屋上庭園
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屋上庭園(おくじょうていえん)とは建物の屋上、ベランダなど人工地盤に作られた庭園。
ビルなど屋根が平で屋上を持つ建物の空間に癒しや潤いを求めて、緑を置くケースは増えてきたが。従来は鉢植えやプランターを置くだけだったものを、さらに推し進めて、客土によって人工的に大地を作り、植栽を施し庭園をなすものをさす。
最近ではヒートアイランド現象解消の切り札としても注目を集めている。
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[編集] 荷重対策
建物の植えに植物を植えるのに加えて、「客土」を加えるため、どれだけの重さが建物にかかるかを計算して植栽計画を立てる必要がある。目安としては以下のものがある。植栽当時小さくても成長した場合はこれらの人口土壌の条件は変更できないので十分な計画が必要である。
- 芝生、苔など地被植物の場合「客土」の厚さは15cm以上。必要重量は300kg/m²
- ツツジ、サツキなど潅木の場合「客土」の厚さは30cm以上。必要重量は500kg/m²
- 2m以上の樹木など中木の場合「客土」の厚さは40cm以上。必要重量は700kg/m²
- 3m以上の樹木など高木の場合「客土」の厚さは60cm以上。必要重量は1,000kg/m²以上
[編集] 土壌改良
荷重対策の一環として比較的軽い土を使用する。また通気性、排水性、保水性などとphを考慮に入れて土壌を作る。 2から4割ほど土壌改良材を入れるようにする。土壌改良材にはバーミキュライト、ピートモスなどがある。
近年、土以外の素材に根を張らせるための技術が開発されている。その例として、緑化コンクリート、吸水性ポリマーなどがある。緑化コンクリートは壁面緑化などにも使われており、吸水性ポリマーについては、屋上緑化以外にも、砂漠化対策や農業などの分野に使われている。
[編集] 防水対策
植物には水が不可欠であるがコンクリートが水に腐食しないように注意を払う必要がある。スラブと呼ばれる、屋根の地の部分にモルタルを塗り、防水シートを敷くなどの方法が考えられる。
[編集] 給水設備
給水管を埋設し、タイマーによる水遣りやスプリンクラーを使用することが考えられる。
[編集] 排水処理
人工地盤のため、水がたまりやすく、植物の根を腐らせる虞が高い。余分な水が速やかに排出されるように配慮が必要である。 その方法には以下のものがある。
- 勾配をつける。
- 排水層を設ける。
- 配水管を埋設する。
[編集] 風圧対策
高木を植えた場合、土壌が軽いことや、根が浅いことから台風などの強風で抜けてしまうことが考えられる。対策としては、単一の植樹はせずに、ある程度寄せて植えることが考えられる。