小さき勇者たち~ガメラ~
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『小さき勇者たち~ガメラ~』(ちいさきゆうしゃたち ガメラ)は、2006年4月29日に公開された、松竹配給、角川ヘラルド映画(現・角川映画)製作の特撮映画である。ガメラが登場する怪獣映画であると同時に子供の成長を描くファミリー映画であることを志向した。
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[編集] 概要
ガメラ40周年作品として、前作『ガメラ3 邪神覚醒』から6年ぶりに復活した。キャッチフレーズは「ガメラは少年のために、少年はガメラのために」である。
本作は、母親を亡くした少年及びその少年が育てた子供ガメラとの友情・成長を主軸に、親子の絆や命の尊さなどを描いたジュブナイル作品となっている。監督には、平成仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズなど子供向け特撮作品を数多く手掛けている田崎竜太、脚本には特撮作品は本作が初となる龍居由佳里が起用された。本作には動物映画としての側面もあり、主人公が慈しむ子供ガメラの撮影では実物のケヅメリクガメが用意され、一部コンピュータグラフィックス (CG) を加味して撮影された。
本作の制作費は当初、2億円の低予算であるという情報が一部で流れたが、実際は15億円の大作予算であった。なぜこれほど極端な低予算という情報が流れたのかは不明である。
興行収入は5億に届かなかったと言われており(一説には4億以下、観客動員も30万人以下とも言われる)、興行的には成功したとは言いがたい成績となってしまったが、映画の内容的には、一部では高い評価を得た。
また映画公開に合わせ、ノベライズ本、歴代ガメラのテーマ曲や声も収録したサウンドトラックCD、プロモーションを兼ねたメイキングDVDも発売された。
[編集] スタッフ
<本編班>
- 撮影:鈴木一博
- 照明:上妻敏厚
- 録音:矢野正人
- 美術:林田裕至
- 編集:平澤政吾
- 音響効果:柴崎憲治
- 助監督:大野伸介、小林聖太郎、長尾楽、関谷崇、太田龍馬
<特撮班>
- 撮影:村川聡
- 照明:白石宏明
- 美術:春日佳行
- 視覚効果:松本肇
- 怪獣造形:原口智生
- 助監督:松田康洋、佐野友秀、江利川深夜
- アクションコーディネーター:阿部光男
- 操演:関山和昭
キャストについては、作品内容に関わるので別記する。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
[編集] あらすじ
1973年、三重県志摩でギャオスの群れとガメラが戦い、ガメラは爆発し相打ちとなった。それを見た人々は、ガメラが自爆して人間を守ってくれたと感じた。その人々の中に少年・相沢孝介の姿があった。33年後、孝介の息子・透は母親を亡くして初めての夏休みを迎えた。緋島に赤い光を認めた透は、赤い石とその上の卵を見つけ、掌の上で孵化したカメを部屋に連れ帰りトトと名付けた。
トトは空中に浮かぶ能力を持ち、極めて成長が速かった。隣家に住む年上の幼馴染・西尾麻衣はトトが飛ぶカメ=ガメラではないかと疑うが、透はそれを否定しようとする。透に懐いたトトは数日で1mを越えるまでに成長したが、ある日透の前から姿を消す。
落胆する透らを人を食う怪獣ジーダスが襲う。そこに立ちはだかったのは更に成長したトトであった。トトは満身創痍になりながら辛くもジーダスを撃退するが、自衛隊によって名古屋の研究機関に運搬されてしまう。巨大化したトトを見た孝介はガメラだと確信した。
