小森陽一
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
小森 陽一(こもり よういち、1953年5月14日 - )は、東京都出身の日本文学者。全国「9条の会」事務局長。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。専攻は、近代日本文学、構造主義記号論。母親は小森香子(東京原水協、日本平和委員会理事)。北海道大学文学部、同大学院文学研究科博士課程修了。
日本共産党党員であった父親の仕事の関係で、幼少期、中学時代までチェコスロヴァキアのプラハで過ごす(ソビエト連邦大使館付属学校通学、ピオネール加入)。東京都立竹早高等学校では1年生で生徒会長に選出され、全校ストを組織して教師たちを土下座させた上で「生徒権宣言」を学校側に受諾させる。その内容は「授業の内容、教師の講義方針に関しては教師・生徒間の話し合いにより決定する」、「生徒に関する諸規則は生徒が定め、生徒が管理する」といったものであった。北海道大学大学院在学中は、札幌の進学予備校である北大学力増進会の現代文科講師を勤めた。その後、成城大学勤務を経て、現在の本務校である東京大学に赴任した。
夏目漱石の『こころ』の解釈を巡って東大教授・三好行雄と論争した。
文学評論にとどまらず、政治的な発言も多い。東大で1・2年生相手に宮沢賢治を題材にした講義を行っているが、そこでも政治的発言(軍隊が国民を守ってくれたことは史上一度もない、など)をするほどである。[要出典]
現在は、憲法改正に反対する九条の会の運営にも事務局長として参画しており、また憲法や教育基本法の改正に反対し、多くの集会で発言を行っている。(「九条の会」事務局長から新年のご挨拶)
CS放送朝日ニュースターの番組で、「靖国神社はカルト」と発言し、同神社を支持する人々から批判を浴びた。
同僚である東京大学教養学部教授で、フランス哲学者の高橋哲哉は、思想的な意味での盟友といえる。(『ナショナル・ヒストリーを超えて』)
論文『ポストコロニアル』で、日本の明治以降期における西洋化の試みを、ポストコロニアル研究の視点から再考した(『ポストコロニアル』)。日本文学、特に漱石の作品における植民地的要素の分析を行った(『世紀末の予言者・夏目漱石』『漱石をよみなおす』P251)。
東大の教授になった途端、「紳士目録に名前を載せませんか?」と依頼がきたが、彼は「紳士」という言葉を嫌っていた上、「東大教授は紳士で成城大教授は紳士ではないのか」と怒ったが、なぜか目録に載せられてしまった(本人談)。
目次 |
[編集] 学歴
[編集] 職歴
[編集] その他の役職
- 九条の会事務局長
- 教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会の呼びかけ人
[編集] 著書
[編集] 単著
- 『文体としての物語』(筑摩書房, 1988年)
- 『構造としての語り』(新曜社, 1988年)
- 『縁の物語――『吉野葛』のレトリック』(新典社, 1992年)
- 『夏目漱石をよむ』(岩波書店, 1993年)
- 『漱石を読みなおす』(筑摩書房[ちくま新書], 1995年)
- 『最新宮沢賢治講義』(朝日新聞社, 1996年)
- 『出来事としての読むこと』(東京大学出版会, 1996年)
- 『「ゆらぎ」の日本文学』(日本放送出版協会, 1998年)
- 『世紀末の予言者・夏目漱石』(講談社, 1999年)
- 『小説と批評』(世織書房, 1999年)
- 『日本語の近代』(岩波書店, 2000年)
- 『ポストコロニアル』(岩波書店, 2001年)
- 『歴史認識と小説――大江健三郎論』(講談社, 2002年)
- 『天皇の玉音放送』(五月書房, 2003年)
- 『村上春樹論――『海辺のカフカ』を精読する』(平凡社[平凡社新書], 2006年)
- 『心脳コントロール社会』(筑摩書房[ちくま新書], 2006年)
- 『レイシズム』(岩波書店, 2006年)
- 『ことばの力 平和の力――近代日本文学と日本国憲法』(かもがわ出版, 2006年)
[編集] 共著
- (石原千秋・木股智史・島村輝・高橋修・高橋世織)『読むための理論――文学・思想・評論』(世織書房, 1991年)
- (柄谷行人・小池清治・芳賀徹・亀井俊介)『漱石をよむ』(岩波書店, 1994年)
- (吉見俊哉・大澤真幸・田嶋淳子・山中速人)『メデイア空間の変容と多文化社会』(青弓社, 1999年)
- (辻村みよ子)『有事法制と憲法』(岩波書店, 2002年)
- (市野川容孝・守中高明・米谷匡史)『変成する思考――グローバル・ファシズムに抗して』(岩波書店, 2005年)
[編集] 編著
- 『近代文学の成立――思想と文体の模索』(有精堂出版, 1986年)
- 『研究する意味』(東京図書, 2003年)
- 『平和が生きるとき』(かもがわ出版, 2004年)
- 『私の座標軸』(かもがわ出版, 2005年)
[編集] 共編著
- (片岡豊)『漱石作品論集成(2)坊っちゃん・草枕』(桜楓社, 1990年)
- (芹澤光興)『漱石作品論集成(11)道草』(桜楓社, 1991年)
- (紅野謙介・高橋修)『メディア・表象・イデオロギー――明治30年代の文化研究』(小沢書店, 1997年)
- (高橋哲哉)『ナショナル・ヒストリーを超えて』(東京大学出版会, 1998年)
- (栗原彬・佐藤学・吉見俊哉)『越境する知(全6巻)』(東京大学出版会, 2000年-2001年)
- (坂本義和・安丸良夫)『歴史教科書何が問題か――徹底検証Q&A』(岩波書店, 2001年)
- (石田英敬)『シリーズ言語態(5)社会の言語態』(東京大学出版会, 2002年)
- (井上ひさし)『座談会昭和文学史(全6巻)』(集英社, 2003年)
- (成田龍一)『日露戦争スタディーズ』(紀伊國屋書店, 2004年)
- (高橋哲哉・大内裕和・三宅晶子)『教育基本法「改正」に抗して――緊急報告 : 全国各地からの声』(岩波書店, 2004年)
カテゴリ: 出典を必要とする記事 | 国文学者 | 1953年生