永遠の詩
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『永遠の詩』(とわのうた・The Song Remains the Same)はイギリスのロックグループ、レッド・ツェッペリンの作品名。
以下それぞれについて解説する。
目次 |
[編集] 楽曲
『永遠の詩』(The Song Remains the Same)はレッド・ツェッペリンの曲名。1973年、彼らの第5作アルバム『聖なる館』のA面1曲目に収められて発表された。作詞作曲はジミー・ペイジとロバート・プラント。最初は「The Overture」の仮題でインスト曲として作曲されていたが、プラントの提案によって歌がつけられ、現在の形に完成した。「音楽は変わることなく永らえる」という、美しく肯定的な題名は、その後レッド・ツェッペリンのテーマ・フレーズとなった。また1977年から1979年まで、この曲は彼らのコンサートの幕開けの曲として演奏された。
[編集] 映画
『The Song Remains the Same』はレッド・ツェッペリンのコンサートおよびプライベートの模様を描いたセミ・ドキュメンタリー映画。制作:ピーター・グラント。監督:ジョー・マソットおよびピーター・クリフトン。1976年10月21日公開(ニューヨーク)。カラー(一部白黒)。上映時間約137分。日本では『レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ』の邦題で公開された。
[編集] 来歴
レッド・ツェッペリンの人気が高まり、しかも彼らがテレビ番組での演奏を拒否していた(*注)ことから、映画として彼らのステージ・パフォーマンスを記録しておこうという試みは以前から提案されていた。事実、早くも1970年1月9日、ロイヤル・アルバート・ホールでのコンサートはフィルム収録されていたが、結局、公式に公開されることは無かった(このフィルムは2003年、「レッド・ツェッペリン DVD」でようやく日の目を見る)。その後も映画の話はしばしば持ち上がっては立ち消えになっていたのだが、1973年5月、映画監督のジョー・マソットがピーター・グラントに接触したことで初めて本格的に動き出す。グラントは最初はこの提案を拒否したのだが、同年夏のアメリカ・ツアー中に気が変わり、7月、マソットに撮影を依頼。急遽アメリカに飛んだマソットはまずバック・ステージの模様をフィルムに収め、次いでボルチモアとピッツバーグでステージの模様をテスト撮影した後、7月27日、28日、29日、ツアーの最終公演となるニューヨーク、マディソン・スクエア・ガーデンでの公演を撮影した。ツアー終了後、イギリスに戻ってメンバー四人およびグラントのプライベート・シーンおよび幻想シーンを撮影。さらに1974年、ステージ場面の補充をシェパートン・スタジオで撮影し、これらの素材をマソット、そしてマソットの解任後はピーター・クリフトンが編集して完成させた。
- 注…ごく初期にはテレビ出演もあり、その模様は「レッド・ツェッペリン DVD」で見ることができる。その中でフランス国営放送に出演した際の悲惨な経験が、ツェッペリンのテレビ拒否の原因になったかと思われる。
[編集] 概要
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
単なるコンサートの記録映画にはしない、というのがマソットとツェッペリン側との、当初から一致した考え方だった。そのため完成した映画は次のような少し複雑な構成となっている。
- オープニング(グラントの幻想シーン)。グラントとピーター・コール(レッド・ツェッペリンのツアー・マネージャ)とがギャングに扮し、敵対するギャングの一団を殺戮する(レッド・ツェッペリンの強引なまでの成功ぶりを自己パロディしたものと思われる)。
- タイトルロール
- プライベート・シーン。メンバーはそれぞれの家族とともに幸せな家庭生活を営んでいる(ただしペイジだけは個人生活の様子を公開しない)。そこへグラントからの招集が届き、メンバーは専用機(ボーイング720「スターシップ」号)に乗ってニューヨークへ乗り込む。
- マディソン・スクエア・ガーデンでのコンサート。曲に合わせてメンバー一人ひとりの幻想シーンが挿入される。またバックステージの模様、無許可のグッズ販売に激怒するグラントの姿、会場からつまみ出されるキッズ、チケット無しで潜り込もうとするキッズ、そして盗難事件(ニューヨークのホテルから、コンサートの売り上げ金約20万ドルが消失した)を報ずるニュースフィルムなどが挿入されている。