名古屋には心臓手術のために入院していた麻衣がいた。麻衣はお守りとして透から渡された赤い石がトトにとって大事なものであると感じた。これを聞いた透と仲間・石丸兄弟は避難所を抜け出して名古屋に向かい、書き置きを見た孝介も彼らを追って車を走らせる。その時ジーダスが名古屋港に現れた。これ以降、傷付きながらも立ち上がるトト、トトを助けようとする子供達、透と孝介の関係、透の決意を織り交ぜながらクライマックスを迎える。
[編集] 舞台
本作の舞台は大きく二つに別れ、前半は三重県志摩市、後半は愛知県名古屋市である。起伏が多く立体感のある海辺、波切の街並と、中部国際空港開港や愛知万博で賑わう名古屋の市街地を1つの作品中に収めようという意向で、前半と後半で舞台の分かれるストーリーとなっている。
作中の1973年の志摩市として鳥羽市相差町がロケ地に選ばれた。2006年の志摩市として実際の志摩市の大王町波切(なきり)を中心に、志摩市志摩町 の志摩大橋、志摩市阿児町の近鉄志摩神明駅、トトを隠す「隠れ家」を伊勢市二見町、度会郡南伊勢町、鳥羽市の相差町と神島、名古屋市、茨城県日立市などで、スタジオセット、オープンセットを交えてロケが行われた。
透と孝介の住む「あいざわ食堂」と麻衣一家の住む「西尾真珠店」は、隣接する実在の二つの店舗を利用した。志摩市でのトト対ジーダスの戦闘場面では開通前の志摩大橋(志摩パールブリッジ)を利用したロケーション撮影が行われた。名古屋の戦闘場面ではトラック2台分の瓦礫を実際の街に置いてロケーション撮影が行われた。
後半のロケは市街地部分を名古屋市で、病院の中を日立市で行っている。後半は怪獣映画で定番の逃げ回るシーンがほとんどであり、エキストラの数は前半よりも多い。名古屋では伏見を中心に名駅前、市役所、大須、栄を囲う円内、名古屋港、熱田神宮周辺で撮影された。また栄などの地下街が活用されている。
[編集] 人間とガメラの成長物語
本作の主人公、相沢透は小学校五年生の少年である。母を失った空しさが冒頭の独白と「背中」の演技で描かれる。彼はトトを育て、助け、当局から守り、ガメラとして空に放し、その過程で自らも成長する。幼馴染の麻衣はガメラがトトであることを受け入れ、再び出会うことを願う。ノベライズ本と異なり、フィルムではこれら内面の具体的な描写自体は省略されているが、役者の好演で映画的に示唆されている。
本作は幼いガメラが育ての親の手を離れ凶悪怪獣と戦うまでを描く怪獣の成長物語でもある。
[編集] 人間と怪獣の関連
本作品では、トトは子供の友達である。ガメラと人間との関係は明示されていないが、人間側は「ガメラの自爆で救われた」と感じた。このように登場する人物、怪獣の関係を単純化し、子供の視点から描写することで、人間とガメラの成長物語が子供にもわかりやすい形で提示されている。
[編集] 登場怪獣
[編集] ガメラ
本作では冒頭に登場するガメラ、主役である子供ガメラ「トト」の二頭のガメラが登場する。この二頭の関係は明示的には描写されない。
本作では登場する怪獣が小さく設定されている。トトは子供であるから小さくて当然であるが、アヴァンガメラの身長も金子ガメラはもちろん、昭和ガメラより小さい。ガメラシリーズに登場する怪獣は体格に比して体重が軽いのが特徴だったが、今作ではある意味過去に遡って(パンフレットに「ガメラの体重を40tとする委員会の報告は計測の誤りによるものだったのだろう」とある)若干修正された。それでも重巡洋艦を超える体重を持つゴジラシリーズの怪獣とは比較にならない。また実物のケヅメリクガメとイメージを揃える必要から、ガメラの色はこれまでのシリーズと若干異なるものとなり、甲羅も実物に似た造形になった。
本作ではガメラが二頭登場するが、「ファミリー映画」「新しいガメラ映画の創造」という狙いから、題名から「ガメラ」の名を外すことすら検討されたという。監督は「本来ならば湯浅、円谷といった先人のように全く新しい怪獣を創造して子供達に渡したいが、現在ではそれが難しい。そこでできるだけ新しいガメラとしてトトを作り、一方、ガメラが昔から活躍してきた怪獣であることを映画を見る人に判ってもらおうと、冒頭にガメラを登場させた」と自らの意図及び先人への敬意を含め語っている。
