桑原和男
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桑原和男(くわばら かずお、本名:九原一三、1936年2月23日-)は、日本の喜劇俳優で吉本新喜劇の男優。福岡県小倉市(現在の北九州市)出身。吉本興業所属。
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[編集] 遍歴
常磐高等学校卒業後、夢路いとし・喜味こいしに師事。初舞台は1956年、漫才脚本家秋田実が立ち上げた劇団、宝塚新芸座。漫才を経て、1961年、吉本新喜劇の前身「吉本ヴァラエティ」に入団。一時期、新喜劇の名座長として知られる平参平と漫才コンビを組み地方興行に出演していたこともある。
1969年に座長に昇格。その後、座長経験者が後進へ道を譲るために設置されていた「専科」に入り、主に脇役として平参平や原哲男らと共に新喜劇の黄金時代を支えた。
1989年、「新喜劇やめよっかな?キャンペーン」で岡八朗、花紀京ら長く新喜劇を支えてきた同志が新喜劇を去ってゆく中、池乃めだかと共に重鎮クラスで残留し舞台出演を続けると同時に、後に座長となる内場勝則ら若手の育成にも尽力。新喜劇生活は40年を超え、新喜劇の生き字引的存在になっている。
現役の新喜劇メンバーの中では最年長。また、新喜劇メンバーとしても最古参である。このため、(年功が最も重要視されるせいもあるが)劇団内部の秩序を維持させる上で重要な役割を務めている。また、劇団員が座長へ昇格する場合に於いても、前提として彼のお墨付きがあることが必要となっている。今や重鎮の中でも、「別格」の存在となっている。
TV番組「ナンバ壱番館」(ABC)より内場らの証言によると、内場・未知やすえ夫妻の交際発覚当時、桑原は昔から伝統として継承されていた「劇団内部での恋愛は御法度」と言う掟を盾にして猛反対したとも伝えられる。その後、内場と未知の結婚は桑原が折れて認める形で実現したが、その後は劇団員同士の結婚に関しては黙認せず、積極的に承認しているようである。無論この劇団員同士の結婚に於いても、桑原の承認が絶対条件となっている。
小柄で、やさしい顔立ちであることから、1970年代中頃から、船場太郎の母親役や、おばあちゃん役を務めるようになった。よみうりテレビで放送されていたコメディNo.1、木村進、間寛平主演の『吉本コメディ』では、決まって女装で登場し、原哲男と夫婦役だった。この頃は他にも、警官、番頭などの役柄も多かったが、近年では、おばあちゃん役(舞台上での役名は、桑原和子)以外で新喜劇に出演することは、ほぼ皆無となっている。たまに、それ以外の役柄で出演すると、「いつも、おばあちゃんの役が多いやろ」「俺は、おばあちゃんのかっこをしてでなアカンのか!」と自ら男性役にツッコミを入れ、客席だけでなく共演者をも笑わすギャグを持つ。
2006年2月23日に古希を迎えても尚、若手と積極的に活動する桑原の姿勢は新喜劇メンバーの鑑とされている。が、近年はチャーリー浜と意見が対立しているという。若手並みに出演時間を短縮し、かつストーリーの本筋にさほど影響しない役柄で、持ちギャグを披露して3分程で退場することが多い、浜の自ら舞台に溶け込もうとしていない姿勢への批判の表れとも見なされている。
過去にはリクルートの賃貸不動産情報誌『フォレント』のTVCMにも出演していた。このCMでは、あの挨拶の持ちネタを披露。
「ごめん下さい、どなたですか?賃貸不動産の『フォレント』です。…ありがとう。」
また、和子のおばちゃんの姿のままで、金鳥サッサのCMに出演したこともある。
「婆のお乳が揺れる時~、金鳥サッサが埃取る~。婆のお尻が揺れる時~、金鳥サッサが艶を出す~。」
[編集] ギャグ
代表的な持ちネタは
- やたら前方に傾いた姿勢で現れ「ごめん下さい、どなたですか(一例:桑原和子が挨拶にやって来ました)…お入りください、ありがとう。」(最近はサンキュウと言って突っ込まれるのがパターン)
- 登場シーンで、舞台となる場所に入る時に使うギャグである。
- 「ごめんください」の後で「やめとこ」と途中で止めるパターンや、「やめとこ」と言った後結局続けるパターンもある。
- 時には、その後、「挨拶がバラバラじゃないですか」と言われると、「うん、せやからバラバラ和子いうねん。」とぼけ、「桑原やろ?」と突っ込まれることもある。最近では、(共演者)「みんなバラバラにいってしまいましたよ」(桑原)「バラバラ?私、桑原」(共演者)「シャレはええから」とつっこまれることも見られる。
