富山地方鉄道富山市内軌道線
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富山市内軌道線(とやましないきどうせん)は、富山市市街地の南富山駅前駅~大学前駅間を走る富山地方鉄道の軌道路線(路面電車)である。
富山市電だった時代があることから、民営となった現在でも「市内電車」・「市街電車」の意味で市電と呼ばれることがある。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):6.4km
- 軌間:1067mm
- 駅数:20駅(起終点駅含む)
- 複線区間:南富山駅前駅~安野屋駅間(安野屋駅~大学前駅間も富山大橋の架け替えの際に複線化される予定)
- 電化区間:全線(直流600V)
1本の路線として運行されているが、歴史的経緯により正式には以下の4路線に分かれている。
- 本線(富山駅前駅~南富山駅前駅3.6km)
- 支線(富山駅前駅~丸の内駅1.0km)
- 安野屋線(丸の内駅~安野屋駅0.6km)
- 呉羽線(安野屋駅~大学前駅1.2km)
(「本線」は、富山地方鉄道本線とは別)
[編集] 運転
南富山駅前~大学前と南富山駅前~富山駅前の2系統がある。一時期、南富山駅前~県庁前の系統が試験的に設定されたことがあったが、中止された。
運賃は、大人200円、子供100円の均一制である。 車内などで、カード式の回数券「トラムカード」を販売している。
[編集] 車両
全車冷暖房化されている。
[編集] 歴史
1913年9月1日に富山電気軌道として開業し、1920年7月1日に富山市に譲渡された。1943年1月1日、「陸上交通事業調整法」に基づき富山地方鉄道に譲渡された。
最盛期の1960年代には約11kmの路線を有していた。当時の路線は、現在残っている路線の他に以下の3路線があり、直通運転や環状運転によって、全部で6系統の運転が行われていた(ただし、同じ経路で進行方向が逆のものに別の系統番号をつけていたので、番号は1~12となる)。新富山駅前駅(現:新富山駅)から射水線に乗り入れて高岡市まで運転する列車(西町駅-高岡駅前)や、南富山駅前駅から笹津線に乗り入れて地鉄笹津駅(国鉄笹津駅前)まで運転する列車もあった。
- 西部線(西町駅~旅籠町駅~丸の内駅)
- 東部線(西町駅~中教院前駅~東田地方駅~地鉄ビル前駅)
- 山室線(中教院前駅~不二越駅前駅)
全盛時の系統路線は以下の通り(射水線・笹津線乗り入れを除く)。
- 1系統(富山駅前駅→南富山駅前駅)
- 2系統(南富山駅前駅→富山駅前駅)
- 3系統(大学前駅→丸の内駅→富山駅前駅→東田地方駅→中教院前駅→西町駅→旅篭町駅→丸の内駅(ここまで循環)→大学前駅)
- 4系統(大学前駅→丸の内駅→旅篭町駅→西町駅→中教院前駅→東田地方駅→富山駅前駅→丸の内駅(ここまで循環)→大学前駅)
- 5系統(不二越駅前駅→西町駅→旅篭町駅→丸の内駅→大学前駅)
- 6系統(大学前駅→丸の内駅→旅篭町駅→西町駅→不二越駅前駅)
- 7系統
- 8系統
- 9系統
- 10系統
- 11系統(富山駅前駅→東田地方駅→中教院前駅→西町駅→旅篭町駅→丸の内駅→富山駅前駅(循環線))
- 12系統(富山駅前駅→丸の内駅→旅篭町駅→西町駅→中教院前駅→東田地方駅→富山駅前駅(循環線))
1969年6月からワンマン運転化を始めた。1972年9月に東部線の一部(中教院前駅~北新町駅~地鉄ビル前駅間)、1973年3月に西部線(西町駅~旅籠町駅~丸の内駅間)、1984年に山室線、東部線の残りが廃止され、現在の路線となった。
[編集] 年表
- 1913年9月1日 富山駅前~堀川小泉、富山駅前~丸の内~西町間開業
- 1915年3月13日 堀川小泉~堀川新(現在の南富山駅前)開業
- 1916年11月22日 越前町~大学前(現在の大学前より西側)~呉羽公園下間開業
- 1920年7月1日 富山市に譲渡される
- 1928年10月21日 西町~中教院前~赤十字病院前~東田地方(旧東田地方駅前)間開業
- 1936年4月15日 電気ビル前~東田地方間開業
- 1943年1月1日 富山地方鉄道に譲渡される
