対戦車ミサイル
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対戦車ミサイル(たいせんしゃみさいる - ATM(Anti-Tank Missile))とは、戦車を攻撃するために用いられるミサイルである。正確には対戦車誘導ミサイル(ATGM(Anti-Tank Guided Missile))、または、対戦車誘導兵器(ATGW(Anti-Tank Guided Weapon))という名称が正しい。
自衛隊においては対戦車誘導弾と呼び、Missile Anti-TankすなわちMATと略す。これは自衛隊が当初ATMを導入しようとしたときに、ATMがアトムと読める事から、核兵器の導入と勘違いされ騒がれた為である。
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[編集] 概要
戦車は装甲が強力なため普通の火薬による爆発ではダメージをあまり与えられない。また、ミサイルは飛翔速度が砲弾と比べて非常に遅いために、運動エネルギーによる装甲貫通は行えない。そのために、爆発の威力を一点に集中させるHEAT(成形炸薬弾)という特殊な弾頭を使い装甲を貫く。
第4次中東戦争においてアラブ側がイスラエル戦車部隊に使用したAT-2サガー対戦車ミサイルの威力が示されると、一気にミサイル万能論(戦車不要論)が主流となった。しかし、近年は戦車側も対戦車ミサイルに対抗する為、爆発反応装甲(ERA:Explosive Reactive Armor)などのHEATを無効化する手段を有するようになった。
その為、HEATを2段にし、一段目の弾頭で爆発反応装甲を破壊、2段目が装甲を破るタンデム弾頭を持つ物や、更に戦車の装甲が比較的薄い上面を狙ってHEATを打ち込む物、旧来のHEAT弾頭ではなく戦車砲弾であるAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)のような運動エネルギー弾を目標に超高速で突入させる事で、反応する猶予を与えず爆発反応装甲ごと撃破することが可能なLOSATの様な物もある。
ミサイルの誘導方式は、初期のものでは有線による指令誘導が主であった。近年のミサイルは、前掲のほか、多くの誘導方式が開発されている。セミアクティブレーザーホーミング、テレビ誘導などである。最近では赤外線画像誘導などのパッシブホーミングを採用した物もみられる。
また対戦車ミサイルは、人力による携行可能なものが多く、歩兵部隊の対戦車班の主要装備となっている。戦闘車輌以外にも人間、建物、陣地などに対しても使用可能な事から、ロケット砲や携帯地対空ミサイル同様、ゲリラや民兵が好む装備となっている。もっとも、価格は地対空ミサイルよりはずっと安価とはいえ、日本円にして一発あたり数百万もするため、大国から装備を供与されていない民兵組織では、おいそれと自腹で調達できるものではない。
[編集] 主な対戦車ミサイル
- BGM-71「トウ」(アメリカ)
- AGM-114「ヘルファイア」(アメリカ)
- MGM-166「ローサット」(アメリカ)
- 64式対戦車誘導弾(日本)
- 79式対舟艇対戦車誘導弾(日本)
- 87式対戦車誘導弾(日本)
- 96式多目的誘導弾システム(日本)
- 3M11「ファラーンガ」(AT-2)(ソ連)
- 9M14「マリュートカ(AT-3)(ソ連)
- 9M111「ファゴート」(AT-4)(ソ連)
- 9M114「シュトゥールム」(AT-6)(ソ連)
- 9M119「レフレークス」(AT-11)(ソ連)
- HOT(欧州)
- Trigat(欧州)
- BILL(スウェーデン)
- LAHAT(イスラエル)
[編集] 主な携行式対戦車ミサイル
- M47「ドラゴン」(アメリカ)
- FGM-148「ジャベリン」(アメリカ)
- FGM-172「スロー」(アメリカ)
- 01式軽対戦車誘導弾(日本)
- 9M14「マリュートカ」(AT-3)(ソ連)
- 9M131「メチスM」(AT-13)(ロシア)
- ミラン(フランス)
[編集] 関連項目
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