巨泉・前武のゲバゲバ90分!!

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

『巨泉・前武のゲバゲバ90分!!』（きょせん・まえたけのげばげば90ぷん!!）は、1969年から1971年まで、日本テレビ系列で放送された人気バラエティ番組である。

司会進行はどちらも放送作家出身のタレントである大橋巨泉と前田武彦。ゲストの芸能人とのきわめてナンセンスでテンションの高いショート・コントをアイキャッチをはさんで矢継ぎ早につないでいくという、米国のギャグバラエティ番組「ラフ・イン」をベースとした画期的な演出手法をとった。ハナ肇の「アッと驚くタメゴロウ」は流行語にもなるほどの人気であった。

この番組の後、「ゲバゲバ一座のちょんまげ90分」というタイトルに変更し、内容を時代劇風にアレンジした番組がつくられている。さらに、1980年代と1990年代にリバイバル作品が1回製作された。

[編集] スタッフ

プロデューサー：井原高忠
演出：齋藤太朗・仁科俊介
音楽：宮川泰・前田憲男
総監修：三木鶏郎
構成：河野洋・キノトール・津瀬宏・奥山侊伸・松原敏春・喰始・林家こん平他、40名以上の放送作家を動員

[編集] 出演

小松方正、宍戸錠、常田富士男、藤村俊二、萩本欽一、坂上二郎、大辻伺郎、熊倉一雄
 朝丘雪路、松岡きっこ、小川知子、岡崎友紀、うつみみどり（現・うつみ宮土理、この番組の出演をきっかけに「ケロンパ」の愛称が付けられた）、吉田日出子、小山ルミ、キャロライン洋子、ジュディ・オング
ハナ肇

基本的にコント55号以外のお笑いタレントは起用せず、本格的な俳優・歌手を起用した。

[編集] アニメーション制作

木下蓮三とスタジオロータスが製作。主に登場したのは「ゲバゲバおじさん」と呼ばれるキャラクターだが、関係者の話によると、ゲバゲバおじさんのモデルは木下蓮三本人であるという。その後、木下蓮三とスタジオロータスはこの番組の支流であるカリキュラマシーンなどのアニメーションも制作した。

[編集] 備考

「ゲバゲバ」の「ゲバ」は「ゲバルト」（ドイツ語で「暴力」、当時の学生運動などで国家権力に対する実力闘争を表す言葉として多用された。）からきている。当時既に低予算・タレント任せの安易な企画で粗製濫造されていたテレビバラエティ番組に対する警鐘として「ゲバルト」を用いた。小林信彦が命名。

アイキャッチでのアニメーション・キャラクターによるサウンド・ロゴ「ゲバゲバ・ピィー」の「ピィー」は、アポロ11号の交信音からとっている。

予算をふんだんに掛け、制作時間をたっぷり取り、収録中一度でもNGを出したネタは二度と収録しないといった、豪華な造りであった。また、その放送作家陣が作り上げるネタの台本は、「電話帳ほどの厚さであった」と当事の出演者は語っている。なお、司会者の巨泉・前武の進行部分だけ生放送であった。

宮川泰の作曲した印象的なマーチ調のオープニング・テーマは、1998年に音源がCD化されたことで、しばしばテレビCMのBGMとして使われることがある。1998年には英詞のヴォーカルを乗せたカヴァー曲がホンダ・HR-VのテレビCMで、1999年にはオリジナルビデオアニメ「てなもんやボイジャーズ」のオープニングテーマ、2005年には原曲がキリンビールのビール風味アルコール飲料『キリンのどごし<生>』のテレビCMで、それぞれ使用された。ちなみにドラッグストア・ダイコクドラッグでは、特売タイムの店内BGMとしても使われている。2006年秋までテレビ東京「ペット大集合!ポチたま」のまさお君が行くポチたまペットの旅のオープニングテーマにも使われていたのも記憶に新しい。