内場勝則
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内場 勝則(うちば かつのり、1960年8月22日 - )は吉本興業所属の日本のお笑いタレントであり、吉本新喜劇の座長を務める。大阪府大阪市西成区出身、妻は同じ新喜劇主力で女優の未知やすえ(芸人としての立場上は、やすえの後輩にあたる)で、1児の父でもある。大阪府立東住吉工業高等学校卒業。ダウンタウン、トミーズ、ハイヒールと同じNSC1期生。
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[編集] 遍歴
[編集] 新喜劇再興時代
- 1982年、NSCに入学。翌年卒業した後は、しばらく外部の芝居に出演したりしていたが、1985年から岡八郎、間寛平らが主力だった新喜劇の舞台で活躍する。その後1989年、空前の座員リストラ、「吉本新喜劇やめよッカナ?キャンペーン」を乗り越え、1995年から辻本茂雄・石田靖とともにニューリーダーに就任。当時の主力だった桑原和男、チャーリー浜、池乃めだか、井上竜夫、中山美保、末成由美たちベテランに、若手有望株だった山田花子、藤井隆らを加えた新生「吉本新喜劇」の建設に尽力し、(やめよッカナ?の後、ダウンタウンの東京進出と共に新喜劇にいた今田耕司、130R、東野幸治なども東京進出し、客を戻すのに大変だったと語っている。)台湾、ニューヨークなどの海外公演やTBS系全国ネット中継「超!よしもと新喜劇」など確実に黄金時代を築いていった。この途中壊血病になって入院するほど苦労したようだ。
読売新聞・「光彩の時 聞き書き」インタビューでは、テレビ放送やゲストのことをまず考えて舞台を作る全国ネットの方針に戸惑いながらやっていた(要旨)と語っている。
[編集] 座長就任
- 1999年、吉田ヒロも加えて4座長の1人に就任。座長の中では最年長だが最も小柄(160cm台前半)なため実年齢よりも若く見え役柄の幅は広い。辻本とは対照的にやや気の弱めで善良な若い役、例えばチャッカリした性格の新人、アホな御曹司(アホボン)の役(この場合、たいてい烏川耕一がツッコミ)が多く、過去には桑原和男のようなおばあちゃん役も務めた事がある。大きな立ち回りや目立つ台詞回しはあまり用いない方で、ストーリーの流れや結末を引き立てるのを得意とする。この上にボケもツッコミも器用なことから、今田耕司が「スーパー座長」と名付けた経緯もある。
- 2005年には「川畑・小籔のがんばろッカナキャンペーン」の成功を受けて、次期座長候補の小籔千豊に座長格を譲り、内場本人は桑原和男や池乃めだからの「重鎮」ポジションで出演したこともある。小籔が正式に座長になった後、どのように活動していくのか、今後の活躍も注目である(「聞き書き」によると、テレビに出るのはあまり好きではないそうである)。
- 決してベテランに偏重しているわけではないが辻本が若手を積極的に使用し、ヒロが先鋭的な試みを行なっているため最もベテランの起用率が高い。過去には桑原和男、末成由美、島田一の介、井上竜夫、チャーリー浜らが縦続けに登場ギャグでこかし続けるというパターンも見られた。
[編集] 人物
- 松本人志に「ダッフルコートと文庫本は絶対手放さへん」と言われるほど読書好きであり、普段は物静かであまりしゃべらない。ムードメイカーの吉田ヒロとは対照的とされる。
- 私生活では酒豪として知られ、夫婦関係が冷えきっていた頃に阪神・淡路大震災が起こり怖がるやすえを励まし、やすえは内場に惚れ直し関係は修復されるが、実は酔った勢いのうわ言であったという。
- 未知やすえに107日間家出された(ダウンタウンですよ~だにて)。
- 缶ビールは一日一本とやすえに決められており、やすえの目を盗んで飲む際は缶のプルタブを開ける時に音をごまかすために「くしゅっ」とくしゃみのフリをするらしい。この事は新喜劇の舞台中にも「もしもやすえが妻になったら」という設定で小籔らがリアルに暴露した。
- さらには、酔いつぶれた果てには、やすえに「ヤンヤン、きょうちっちゃいおにぎりつくってくれる?」と問いかけるなど可愛らしくなる。小藪の座長就任のSP番組で辻本茂雄によって暴露された。
- ジャイケルマクソンの吉本国勢調査女芸人編で結婚したい吉本芸人で第1位に選ばれた。
[編集] TV出演
- 毎日放送制作「よしもと新喜劇」に不定期で出演。
- 全国ネットでは、NHK制作時任三郎主演のドラマ「アイ'ム ホーム」に石田とともに出演した。また同局制作のドラマ「新・ズッコケ三人組」ではハチベエの父親役を演じていた。朝の連続テレビ小説「あすか」にも出演していた。