[編集] トト
本編の主役。幼体のモデルはケヅメリクガメ。海岸の高台にて赤い石に載った卵から生まれる。「トト」という名前は、トトッと歩けるように願い、透がつけたものであり、透自身も生前の母から「トト」と呼ばれていた。お腹に「炎」模様がある事が特徴である。
- 体高:8メートル(志摩市出現時)/30メートル(名古屋出現時)
- 体長:10メートル(志摩市出現時)/50メートル(名古屋出現時)
- 体重:900トン
- 必殺技:『トトインパクト!』と呼ばれる火球攻撃。映画公開後、一般公募により命名された。
トトの幼少時代のモデルとして、ケヅメリクガメ13匹が使われた。腹部の炎模様はシールである。落下したり飛ぶなど極端な動きをする場面はソフトビニール製模型2体で撮影された。1mに達した時点の物は遠隔操作で動くロボットで、放映前にテレビ東京の『おはスタ』にて宣伝に使用された。5mを超える実物大造型物も用意され、撮影、宣伝キャンペーンに使用された。撮影後の実物大造形物は一般公募の結果、撮影が行われた三重県志摩市に預けられることになった。
[編集] 1973年のガメラ
1973年にギャオスと戦ったガメラはアヴァンガメラと名付けられた。爆発してギャオスと相打ちになった。アヴァン (avant) は「前の」「先行する」の意味。
- 体高:35メートル(志摩出現時)
- 体長:55メートル(志摩出現時)
- 体重:1,200トン
[編集] ジーダス
トカゲを元にした海魔獣。1973年のガメラとギャオスの戦い以来怪獣の現れなかった日本に突如出現した、エリマキトカゲに似た怪獣。肉食の強暴な怪獣で、特に人間の肉を好んでいる。ハープーン舌とよばれる長い舌が最大の武器であり、鋭利になっているその先端からは溶解液を発する。出自について劇中では一切語られていないが、ノベライズ本ではギャオスの死骸を食べた爬虫類が変異したものとされている。
- 体高:30メートル(志摩市出現時)/50メートル(名古屋出現時)
- 体長:90メートル(志摩市出現時)/150メートル(名古屋出現時)
- 体重:2,000トン(名古屋出現時)
- 舌の長さ:100メートル(名古屋出現時)
[編集] ギャオス
本作に登場するギャオスは、オリジナルギャオスと名付けられた。ギャオスを参照。
[編集] 登場人物・キャスト
括弧内が俳優名。
- 相沢透(富岡涼)
- 本編の主人公。小学5年生、11歳。島でガメラの卵を拾ったことが運命を変えていく。本編は透のひと夏の冒険譚でもある。イシマル、克也の2人と行動を共にすることが多い。撮影の無い日も一緒に行動する三人組の1人。
- 西尾麻衣(夏帆)
- 本編のヒロイン。中学生。14歳。一見元気そうな少女だが、心臓に病気を持つ。夏帆は撮影中に誕生日を迎えたが、誕生石が真珠ということで真珠店よりネックレスがプレゼントされた。
- 相沢孝介(津田寛治)
- 透の父親。大衆食堂を経営。33年前、ガメラの自爆によりギャオスの難から逃れた。母親を失った透を気にかけるものの、息子とうまく接することができず悩む。
- 西尾治(寺島進)
- 麻衣の父親。西尾真珠店を経営している。孝介とは幼馴染。
- 西尾晴美(奥貫薫)
- 麻衣の母親。病身の麻衣を気遣っている。映画ではカットされたが、麻衣の為にお百度を踏むシーンなどが撮影されている。
- 相沢美由紀(小林恵)
- 透の母親。1年前に交通事故で死去。透を「トト」と呼んでいた。透の回想の中に登場。
- 石田兄弟
- 兄:イシマル(石川眞吾)
- 弟:克也(成田翔吾)
- 透の友人たち。兄にはちょっとガキ大将的な雰囲気がある。
- 雨宮宗一郎(石丸謙二郎)
- 名古屋理科大学応用生物学科教授。ガメラについて研究している。最初の海難事件を怪獣の脅威であると一ツ木に報告した。ジーダスの名付け親。
