海のトリトン
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『海のトリトン』(うみのトリトン)は、手塚治虫の漫画。および同作を原作としたテレビアニメ。
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[編集] 概要
原作はサンケイ新聞に1969年9月1日から1971年12月31日まで連載されていた新聞漫画『青いトリトン』だが、タイトルはアニメ放送開始に伴い『海のトリトン』に改められた。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 漫画
当初、海棲人類トリトン族の赤ん坊「トリトン」を拾ってしまった漁村の少年「矢崎和也」を主人公とし、抗争に巻き込まれた第三者の冒険と根性のストーリーになるはずだったが、作者自身が純然たる冒険活劇とした方が作品として面白くなる事に気づき、物語中途で和也を失踪させ、主人公をトリトンに交代させた。アニメ版のストーリーに比して、トリトンが陸の人間として成長し、知識と武術を習得して海に出るまでを丹念に描き、水中でも息が出来るだけのようなトリトンが海の怪物にも等しいポセイドン族と伍して戦える理由を説明している。ポセイドン族との抗争の他、トリトン族と人間との好意的とは言いがたい接触がストーリーのもう一本の柱になっている。
[編集] アニメ
1972年(昭和47年)4月1日から同年9月30日まで朝日放送、TBS系で毎週土曜日19:00 - 19:30に全27話が放送された。アニメーション・スタッフルーム製作。もともとは虫プロダクションでアニメ化する予定でパイロット版まで制作された。しかし、虫プロの経営悪化による混乱の中、アニメ化の権利を『宇宙戦艦ヤマト』の西崎義展が取得。虫プロ商事のスタッフを中心に設立したアニメーション・スタッフルームで製作されることとなった。西崎のテレビアニメ初プロデュース作品であり、富野喜幸(現・富野由悠季)の初監督作品でもある。実際に制作の中心となったスタジオは主に東映動画のテレビアニメシリーズの下請けをこなしていた朝日フィルムであり、監督の富野は虫プロ系のスタッフが使えなかったと後に述べた。 アニメの内容は原作の手塚色がかなり薄められ、演出の富野色、いわゆる富野節が強い作品となっている。こうした製作の経緯があっため、手塚は秋田書店版の単行本のカバー袖のコメントで、テレビまんがのトリトンは自分のつくったものではないとの断りを入れている。これについて、富野は、NHKテレビ「トップランナー」に出演した際、手塚は原作を失敗作だと考えていたのではないかと推察し、ストーリーの改変についても、かなり自由に任せてくれたとも回想していた。
トリトン族と人間との関わりの物語を切り捨てた代わりに、スーパーウェポンであり物語の根幹に関わるオリジナル重要アイテム「オリハルコンの短剣」を登場させて、圧倒的な敵を相手に戦闘が成り立つことを説明している。
オープニングアニメーションの作画が放映開始に間に合わなかった最初の作品でもあり、かぐや姫と須藤リカがエンディング・テーマ『海のトリトン』を歌う映像を約1クールの間、オープニングと入れ替えて用いていた。主題歌である『GO! GO! トリトン』は、早い時期にミュージックエイト社による吹奏楽譜がリリースされたこともあり、多くの学校でブラスバンドの演奏曲目として使用されている。特に高校野球の応援によく演奏される曲目でもある。
[編集] アニメ史上の評価
アニメブームを経てからは、手塚作品というよりは、富野喜幸の初監督作品として受け取られ、守るべきものに追われる主人公、善悪を相対化するラストなど後の『無敵超人ザンボット3』に繋がるとしてしばしば比較される。
