小学館の学習雑誌
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小学館の学習雑誌(しょうがっかんのがくしゅうざっし)とは、1922年に小学館により創刊された、小学生を対象にする学年別の総合雑誌を指す。
既に日本文化の一部となった漫画「ドラえもん」はもともとこれらの雑誌に連載されていたもの。
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[編集] 概要
学年別に、「学習幼稚園」「小学一年生」「小学二年生」「小学三年生」「小学四年生」「小学五年生」「小学六年生」の計7誌が存在する。現在、一般に「学年誌」と言えばこれらの雑誌を指す。
6誌それぞれ別の編集部が編集している。年度が変わると読者は自動的に1つ上の学年の雑誌に移るが、編集部自体は繰り上がらない(次年度の同じ学年向け雑誌を編集する)。
途中で読まなくなる読者はいるものの、逆に途中から学年誌を読むようになる読者は限られるため、発行部数は学年が上がるごとに漸減傾向にある。
[編集] 来歴
- 1922年 - 「小学五年生」「小学六年生」創刊
- 1924年 - 「小学四年生」創刊
- 1925年 - 「セウガク一年生」(小学一年生)「セウガク二年生」(小学二年生)「セウガク三年生」(小学三年生)創刊
- 1941年 - 小学校が国民学校と改称。同時に誌名を「国民一年生」~「国民六年生」に変更。
- 1942年 - 戦時統制により、「良い子の友」と「少国民の友」に統合。
- 1946年 - 「小学一年生」~「小学六年生」復刊。
- 1980年~1994年 - 流行語にもなったキャッチコピー「ピッカピカの一年生」(電通の杉山恒太郎の発案)を使った「小学一年生」のテレビコマーシャルが放映される。
- 1982年 - 「学習幼稚園」創刊。
[編集] 変遷
1960年代までは、娯楽性よりも学習誌としてのスタンスを重視していた。
しかし、1970年代になると、表紙を子どもの肖像からアイドル歌手及び人気女優の写真に変えたり、ウルトラマン等の特撮やアニメ・バラエティ番組等のテレビ番組やテレビゲーム、玩具の記事を載せたりするなど、次第に娯楽性を重視していく。1980年代半ばから、ジャンル別の雑誌が多数発行されるようになると、高学年向けの「小学六年生」では政治問題を取り上げたり(1991年の「ゴルバチョフの挑戦」など)、就職問題を取り上げたり(2005年の「12歳のハローワーク」など)、2ちゃんねるのAA・顔文字を掲載するなど、読者層の獲得に努めている。が、ページ数は最盛期の半分、値段は最盛期の倍、といった状況にある。
現在も、子ども自身の意向ではなく、保護者の意向で購入されている場合が多いと思われる。そのためか、近年は高学年向けでは別冊付録が付き、そちらに漫画を数多く掲載し、本誌を学習的内容の比率の高い物にする策を取っている。
[編集] 各誌の連携
年度替りごとに読者を引き継いでいく格好になるため、例えば漫画の新連載が年度始めよりも前倒しに、前学年の2~3月号からスタートする、等の連携は見られる。
但し、そういった事以外での連携はかなり少ない。
また、複数誌に渡って同じキャラクタ・原作の漫画が載る事があるが、必ずしも横並びではない。例えば、1994~1995年度に「ウェディングピーチ」が連載されたが、一・三・四年生のみで、小学二年生では連載されなかった。また2004年度にはこれと逆に、テレビアニメの企画を元に「みらくる・ドリーム ミンキーモモ」が小学二年生のみで連載されていた。そして2006年現在、「名探偵コナン」を各誌で連載している中、小学三年生のみが全く扱っていない。
他にも、各誌ごとの方針の違いも目立つ。例えば、小学五年生では「ないしょのつぼみ」などの少女向け漫画・企画が非常に充実しているが、小学六年生は五年生と比較してかなり少ない。こういったところで、学年が上がる際の読者の取りこぼしも少なからず存在しているとの懸念もある。