- 一ツ木義光(田口トモロヲ)
- 巨大生物審議委員会参事。最初、雨宮の警告を無視していたが、ジーダスの出現により態度を一変させる。
- 戸畑裕二(正名僕蔵)
- 一ツ木の秘書。
[編集] 特撮
本作では実際の動物、着ぐるみ、操演の利用に加え、デジタル合成が多用された。採用されたデジタル合成に関しては#DIシステムの採用で説明する。縦方向の動きを重視した戦闘場面に合わせ、高層ビルディングや橋梁のセットが組まれたほか、成長途中のガメラの実物大造形物が製作され、志摩大橋で捕獲されるシーンやトレーラーで搬送されるシーン、研究所の場面などで使用された。
トトの登場する戦闘場面がすべて昼間に設定されていることは本作の特徴である。
[編集] トトのテーマ
ゴジラ、モスラ、轟天号には伊福部昭の作曲した印象的なモチーフがある。ところがこれら東宝特撮作品と異なり、ガメラマーチを除いて、ガメラを象徴する音楽的なモチーフは存在しない。そこで新たなガメラ音楽を創造する余地がある(一応平成「ガメラ」には大谷幸によってガメラのモチーフが作られたが、一般には浸透しなかった)。
本作では監督、脚本と並んで、音楽もこれまで怪獣映画に関わりのなかった作家が担当した。音楽の上野洋子はマルチトラックレコーダを用いたエスニック風のボーカル一人多重録音、管弦楽、シンセサイザー、マンドリン等を用いて新しいガメラ像に貢献した。ヴォカリーゼとアコースティック楽器を多用しているのが特徴である。下記の「トトのテーマ」による全編の統一だけではなく、アヴァンガメラの死闘の際に女性ヴォーカルを主体にした音楽を用い、これも怪獣映画としては新鮮な劇伴となった。「基本的に映画音楽にはヴォーカルを入れにくいが、怪獣は台詞を喋らないから大丈夫だった」と語っている。
伊福部と同様に、上野は怪獣や戦闘を表すライトモチーフを用いている。特に、トトが誕生する場面でキーボードに現れる g-d-e-B-d-c-G で始まる音形は以後全編を通じて固定主題的に用いられ、上野はこれを「トトのテーマ」と呼んだ。例えば、かわいらしいトトが描写されている場面ではおどけたファゴットで、回転ジェットを噴射し空を舞う場面では颯爽とした弦楽合奏で演奏される他、トトが苦戦する場面でも低音部に現れ、全編に統一感をもたらしている。
[編集] ノベライズ本と映画の違い
本作には#関連作品に示すとおり、脚本家・龍居由佳里による『僕とトトの物語—映画『小さき勇者たち ガメラ』』、蕪木統文による『ともだち 小さき勇者たち ~ガメラ~』の2種のノベライズ本がある。 実際の映画とノベライズ本では異なるショートストーリーがいくつかある。例えば当局が赤い石を入手しようとする場面は公開されたフィルムにはない。透が麻衣を女性として見はじめる場面、晴美が船頭(せんど)の祠でお百度を踏むシーンなどは撮影されたが編集でカットされている。
蕪木版ノベライズ本では、敵怪獣はジーダスの他「Gバルゴン」「Gバイラス」「Gギロン」「Gジャイガー」「Gジグラ」が登場する。
逆にフィルムにあってノベライズ本にない部分もある。カツヤがジーダスに食べられそうになるシーンはノベライズ本では透が食べられそうになる。
[編集] DIシステムの採用
撮影時には撮影期間短縮とコスト面で有利なデジタル撮影が使用できたが、本作品はフィルムの表現力にこだわり、フィルム撮影された。その上で全編にわたり撮影したネガフィルムをスキャンしデジタル化、コンピュータ上で合成や色調調整を行った後、再度フィルム化するDIシステム (digital intermediate system) と呼ばれる方式が採用された。
DIシステムにより、映像ごとに階調や色合いなどの調整、撮影時の天候による色彩のズレの補正などを行なった。
[編集] 映像合成
[編集] 風景
