寺島健
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
寺島 健(てらじま けん、1882年(明治15年)9月23日 - 1972年(昭和47年)10月30日)は、日本の海軍軍人。最終階級は海軍中将。東條英機内閣の逓信大臣、鉄道大臣。和歌山県和歌山市出身。
目次 |
[編集] 略歴
旧制和歌山県立和歌山中学校より海軍兵学校第31期入校。入校時成績順位は196名中第16位、卒業時成績順位は173名中第4位。
海軍兵学校卒業が日露戦争開戦直前だったため、海軍士官教育課程の上で必須とされる練習艦隊による遠洋航海を出発と同時に海軍省の方針により中止の憂き目に遭い、即時艦船勤務となって参戦させられている。戦争終了後は艦船受領のためイギリスに回航委員出張中だったことから明治39年実施の遠洋航海に参加していない。また日本海軍の潜水艇黎明期に於ける乗組を経験している。
寺島は堀悌吉と同様、フランスへの駐在と出張経験が多く日本海軍に於ける親仏派の1人とされる。
寺島は海軍省軍務局長在任中、軍令部権限強化問題では元帥東郷平八郎海軍大将や伏見宮博恭王大将を頂点とする拒否を困難とさせる艦隊派のゴリ押しに反対しきれず軍令部の権限強化に賛成せざるを得なくなる。
その後、軍務局長から練習艦隊司令官に転任するが僅か20日間で任務を解かれ更に予備役に編入される。
東條内閣で逓信大臣と鉄道大臣を拝命するが、太平洋戦争終戦直後、これが原因で連合国側から真珠湾攻撃の共同謀議容疑でA級戦争犯罪人に指名され巣鴨刑務所に一時収監される。後に該容疑が晴れ釈放された。
1991年(平成3年)に折から省庁再編を前に旧郵政省本省庁舎内から寺島が逓信大臣在任中に於ける閣僚会議録が発見され話題となった。
[編集] 予備役編入以降
東條内閣の閣議に於いて開戦が決定された際に昭和天皇の大御心があくまで開戦に反対である事を知る寺島は此の決定に対し気を失いかけんばかりに愕然としたと言う。
[編集] 年譜
- 1882年(明治15年)9月23日- 和歌山県和歌山市生まれ
- 1900年(明治33年)12月17日- 海軍兵学校第31期入校 入校時成績順位196名中第16位
- 1903年(明治36年)12月14日- 海軍兵学校卒業 卒業時成績順位173名中第4位・任 海軍少尉候補生・戦艦「敷島」乗組
- 12月17日- 練習艦隊遠洋航海出発
- 1904年(明治37年)1月3日- 遠洋航海 佐世保到着と同時に中止解散
- 1905年(明治38年)8月5日- 任 海軍中尉・3等駆逐艦「弥生」乗組
- 1906年(明治39年)1月15日- 戦艦「鹿島」乗組
- 1907年(明治40年)10月28日- 第2潜水艇隊艇長心得
- 1908年(明治41年)9月25日- 任 海軍大尉・第2潜水艇隊艇長
- 1909年(明治42年)7月30日- 装甲巡洋艦「吾妻」分隊長
- 1910年(明治43年)5月23日- 海軍大学校専修学生
- 1911年(明治44年)5月22日- 第3艦隊参謀
- 1912年(大正元年)12月1日- 海軍大学校甲種第12期学生
- 1913年(大正2年)12月1日- 任 海軍少佐
- 1914年(大正3年)5月21日- 海軍大学校卒業 卒業時成績順位16名中4位
- 1916年(大正5年)8月1日- 在フランス日本大使館附海軍駐在武官附補佐官
- 1918年(大正7年)3月12日- 帰朝
- 12月1日- 任 海軍中佐
- 1920年(大正9年)6月3日- 2等巡洋艦「平戸」副長
- 12月1日- 第3艦隊参謀
- 1921年(大正10年)12月1日- 海軍大学校教官
- 1922年(大正11年)12月1日- 任 海軍大佐・在フランス日本大使館附海軍駐在武官兼造船造兵監督官
- 1924年(大正13年)10月25日- 帰朝
- 12月25日- 海軍省先任副官
- 1927年(昭和2年)3月1日- 戦艦「山城」艦長
- 1928年(昭和3年)6月10日- 聯合艦隊参謀長
- 1929年(昭和4年)11月30日- 海軍省出仕兼軍令部出仕
- 1930年(昭和5年)6月10日- 海軍省教育局長
- 1932年(昭和7年)5月12日- 兼 海軍省軍務局長兼将官会議議員
- 1933年(昭和8年)9月15日- 練習艦隊司令長官
- 10月3日- 軍令部出仕
- 1934年(昭和9年)3月26日- 待命
- 1941年(昭和16年)10月17日- 浦賀ドック社長辞任
- 1943年(昭和18年)10月8日- 逓信大臣辞任
- 1945年(昭和20年)9月11日- 連合国第1次戦争犯罪人逮捕者指名
- 12月3日- 貴族院議員辞任
- 12月4日- 戦争犯罪容疑により身柄拘留
- 1948年(昭和23年)12月1日- 身柄釈放
- 1972年(昭和47年)10月30日- 死去 享年90
[編集] 参考文献
- 寺島 健伝(寺島健伝記刊行会・寺崎隆治編・水交会)
- 高木惣吉日記と情報・上下巻(みすず書房) ISBN 4-622-03506-5 C3031
- 日本陸海軍の制度・組織・人事(日本近代歴史料研究会編・東京大学出版会)
- 海軍兵学校沿革・第2巻(海軍兵学校刊)
- 海軍兵学校出身者名簿(小野寺 誠編・海軍兵学校出身者名簿作成委員会)
[編集] 関連項目
|
|
|
|
|
|