- しかし最近は、途中でかむことが多い(その理由に体調を崩したことが原因とも言われる)。「ごめんください、どなたですか。となり・・・あっ・・・えっ・・・・・・ありがとう」
- 4月8日最新は「ごめんください…やめとこ」→「ごめんください、どなたですか?も…むかい…も…むかい…何か?」→「只今中に入っていきますのでごひいきください、お入り下さい…センキュウ。」
- 共演者(家族役)も同じ姿勢で後に続くことがある。(桑原)「ごめんください、どなたですか、向かいの家の桑原和子と」(共演者1)「長男○○」(同2)「嫁○○」(同3)「長女○○」(桑原)「がやってまいりました。お入りください。ありがとう」
- シャドウボクシング
- 登場時の挨拶に引き続いて行われることがある。
- 桑原「もう、お母ちゃんはこんなに元気やねん」軽快なステップでシャドウボクシングをするが…
- 桑原「う…な、何やこれ…あ、う、う…」胸の辺りを押さえて、崩れ落ちる。
- 周りの人「お母ちゃん、大丈夫か!?」
- 桑原「別に」すっと立ち上がり、引き続きシャドウボクシングに勤しむ(この際マドンナ役にセクハラを働くこともある)。
- 「ひとえにあの方のおかげです。そうですあの方です。神様、神様~(切々と状況について語る。途中で吉本のギャラの支払いの悪さを暴露するのがお約束)~ご静聴ありがとうございました。」という一人芝居(BGMは、パブロ・デ・サラサーテ作曲の「ツィゴイネルワイゼン」)。
- 特にこの芸は、正月に見られることが多い(テレビにおいて)。このギャグは現在の新喜劇ではいわば「別格」扱いの重鎮である桑原でなければ成立しないギャグである。
- 新喜劇やめよっかな?キャンペーンで加入した今田耕司らが新喜劇を卒業したときはこのギャグで卒業者一人ひとりを称えている。とにかく、新喜劇中でも特別・重要な場面でのみ使われるようになっている。
- 乳を取り出して自分で揉みだす、一人芝居。茂造じいさんが背後から揉んで二人で「ガクッ」っとうな垂れる芝居もあり。この他、男性共演者に襲い掛かって乳を口にねじ込む"逆セクハラ"バージョンもある
- ちなみに、この作り物の乳(通称:垂れ乳)を電車の網棚に置き忘れたが未だ見つかっていない。
- 突然、男言葉や小倉弁で喋り出し、男物パンツを見せたり、マドンナ役の女優に無理矢理のキスを迫ろうとしたりなどする(この時「今は、ただのおっさんや・・・」という)。時には、股間が広がっていたりもする。これを見た辻本茂雄が「あれじゃ『くわばら』じゃなくて『せくはら』やな。」と言う。
- (男言葉を指摘され)「両方いける」「どっちゃでもいける」「今は、ただのおっさんや」。そして、股間が広がっていることを指摘する「男になっとるがな!」のツッコミで、元の「和子のおばちゃん」に戻る。
- たまに男性の役で出演すると、「いつも、おばあちゃんの役が多いやろ」とツッコミを入れられ、「ほな、俺は、おばあちゃんのかっこをして出なアカンのか!」と自ら男性役にツッコミを入れて開き直る。
- 「見よ!この決意(=ケツ意)」(その後、尻を突き出しながら歩いて舞台袖に立ち去る)
- 「ウレチーな、ウレチーな」(といってはしゃぐ)
- 「私はここに住んでる八千草薫と申します。」(それを聞いて相手が驚いたのを見て、すぐ)「八千草薫!・・・。のファン、桑原和子。」
- 「12時は…いや、一時はどうなる事かと思った。」
- 島木譲二の熊ネタの時、一人スキージャンプやトビウオなどの不自然な体勢で死んだ振りをする。この後、島木から「おばあさん、何ちゅうカッコして死んだフリしとんねん」というツッコミが入る。
この他、辻本茂雄が「ちちが~~~~れ~~~~」とバケツを叩きながらバナナボート風に歌って台に上がり垂れ乳を出して最後に土下座で終わるネタがある。これには烏川や安尾その他が加わる。そして他の共演者が「何やってんねん!!」っと突っ込んで辻本が「只今の時間は乳神様(もしくは垂れ乳の神様)へのお祈りの時間でございます」っとボケる。 ちなみに、烏川耕一に対して行われる「ひょっと~~~~こ~~~~れ~~~~」も、これとまったく同じ要領である。この場合は烏川が口笛を吹き、それに対して辻本らが「ひょっとこの神様が怒った」とはやし立てる。 桑原がマドンナの吐き気を見つけ、妊娠と判断すると、「あ、つわり」とせりふを言うと全員が座る。桑原自身のギャグではないが、おばちゃん、かつギャグ担当の桑原の一声なしではこの場面は発生しない。