緋島は実在しないで架空の島で、鳥羽市の神島を大王崎と合成して作られた。1m大のトトと語り合うシーンは米子浜の岩の上で撮影され、映り込む熊野灘の船舶を全て消去することで無音を表現している。動的な瓦礫の殆どはCG合成で、灯台の落下シーンでは誰もいないレイヤと瓦礫、走り出す人物、落下する灯台など、複数のレイヤを合成している。
[編集] 人物
人のシーンでは、トトが名古屋に運ばれていくシーンでのエキストラなどに合成処理が行なわれた。トトの輸送シーンでは背景のみの映像、トトの頭部のみの映像など幾つかの映像を組み合わせ、クロマキーで合成している。古典的なクロマキーでは切り抜くための色に近い色の服を着てはいけない制限があるが、本作の場合は緑色が設定され、背景を切り抜かれる側の撮影をする可能性の高いエキストラのうち、緑に近い色を含む服を着ていた人は衣装を変更させられた。ジーダスに襲われた後に住民が避難した体育館のシーンとトトの輸送シーンではこの制限がないが、人が逃げ惑うシーンでは制限がかかっている。転倒シーンでは合成により事故防止のためのマットを消去している。クロマキーはブルーバックと呼ばれるアナログ処理でも同等の処理が可能である。
[編集] ケヅメリクガメ
気まぐれなケヅメリクガメが首を伸ばしたり口を開けたりするシーンでデジタル処理が多用された。包丁を昭和ガメラの怪獣ギロンに見立てたシーンは顔の表情を変化させるなど、コミカルに仕上げられた。ジェット噴射のシーンも合成である。
[編集] 戦闘シーン
名古屋での戦闘シーンのほとんどと、志摩大橋の戦闘シーンでもクロマキーが使われている。余分な物が映り込んだ場合には合成処理により消去された。ジーダスが志摩大橋に向かうシーンは実際の上空映像とオープンセットで撮影された映像を合成した。
[編集] 捨てたらダメラ
本作品は環境省とのタイアップ作品である。動物の遺棄を防止する啓発キャンペーンのキャッチフレーズは「捨てたらダメラ」とされ、環境省関連施設等にポスターが配布された。「捨てない。逃さない。」を合言葉に、ペットは最後まで責任を持って飼うべきである旨をPRしている。ポスターは第2版を基に作成され、上段に注意喚起文、中段が通常のポスターと同様で、下段に環境省の機関名が入っている。
透の家は飲食業を営んでいるため、ペットを飼うことを父親が禁止していた。透はトトが空を飛ぶことと成長が早すぎることを気味悪がり、トトを浜に捨てようとするが捨てきれず、結局トトを拾いあげ笑顔で家に帰っていく。
[編集] エキストラ
本作の出演者は演技する者を除いてほとんどが無料奉仕のエキストラであり、のべ3000人程度のエキストラが募集され、1万人近くの応募があった。ジーダスに食べられるシーンでは前面に有料のエキストラが配置されたが、その他の逃げ回る群集、体育館、病院シーンのほぼ全員が無報酬エキストラと見てよい。スケボー少年などの大勢の子供達もエキストラである。社会学習の1つとしてクラス単位で撮影に参加した学校も2校あったほか、市役所職員が日常の風景や自衛隊員などのエキストラとして参加した。報道関係者の多くがエキストラとして参加し、見返りは監督へのインタビューであった。無料奉仕のエキストラには謝礼としてTシャツが配布された。 また、映画会社から「絶対カットされないエキストラ出演権」がインターネットにてチャリティオークションに掛けられ1,111,111円という破格の値段で落札された。
[編集] 他の映画・テレビ作品との関連性
- ケロロ軍曹(角川ヘラルド) − 単行本13巻
- 劇中に登場する漫画『ケロロ軍曹』の単行本13巻の表紙は、本作のために作者の吉崎観音が書き下ろしたもの。表紙のケロロ軍曹の下にはガメラではなくウミガメが描かれている。映画は角川ヘラルド映画製作。協力作品としてエンディングロールに登場する。龍居版ノベライズ本では『ギルブレイカー』。
- 仮面ライダー龍騎 − 透の趣味