- テレビ朝日制作京都迷宮案内に安尾信乃助とともに出演
[編集] 単発ドラマ
- ナニワ借金道 盗られてたまるか(1998年11月8日 読売テレビ)
- よしもと新喜劇ミステリー 名探偵内場勝則 湯けむり殺人事件(2001年12月4日 テレビ大阪)
- イブの夜はドラマやん!~真実のキス~(柴原満役)(2006年12月24日 毎日放送)
[編集] 映画
- シネマワイズ新喜劇シリーズ
- 難波金融伝 ミナミの帝王劇場版PartⅠ(1993年)
[編集] ソロイベント
[編集] 舞台でよく言うセリフ(持ちネタ)
- 前述されるように台本や役者によって自分の役柄を変える事ができる器用な人。芝居やアドリブの上手い小籔千豊、川畑泰史、烏川耕一、井上竜夫、安尾信乃助、島田一の介、中田はじめ、島木譲二たちを重用する。またイジるのが大好き。子持ちのせいか、アニメネタを多用する。
[編集] 「えっ、そんなんできるんですか?」
- 島木譲二が内場にパンチしようとすると
- (内場)「あぶないな~、そんな前足で」
- (島木)「これ、わしのお手々や!」
- (内場)「ほなそっちが前足?」(反対側の手を指し)
- (島木)「これもお手々や!ほな、わしこないして歩くんか!?」(熊のように四足で歩く)
- (内場)「えっ、そんなんできるんですか?」
- (島木)「でけへん!」
- このやり取りを数回繰り返した後、
- (内場)「今度は後ろ足で?」
- (島木)「後ろ足とちゃう!ほな、わしこないして歩くんか!?」(ハイハイのように歩く)
- (内場)「え、そんなん・・・」
- (島木)「でけへん!」(立ち上がり、クマのようなポーズで地団駄を踏みながら)
- また、以前は、
- (内場)「しっぽは?」
- (島木)「取れました♪…アホ!ワシ人間や!」
- というパターンなどもあった。
- また、発展系で島木がハイハイしている時に、無視する場合もあり、
- (島木)「おい、兄ちゃん。ほったらかしかい!そんなことできるんですか?ってさっきまで言うてたやん」
- (内場)「だって、でけへんって言われるから・・・」
- (島木)「さっきみたいにツッコミして~や」
- (内場)「そっちが、前足?」
- (島木)「お手々や!」
- (内場)「ほなそっち前足?」
- (島木)「これもお手々や!ほな、わしこないして歩くんか!?」
- (内場)「(面倒臭そうに)あ~はいはい、そんなんできるんですかっ?」
- (島木)「面倒臭そうに言うな!」
- というパターンも見られた。
[編集] その他
[編集] 自分
- 登場時に(主に屋台の主人役の場合)プラスチック容器を重そうに右手で持ってよろけながら歩いてくる。共演者に「おい、大丈夫か?」と聞かれると「こっち(左手)で持つと楽やねん!」と言って容器を軽々と持ち上げる。
- 登場時に道に迷って遅れたという設定で「おかしいな、確か地図ではここら辺って描いてあったんやけどなぁ。」と言いながら世界地図を広げる。他、地図を広げながら(目標物が目の前にある場合)「○○建設は、ええっと・・・」その建物に書かれた看板を見て「○○建設・・・・・・どこや?」共演者に「今、読んだやん!」と突っ込まれるパターンもある。
- ヤクザなどに脅されておびえたり、極度に緊張した場合、鼻から抜けた声でしゃべる。周りの人たちはその声につられてふにゃふにゃ体を動かす。
- 使用例
- (内場)「はにめまして、うひははつのりともうひまふ。(初めまして、内場勝則と申します。)」
- (ツッコミ)「もっとゆっくり落ち着いて言わんとわからん!」
- と突っ込まれ、今度は抜けた声でだら~とゆっくりしゃべると、
- (ツッコミ)「もっと区切ってはっきりと!!」
- と突っ込まれ、やはり抜けた声で今度は区切り区切りでしゃべり、最後は決まって「チチキトクハヨカエレ(父危篤早よ帰れ)」と言う。
- (ツッコミ)「電報になってるがな!」と突っ込まれて本編に戻る。(近年は全くやらなくなった。)
- 共演者の言葉に「はい、はい!はい、はいはい!」と激しく相槌を打ちまくる。
- みんなで何かいい方法がないかなあ?と考えている時のネタ
- 内場がパンと手を叩き、
- (内場)「何かないですかね~。」
- (共演者)「今、一瞬何かひらめいたんかと思ったやん!」
- うどん屋などの店に入る時に決まって、
- (内場)「いらっしゃい!」
- (共演者)「何でや!こっちがいらっしゃいって言うんですよ!」
