悪霊島
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悪霊島(あくりょうとう) は、推理作家横溝正史が著した長編推理小説及び、それを原作とした映画・テレビドラマ作品である。現在(2005年9月)までに映画1本、テレビドラマ2作品が制作されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
探偵の金田一耕助は、瀬戸内海に浮かぶ刑部(おさかべ)島に再開発計画を持ち込んでいる島出身の億万長者・越智竜平の依頼により人捜しをするため、島がある岡山県にやって来ていた。
しかしその男は、海で瀕死の状態となって発見される。金田一は友人である岡山県警の磯川警部と共に、男の忌の際を録音したテープを聴く。そこには「あの島には恐ろしい悪霊が取り憑いている・・腰と腰がくっついた双子・・鵺の鳴く夜は気をつけろ……」という不気味なダイイングメッセージが録音されていた・・
[編集] 登場人物
[編集] 解説
1980年(昭和55年)初刊。横溝正史による最後の長編小説作品で、昭和40年代の瀬戸内を舞台にした連続殺人事件を追う金田一耕助の活躍を描く。金田一シリーズとしても最後のリリースであり(なお、内容の時系列では「病院坂の首縊りの家」が最後の物語である)また、「岡山編」の最後の作品でもある。岡山県警の磯川警部が活躍を見せるほか、磯川の過去の彫り込みもなされている。
この時期の日本ではエラリー・クイーンが過去に発表した作品がブームとなっていた。そこではストーリーの筋立てもプロット優先ではなくライツヴィル物に見られるような登場人物の複雑な心理状態を克明に描写して最後まで読者を逸らせない傾向が好まれている。この作品もまた時代の影響を随所に滲ませている。横溝の活躍により多くの推理小説ファンは生まれたが、後期の横溝の執筆活動を振り返ると推理小説ブームという波が彼を動かしており、その点で作品の評価も分かれる点ではある。
[編集] 映像化リスト
[編集] 映画
- 『悪霊島』 (1981年、東映)
- 監督/篠田正浩
- 出演/鹿賀丈史(金田一耕助)、室田日出男(磯川警部)、古尾谷雅人(三津木五郎)、伊丹十三(越智竜平)、岩下志麻(巴御寮人、ふぶき)、岸本加世子(真帆、片帆)、宮下順子(尾道の御寮人)、二宮さよ子(広島の御寮人)、中島ゆたか(松本克子)、大塚道子(越智多年子)、原泉(浅井はる)、嵯峨善兵(妹尾四郎兵衛)、鷹瀬出(荒木定吉)、多々良純(刑部辰馬)、中尾彬(刑部守衛)、佐分利信(刑部大膳)、石橋蓮司(吉太郎)、根岸季衣(女中とめ)、浜村純(漁夫)ほか
- 原作発表から直ちに映像化された作品。原作発表の年に発生したジョン・レノン暗殺のニュースを本編に折り込むという方針から、物語のキーマン・三津木五郎が、1980年の現在から刑部島事件(本編で描かれた事件)のあった10年前を回想するという形式に変更されている。本作完成直後に横溝正史が逝去し、弔報が逆に集客に一役買うことに。公開時キャッチコピーは「鵺の鳴く夜は恐ろしい」。
- 主題歌はビートルズの名曲「レット・イット・ビー(Let it be)」、挿入歌に同じく「ゲット・バック(Get Back)」を使用している。このおかげで作品に強い印象を残していたが、後年、これら楽曲の使用権が切れたためTV放映・ソフト発売出来ず、長らく幻の作品となっていた。2004年にようやくDVDが発売されたものの、楽曲部分は別歌手によるカバー版に変更されている。なお、20年以上前に東映から発売されたビデオソフトは公開当時のオリジナルで収録された貴重品。
[編集] テレビドラマ
- 『悪霊島』 (1991年10月14日、フジテレビ)
- 出演/片岡鶴太郎(金田一耕助)、平幹二朗(刑部大膳)、牧瀬里穂(三津木五十子)、嶋田久作(吉太郎)、島田陽子(巴御寮人)、夏八木勲(越智竜平)、佐川満男(刑部守衛)、六平直政(越智松蔵)、井田州彦(荒木定吉)、長岡尚彦(妹尾誠)、沼田爆(山崎巡査)、宮沢りえ(巴(回想))、市川染五郎(竜平(回想))ほか
- 舞台を昭和20年代に移しての映像化作品。簡略化されているが原作に比較的忠実な内容。しかし本作の重要なポイントであるシャム双生児「太郎丸・次郎丸」の骸は倫理上から改変され、単独の死児に変更されている。
- 『悪霊島』 (1999年3月8日、TBS、金田一耕助:古谷一行)