合に「合」とされて学士の学位が授与される。 審査に合格した場合には学位記が送付される。審査に不合格の場合、再審査を受けることができる。不合格時の条件によっては修得単位の審査か学修成果・試験の審査のいずれかが免除されることもある。なおその際は再び学位申請料を納めなければならない。 ちなみに、学位を申請する場合に必要な書類は以下の通りである。
- 学位授与申請書
- 学位審査手数料受付証明書
- 基礎資格を有することの証明書
- 単位取得状況申告書
- 単位修得証明書
- 学修成果(レポートまたは作品)5部
- 学修成果の要旨または説明書5部
- 住民票
- 受験票・写真表・到着お知らせはがき
- (見込み申請の場合)見込み申請継続許可書
- (再申請)(見込み申請継続)判定結果証明書
なお、大学評価・学位授与機構で取得した学位を証明する際には、同機構の発行する学位記ないし学位取得証明書を以て行うことができる。学位記は合格後、再発行されないが、学位取得証明書は随時発行が可能である。
なお、学位を申請する際、他大学において取得した専攻分野の学位を大学評価・学位授与機構で再び取得することは可能であるが、大学評価・学位授与機構から同一の専門区分で学士の学位を二度にわたり授与されることはできない。但し、同じ専攻分野であっても専攻区分が異なる場合は申請が可能である。例えば、学士(文学)の学位を請求する場合、専攻区分を歴史学で取得した場合は歴史学では二度と申請できないが、その他の専攻区分(たとえば国語国文学や哲学など)であれば再び学士(文学)を申請して取得することが可能である。但し、学位記及び学位取得証明書にも専攻区分は明記されないので注意を要する。
なお、学位授与の申請において、何らかの不正が認められた場合、学位の授与は取り消され、学位記は返納しなければならない。