- たいぞうが「ペロぺ~ロ、ペロペ~ロ」と日本語がしゃべられないフリをして近づいた時、自らも「ペロぺ~ロ、ペロペ~ロ」で返す。その後、たいぞうと意気投合したかのように見えた時点で「何言ってるかわかったか?」と聞かれ、「全然わからんかった」とボケる。
- 修羅場になった時は殴られ役に回ることが多い。
- ひどく驚いた時は「イィィィィーーー!」(『え゙』と『い』の中間の音)
- これの発展系として、重大な事実を告げられた時にその直後は平然と振る舞い、相当の間を置いた上で「イィィィィーーー!」と叫び笑いを取るパターンもある。さらに2、3回繰り返した後に「ご一緒に。」と舞台上の共演者全員で「イィィィィーーー!」と叫び、さらに「回転」と全員で回りながら「イィィィィーーー!」、「リバース」と逆回転しながら「イィィィィーーー!」、「ボックス」→「イッイッイッイッ!」と全員でボックスステップを踏みながら行うパターンに発展する事もあるさらに「あ、サンバ」→「イイイッ♪イイイッ♪」など、増えつつある。
[編集] 人物編
他の共演者をイジるギャグ。
- 烏川耕一に「口笛吹いてたでしょ。」「すごい風圧が・・・」
- 川畑泰史に「ご飯がご飯がススム君。」「焼きビーフフ~ン、ズボッ。」
- 島木譲二が急に登場した場合の「熊ネタ」で、顔を見る度に驚いた顔をし、息を殺しながら無言のままスローな動きで死んだ振りをする。その際、島木に「どないしたんや?」と言われると、「熊です。死んだ振りを・・・・・」と言う。(その後、上記の記述の「えっ、そんなんできるんですか?」のイジりにつながる時もある。なお、以前は、「すいません。ここにはハチミツは置いてないんですが・・・・・」などと続くパターンもあった。)
- 島田一の介にハゲにまつわるイジり「つい口が滑って・・・(スベル?)」「あ、いや、つるっと(つるっと?)」「えっと・・・どういうてハゲまそう・・・(そんな励ましいらんよ!)」「あ、いや毛根ない(何?毛根ない?)いやもう金輪際いわないということで(当たり前じゃないか)」「すいませんヌケヌケと(あ、まだいうてる?)」「すいません、けなしすぎて(誰が毛無じゃ)」「毛にしすぎでございます(気にしすぎだ)」「けがないですか?(うるさい)」
- 中田はじめに「知ってますよー、うちの親戚の子が好きなんですよ・・・アンパンマン。」
- 浅香あき恵に「ブッサイクやな~~!!」(以前は、「三田佳子さん」と持ち上げ、後で落とすパターンがあった。)
- 末成由美に「湯婆婆?」(千と千尋ネタのため近年は見られない)
- 中山美保に「カオナシ?」(千と千尋ネタのため、近年は見られない)
- 未知やすえが足踏みをすると「地震だ!」と言ってそれに合わせて小刻みにジャンプするネタ(最近では代わりにぢゃいこ、山本奈臣実がいじられる。)
- たかおみゆきに「お猿さん?」「うわ、しゃべってるわ~」
- 中條健一(ヤクザの格好の場合)に「置いてませんわ~(何探してるんや?)」「まゆげ!」(内場が初めて中條にイジったネタ。ゲラゲラハッピィより)(近年は見られない。)
- 辻本茂雄に「クッキングパパ」「ペリカン」(近年は見られないイジリ)
- …その他、突っ込む相手によってセリフをしょっちゅう変えたりしている(らしい)。
[編集] アホボン
- どこか無理のあるオールバックに蝶ネクタイとスーツというスタイルでBGMとともに登場。曲の最後の「ジャカチャン!」とともにポーズをとるが、これを数回繰り返す。
- カバンを前方に不自然な位置で持っている。突っ込まれると「ここにあると無くさないんですよ!」と怒る。
- カバンを取られると元気がなくなり突っ伏してしまう。カバンを返すと「復活!」と言って立ち直る。
- 蝶ネクタイを伸ばし、その長さに応じて声色を変える。相手が何回かそれを繰り返すとネクタイを引っ張らないのに声が変わっているのを突っ込まれる。
- カバンを取られて倒れているときにネクタイを引っ張ると、やたら低音で声を発する。
- ツッコミで頭をどつかれた後、しばらく間を置いて「痛っ!」と言う。
- 「お前あほか!」と言われたら、「あほちゃうよ!」と言う。
- 辻本共演時に多いやりとり→「あほやろ!」「ちゃうよ!」のやりとりを何度か繰り返し、辻本が「バカ!」と言ったらうれしそうな顔をする。辻本が「こいつ、バカ言われて喜んでるで。」と突っ込む。
- 最近は全く見られないネタである。
- 2007年3月7日、うめだ花月で行なわれた川畑泰史ライブ「スキルアップⅡ~春の顔パン祭り~」で客演した際、久しぶりにこのネタを披露した。