- エンディング。コンサートを終えたメンバーは、リラックスした表情になり、スターシップ号で故国に戻る。
[編集] コンサート・シーン
コンサートの模様は基本的に1973年7月27日〜29日、マディソン・スクエア・ガーデンで撮影された。映画の中での演奏曲目は
- ロックン・ロール
- ブラック・ドッグ
- 貴方を愛しつづけて
- ノー・クオーター
- 永遠の詩
- レイン・ソング
- 幻惑されて
- 天国への階段
- モビー・ディック
- ハートブレイカー
- 胸いっぱいの愛を
ただしこれは当日の演奏曲目を全て網羅したものではない。またコンサートの演奏曲とは別に
- 「オータム・レイク」(ペイジが最初に登場するシーンでハーディー・ガーディーで演奏している)
- 「ブロン・イ・アー」(彼らがマディソン・スクエア・ガーデンに向かうシーンで)
- 「天国への階段」(エンディング)
の3曲が用いられている。
[編集] 幻想シーン
「ロック・ミュージシャンのライフスタイル、内面まで描き出したい」というマソットの発案で、メンバーそれぞれの見せ場となる曲に合わせて、各自のアイデアによる幻想シーンが挿入されている。
- ジョン・ポール・ジョーンズのシーン(「ノー・クオーター」)。覆面をかぶり馬を走らせて村を脅かす怪人物の一団。彼らによる暴行が暗示された後、怪人物の首領は帰宅する。覆面をはずすとそれはジョーンズで、温かい笑顔を浮かべて家族と抱きあう。(ツアー中の狂乱ぶりと穏やかな家庭人との、二重人格的な自分を描いたのだと思われる)
- ロバート・プラントのシーン(「永遠の詩」「レイン・ソング」)。舟で海岸に上陸したプラントは、白馬の貴婦人から宝剣を受け取る。遍歴の末に城の塔に幽閉されていた貴婦人を救出するが、プラントが手を伸ばすと貴婦人は幻のように姿を消してしまう。(ケルト神話やトールキンを愛読していたプラントが、神話中の王子をナルシスティックに演じている)
- ジミー・ペイジのシーン(「幻惑されて」)。夜、ペイジが山の急斜面を登る。山頂にはタロットカードの隠者が立っている。たどり着いてみると隠者もペイジと同じ顔をしており、その顔がわずかの間に老人から子どもへ、また老人へと変貌する。(アルバム「レッド・ツェッペリン IV」のインナー・スリーブに描かれた場面の映像化)
- ジョン・ボーナムのシーン(「モビー・ディック」)。幻想シーンではなく、ボーナムのありのままの姿。農場の手入れ、ビリヤードに興ずる、田舎道をオートバイで暴走する、夫人と踊る姿、などなど。又、実息子のジェイソン・ボーナム(後にドラマーとなる)の幼少時代も描かれており、実に慣れた手付きでドラムを演奏している、なかなか今となってはレアな映像も流れる。
[編集] 公開
「レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ」は1976年10月21日、ニューヨークで先行公開され、翌日封切り。翌年までに興行収入900万ドルに達するヒットとなった。その後、全世界で名画座の定番の一つとなる。1984年にはビデオ化され、最近ではDVD化されて息長く売れつづけている。
[編集] 反響
興行面では問題ないヒット作となったが、批評の面では必ずしも好評とは言えず、むしろさまざまな悪評が寄せられている。なかでも幻想シーンが冗長で幼稚で見るに堪えない、というのが大方の一致した批判である。ツェッペリン側もこの映画に関しては(いつもの傲慢な姿勢とは打って変わって)控えめなコメントしか発していない。制作者であるグラント自身が語った「世界で一番金のかかったホーム・ムービー」という言葉が、結局もっとも良くこの映画の性格を表現しているといえよう。とはいえこの映画は、長いことツェッペリンのステージ姿を見せるほぼ唯一の公式映像であり、それだけでも一定の価値を有する映画だったのだと考えられる。
[編集] アルバム
永遠の詩(狂熱のライヴ) | ||
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レッド・ツェッペリン の アルバム | ||
リリース | 1976年10月22日 | |
録音 | 1973年7月27日〜29日 マディソン・スクエア・ガーデン, ニューヨーク |
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ジャンル | ロック | |
時間 | Disc 1 : 49 分06 秒 Disc 2 : 50 分39 秒 |