- 透の集めたフィギュアの中に特撮映画・TVドラマ『仮面ライダー龍騎』に登場する仮面ライダーナイトがある。『仮面ライダー龍騎』は監督の作品の一つである。
- 子ぎつねヘレン(松竹) - 宣伝時のコラボレート
- 宣伝時、公式ブログ同士でコラボレートされた作品。配給が同じ松竹であり、ブログ「がんばれ!!ガメ太郎」において共同で宣伝活動を行った。
- おはスタ - 宣伝のコラボレート
- 宣伝の一巻として主人公の透がおはガールにトトのタマゴを預ける(その際、その卵を卵掛けご飯にしようとした番長(松風雅也)を非難するという展開があった)という内容。
[編集] がんばれ!!ガメ太郎
ガメ太郎はプロモーション用のキャラクターで、お腹にトトの炎模様のついたガメラのぬいぐるみである。プロモーション / メイキングDVD等に姿をあらわし、また、公式ブログがんばれ!!ガメ太郎(ガメ太郎の「退社」に伴い、2006年5月いっぱいで更新終了)の主催者となった。兄弟、姉妹などが複数おり、個々に名前が付いている。トトをトト兄貴、津田寛治をお父さん、龍居由佳里をあねごと称するなどしていた。
[編集] ガメ太郎とその縁者
公式ブログに登場するキャラクター。トト、タイトー三兄弟、トトリュックを除き、フワフワ一族と称している。全員に炎模様が付いている。
- ガメ太郎 DVDでの声の出演:中井和哉
- 次男若しくは三男と目されている。なぜか対決好き。ケヅメリクガメとの勝負には押し出しで負けた。『子ぎつねヘレン』のヘレンなどの友達がいる。また、ファンのブログに時々顔を出す。時々いじける癖があり、木に上ったり、空を見上げて物思いにふけることもある。
- トト
- 次男? 本編の主人公。全長6m。トト兄貴と称される。いつも寝ているがガメラトレーラーで全国行脚に出かけたときには目を開けていた。映画終了後は生まれ故郷の志摩市に里帰りすることとなった。
- ガメ朗
- 長男。角川ヘラルド映画の入口にいる。ガメ朗そっくりの一族が別にいるらしい。
- ガメ代
- 妹(長女)。角川ヘラルド映画のガメ太郎の机の上にいる。相撲好き? キャラクターグッズとしても販売された。
- ガメ美
- 妹(次女)。角川ヘラルド映画のガメ太郎の机の上にいる。キャラクターグッズとしても販売された。映画公開後、あいざわ食堂(蒲鉾屋)に勤務していたという目撃情報もある。
- ガメ雄
- ガメ太郎のいとこ。ガメ俊とともに主に角川ヘラルド映画社外宣伝活動担当。ガメラトレーラーキャンペーンではレポーター役を務める。見た目はガメ太郎とほぼ同じだが、ガメ太郎には無い爪がある。サボり癖がある。
- ガメ俊
- はとこ。主に角川ヘラルド映画社外宣伝活動担当、一時雑誌社に出向し対決。何と対決したかは不明・黙して語らず。ガメ雄と同じく爪がある。出張先で豪華な食事を食べる等、一番美味しい役を務めている。ちょっぴりガメ太郎より口が悪い。
- ガメ雄、ガメ俊の縁者は全国の映画館にいる。看板もち。
- タイトー三兄弟
- タイトー・ガメ太郎、タイトー・ガメ次郎、タイトー・ガメ卵の三兄弟。ゲームセンターのゲームに成功すると貰える。
- トトリュック
- ガメ太郎の背中に乗っている。キャラクターグッズとしても販売された。
[編集] その他
[編集] ガメラトレーラー
撮影に使用された3体の大型のガメラ模型のうち1体が、ケヅメリクガメ数体と一緒に全国を縦断し宣伝活動を行った。志摩ロケで使用された物とは異なり、1m程度大きくなった物とされている。
[編集] 社会学習としてのガメラ
本映画の撮影は、小学校の社会学習にも使用されている。鳥羽市、志摩市の小学校から各1校がエキストラとして団体参加した。社会教育授業の一環として、子供たちが映画作りを体験するというものであった。
[編集] 実際のカメの使用に関する問題
撮影に用いられたのは生きたケヅメリクガメである。このカメは成長が早く、飼育下でも70cm近い体長となる。
[編集] 飼育に関する注意喚起