『宇宙戦艦ヤマト』以前に高年齢層に人気を博した、アニメブームの先駆者として『ルパン三世』と並んで重要とされる作品。また日本で初めてテレビアニメのファンクラブが作られた作品で、とりわけ女性ファンの人気が高かった。主演した子役出身の声優の塩屋翼は続けて『科学忍者隊ガッチャマン』に出演したこともあり、当時の人気声優となっている。後に『宇宙戦艦ヤマト』と『機動戦士ガンダム』がヒットしたことにより、本作も再評価が進められた。アニメブームが到来すると、西崎プロデューサーにより、劇場アニメ版『宇宙戦艦ヤマト』を監督した舛田利雄が監督したテレビ版を再編集した劇場版前編(74分)が1979年7月4日に公開。後編(65分)は未公開であった。前後編を合わせて収録した完全版が2002年3月にDVDで発売されている。
本編はDVD-BOXとして、2001年9月21日に発売されている。また、2002年10月25日には、それぞれの全5巻の単品DVDも発売されている。
[編集] アニメ版ストーリー
老漁師一平に岬で拾われた緑の髪の赤子は、トリトンと名づけられ育てられたが、ある日一頭の白いイルカ、ルカに出会う。ルカは、トリトンが人ではなく、海棲人類トリトン族の最後の生き残りである事、トリトン族は七つの海を支配し暴虐を尽くすポセイドン族と戦う運命にあることを告げる。イルカの言葉が判る事自体に狼狽し、それを信じようとしないトリトンであったが、一平がトリトンと一緒に拾ったトリトン族の衣装と宝物「オリハルコンの短剣」を発見し、ルカのいう事が真実であった事を知る。そのとき、トリトンを発見したポセイドン族の尖兵が漁村を襲い、トリトンは村を救うため、海への旅立ちを決意する。トリトン族の他の生き残りを探すため、父母の仇、村の仇であるポセイドン族を倒すため…
[編集] スタッフ
- 原作:手塚治虫
- プロデューサー:西崎義展
- 脚本:松岡清治、辻真先、宮田雪、松本力
- 演出:富野喜幸
- キャラクターデザイン・作画監督:羽根章悦
- 美術監督:伊藤主計、牧野光成
- 背景:勝又激、水谷昇、西芳邦、西原繁男、明石貞一
- 撮影:スタジオ珊瑚礁、菅谷正昭、高橋宏固、豊永安義、佐藤博司、金沢彰男
- 仕上:アド・リブ、西牧たみ子、高橋達雄 前田峯子
- 音響監督:浦上靖夫
- 音楽担当:松原武俊
- 音楽:鈴木宏昌
- 効果:森賢二
- 編集:スタジオ珊瑚礁、菅谷正昭、高橋宏固、森山寛夫
- 製作助手:片山秀男
- 文芸進行:鶴見和一
- 製作担当:鈴木紀男
- 製作担当プロデューサー:黒川慶二郎
- 製作協力:朝日フィルム
- 録音:アオイスタジオ
- 現像:東洋現像所
- 制作:朝日放送、アニメーションスタッフルーム
- 主題歌
[編集] キャスト
- トリトン:塩屋翼
- ピピ:広川あけみ
- ルカー:北浜晴子
- イル:大竹宏
- カル:肝付兼太
- フィン:杉山佳寿子
- 一平:八奈見乗児
- トリトンの父:野田圭一
- トリトンの母:沢田敏子
- メドン:外山高士
- プロテウス:滝口順平
- ポセイドン像:北川国彦
- ドリテア:沢田敏子
- ヘプタポーダ:中西妙子
- ボリペイモス:加藤精三
- ミノータス:柴田秀勝
- マイペス:加藤修
- レハール:富田耕生
- マーカス:矢田耕司
- ネレウス:八奈見乗児
- ゲルペス:兼本新吾:増岡弘
- ブルーダ:中曽根雅夫:山田俊司
- ゴルセノス:水鳥鉄夫
- クラゲ:杉山佳寿子
- ポセイドン:渡部猛
- ナレーター:北川国彦
[編集] 放送リスト
- 海が呼ぶ少年
- トリトンの秘密
- 輝くオリハルコン
- 北海の果てに
- さらば北の海
- 行け、南の島!
- 南十字星のもとに
- 消えた島の伝説
- ゆうれい船の謎
- めざめろ、ピピ!
- 対決・北太平洋
- イルカ島大爆発
- 巨獣バキューラの追撃
- 大西洋へ旅立つ
- 霧に泣く恐竜
- 怪人レハールの罠
- 消えたトリトンの遺跡
- 灼熱の巨人タロス
- 甦った白鯨
- 海グモの牢獄
- 太平洋の魔海
- 怪奇・アーモンの呪い
- 化石の森の闘い
- 突撃ゴンドワナ
- ゴルセノスの砂地獄
- ポセイドンの魔海
- 大西洋 陽はまた昇る
TBS系 土曜19:00枠 | ||
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