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レーベル | スワンソング・レコード Swan Song SSK89402 |
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プロデュース | ジミー・ペイジ | |
レビュー | ||
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レッド・ツェッペリン 年表 | ||
プレゼンス (1976年) |
永遠の詩 (狂熱のライヴ) 1976年 |
イン・スルー・ジ・アウト・ドア (1979年) |
『永遠の詩(狂熱のライヴ)』は、上述の映画「レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ」のサウンドトラック・アルバム。2枚組。1976年10月22日発売。プロデューサーはジミー・ペイジ。レコーディング・エンジニアはエディ・クレーマー。
[編集] 録音
1973年7月27日、28日、29日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで録音され、エレクトリック・レディ・スタジオ(ニューヨーク)およびトライデント・スタジオ(ロンドン)でミックス・ダウンされた。
[編集] ジャケット
黒を基調とした見開きジャケット。表側には廃屋となった映画館が描かれているが、これはレッド・ツェッペリンが1973年のツアーに備えてリハーサルを行なったオールド・ストリート・スタジオである。また主として映画のスチル写真を載せた8ページのブックレットが添付されている。
[編集] 収録曲
(LPレコードの表記をもととする)
Side A
- ロックン・ロール
- 祭典の日
- 永遠の詩
- レイン・ソング
Side B
- 幻惑されて
Side C
- ノー・クオーター
- 天国への階段
Side D
- モビー・ディック
- 胸いっぱいの愛を
一見して明らかな通り、「サウンドトラック」と銘打っていながら、演奏曲目、演奏順序などは映画と一致してない。また映画とアルバムとで別のテイクが使われている曲も多い。
一般にこのアルバム収録曲は「編集で継ぎはぎされている」「至るところオーバーダビングだらけ」だと信じられている。しかし3日間の各テイクを活用して緻密な編集が行なわれているのは事実だが、いわゆるオーバーダビングはほとんど行なわれていないことが熱心なファンの調査で明らかにされている。
[編集] チャート・アクション
「永遠の詩(狂熱のライヴ)」は1976年10月22日、全世界で発売された。アメリカのアルバム・チャートでは最高2位。イギリスでは首位を獲得している。
[編集] 評価
サウンドトラックでありながら音が映画と一致していない。ライヴ・アルバムと呼ぶには編集され過ぎていて臨場感に欠ける。結局「永遠の詩 (狂熱のライヴ)」はどっちつかずの作品になってしまった。その原因はこの映画もアルバムもレッド・ツェッペリンとしては珍しい妥協の産物だという点に求められよう。しかしともかくもこのアルバムは、長いことレッド・ツェッペリンのステージ・パフォーマンスを聴くことのできる唯一の公式音源だった。その意味でファンにとって貴重なものであったことは疑いない。
[編集] 外部リンク
- 「永遠の詩」徹底分析イギリスのファンによる、映画・アルバム双方の緻密な比較分析(和訳)
レッド・ツェッペリン |
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ジョン・ボーナム - ジョン・ポール・ジョーンズ - ジミー・ペイジ - ロバート・プラント |
オリジナルアルバム: レッド・ツェッペリン I - II - III - (IV) - 聖なる館 - フィジカル・グラフィティ - プレゼンス - 永遠の詩 (狂熱のライヴ) - イン・スルー・ジ・アウト・ドア - 最終楽章 (コーダ) |
その他のアルバム: ボックスセット - ボックスセット2 - リマスターズ - BBCライヴ - 伝説のライヴ |
映像: レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ - レッド・ツェッペリン DVD |
楽曲: 「限りなき戦い」-「天国への階段」-「カシミール」 |
関連事項: ピーター・グラント - スワンソング・レコード |