- 1944年5月17日 大学前~呉羽公園下、赤十字病院前(のちの東田地方)~東田地方間廃止
- 1950年10月1日 笹津線、南富山駅前~西町間への乗り入れ開始
- 1950年12月31日 射水線、新富山駅前~旅籠町~西町間への乗り入れ開始
- 1952年8月5日 旅籠町~護国神社前~安野屋間廃止、丸の内~安野屋間開業
- 1954年4月1日 笹津線の乗り入れ区間を富山駅前へ延長
- 1961年7月18日 中教院前~不二越駅前間開業、射水線乗り入れ中止
- 1967年10月10日 笹津線乗り入れ中止
- 1969年10月1日 球場前~大学前間廃止、球場前を大学前と改称
- 1972年9月21日 中教院前~地鉄ビル前間廃止
- 1973年3月31日 西町~旅籠町~丸の内間廃止
- 1977年8月31日 射水線、新富山駅前~富山駅前間への乗り入れ再開
- 1980年4月1日 射水線廃止により乗り入れ中止
- 1984年4月1日 西町~中教院前~不二越駅前間廃止
[編集] 計画
- 市内中心部環状化
- 2008年の開業をめどとして、旧西部線の復活ないし新線の建設による、環状線復活構想も立案されている。新線は丸の内駅から西町駅に至るもので、現段階では、1)平和通を経由し旅籠町を通るルート(路線復活)、2)大手モールを経由し富山国際会議場前を通るルート(新設)が検討されており、今のところ、2)のルートの方が有力である。
- 富山大橋複線化
- 全線6.4kmのうち、神通川東詰の安野屋から、富山大橋を渡って富山大学前に至る1.2kmは単線で運行しており、運行上の課題となっている。この富山大橋は老朽化しているため、富山県は架け替え工事を行うことを決定し、2006年11月に着工した。新しい橋は2011年に供用を開始する予定である。これに合わせ、富山地鉄では単線区間の複線化を行い、運行を合理化する。
- 富山ライトレールとの連結
- 2006年4月29日に富山港線が富山ライトレールとして再出発し、富山市内の路面電車網が久々に拡大された。JRの富山駅は北陸新幹線乗り入れに伴い高架化される予定で、高架化工事の完了後に、富山ライトレールと電鉄市内軌道線のレールを接続し、直通運転を行うことが計画されており、富山市中心部から岩瀬浜までの利便性向上が期待されている。
[編集] 駅一覧
路線名 | 駅名 | 読み | 駅周辺 |
---|---|---|---|
本線 | 南富山駅前駅 | みなみとやまえきまえ | 南富山駅(富山地方鉄道不二越線・富山地方鉄道上滝線) |
大町駅 | おおまち | 富山高等学校 | |
堀川小泉駅 | ほりかわこいずみ | 富山いずみ高等学校・富山小泉郵便局 | |
小泉町駅 | こいずみちょう | ||
西中野駅 | にしなかの | ||
広貫堂前駅 | こうかんどうまえ | 富山太田口郵便局 | |
上本町駅 | かみほんまち | ||
西町駅 | にしちょう | 富山大和(百貨店)・総曲輪通り商店街・中央通り商店街 | |
荒町駅 | あらまち | ロイネットホテル・富山総曲輪郵便局 | |
桜橋駅 | さくらばし | 富山マンテンホテル | |
電気ビル前駅 | でんきビルまえ | ||
地鉄ビル前駅 | ちてつビルまえ | 地鉄ビル(富山地方鉄道本社)・富山中央郵便局・富山地鉄ゴールデンボウル | |
富山駅前駅 | とやまえきまえ | 富山駅(JR北陸本線・高山本線)・電鉄富山駅(富山地方鉄道本線)・富山駅北駅(富山ライトレール富山港線) | |
支線 | 新富町駅 | しんとみちょう | |
県庁前駅 | けんちょうまえ | 富山県庁・NHK富山放送局・富山中部高等学校・富山芝園郵便局 | |
丸の内駅 | まるのうち | ||
安野屋線 | 諏訪川原駅 | すわのかわら | 富山逓信病院・富山大橋通郵便局 |
安野屋駅 | やすのや | ||
呉羽線 | 新富山駅 | しんとやま | アリスショッピングセンター・富山商業高等学校 |
(鵯島信号所) | (ひよどりじま) | ||
大学前駅 | だいがくまえ | 富山大学・富山工業高等学校・富山県五福公園(富山県五福公園陸上競技場、県営富山野球場など) |