撮影に使用されたケヅメリクガメの管理を指導した獣医師から、飼育方法を知らない人が映画に影響されて安易に飼い、その結果飼育放棄に至ることがないよう注意喚起をして欲しいとの意見があり、その旨が公式サイトで掲示された。飼育には相応の知識と環境及び覚悟が必要であること、製作において動物虐待をしていない旨が映画のエンディングロールで流れ、飼育に関してはエンディングロール以外にもパンフレットなどで繰り返し注意を喚起している。
[編集] 撮影に用いられたカメの管理
撮影には常に市の職員が立会いを行っており、また撮影時には専門家が常時立会うなどして撮影用カメの適切な管理に努めた。撮影後のカメはアンディランドや志摩マリンランドなど水族館を始め、長野市の茶臼山動物園などにて飼育され、公開されている。一部のカメは希望する関係者に飼育環境を説明のうえで配布された。
一部、自称リクガメ愛護団体を名乗るグループは撮影クルーが甲羅に穴を開け、カメを虐待し、何十匹もカメを殺したと主張しているが、その主張の根拠には疑問がもたれている。撮影側は実際の撮影において虐待行為はなかったと主張している。日本ではこの種の記事が出ない動物映画は皆無に等しい状態で、本作も早々と洗礼を受けたわけである。
[編集] カメに負担をかけない為に用いられた手法
元々ガメラシリーズは国内上映のみならず海外での上映を考慮している為、海外の動物映画同様、海外での売り込みに足かせとなる虐待行為を行わないための様々な手法が用いられている。
本作に於いては特にトトの幼体時代に数多く用いられた。日本映画ではなじみが薄く、またリアルな合成であるため、ゴムまりの様に弾み階段を落ちたり中華なべでバウンドするシーンなどのソフトビニール造形を使ったシーンについて、生体を虐待しているのではと勘違いする者も見られた。落下した包丁を前にしたトトの怒りの表情や火炎放射等にも応用され、コミカルな部分に多用されている。
本作は動物映画でもあるため、特有の撮影の困難が伴う。例えば、陸や床を歩くシーンでは実物のケヅメリクガメを餌で誘導したが、このような手法上、カメの気分次第でNGカットになるため、1カットを撮影するにも何度も撮影を繰り返した。また、カメが歩く面の温度も過度に高温にならないよう管理された。生きたカメを用いたことに関して、ガイドブック等で監督自身が苦労を語っている。
[編集] 関連作品
- 『ガメラ2006 HARDLINK』
- 特撮エースNo.12からNo.14まで連載された漫画作品。単行本全1巻。Ark Performance作。
- 『僕とトトの物語—映画『小さき勇者たち ガメラ』』(角川文庫、2006年発行、ISBN 4043818017)
- 脚本家・龍居由佳里によるノベライズ本。
- 『ともだち 小さき勇者たち ~ガメラ~』(エンターブレイン、2006年発行、ISBN 4757728050)
- 映画では登場しない設定、シーンを多く含んだ蕪木統文によるノベライズ。田崎監督が監修に協力している。
- DVD 「小さき勇者たち~ガメラ~ トトがガメラになった日 」角川エンタテインメント
- プロモーションを兼ねたメイキングDVD。大掛かりな特撮や生きたカメを用いた撮影の様子が見られる。
- CD 「小さき勇者たち~ガメラ~ オリジナルサウンドトラック」 avex
- オリジナルサウンドトラックCD。歴代ガメラの咆哮、ガメラマーチ等のボーナストラックを含む。
- 小さき勇者たち~ガメラ~公式ガイドブック 2006年 ISBN 4840234604
- スタッフ、キャストの声、撮影技法等に詳しい。
[編集] 外部リンク
- All Aboutの爬虫類・両生類コーナー ケヅメリクガメ の筆者が、特撮ファン、爬虫類・両生類ファン両方の視点から評論。トトガメラの着ぐるみが実際のカメを良く再現していること、生まれたてのガメラに卵嘴があることにも言及。