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高校野球

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阪神甲子園球場 1992年夏の高校野球期間中に撮影
阪神甲子園球場 1992年夏の高校野球期間中に撮影
アルプススタンドでの応援風景
アルプススタンドでの応援風景

高校野球(こうこうやきゅう)とは、日本における高等学校中等教育学校の後期課程の生徒高等専門学校の第1学年から第3学年の学生が行う野球大会のことをいう。主催者は日本高等学校野球連盟(高野連)と、選抜高等学校野球大会には毎日新聞社が、全国高等学校野球選手権大会には朝日新聞社がそれぞれ行っている。戦後の学制改革を経て継続しているため、旧学制による中等学校野球も一般的にはこれに含まれる。(同様に旧学制による高等学校野球とは異なる。)

目次

[編集] 概要

名前の通り、高校生が高等学校の硬式野球部で行う野球のこと。阪神甲子園球場で行われる二つの全国的な大会が日本で人気を博している。

一般に高校野球の全国大会を甲子園大会と呼び、次の二つの大会の一方もしくは両方をさす。

通常、新入学生(1年生)の選手は夏の大会のみしか出場できない(春の大会は新学期の2年生、3年生の選手のみ)ため、甲子園出場のチャンスは3年間で最大5回になる。

またこれとは別に毎年11月に明治神宮野球場で行われる明治神宮野球大会でも高校の部が開催されており、2002年度の大会以降の優勝チームの所属地区には翌年春の選抜大会の出場枠1チーム分が約束されることになった。

また硬式とは別に、軟球を用いる軟式野球全国高等学校軟式野球選手権大会は、夏の甲子園大会終了後の8月下旬に、兵庫県明石市高砂市の球場で行われている。また国民体育大会は、毎年秋の10月頃に硬式野球部、軟式野球部と共に行われている。但し秋の国体に関しては硬式、軟式ともに高校生の大会は公開種目扱い(=正式な天皇杯得点に加算しないエキシビジョン大会)となる。

[編集] 甲子園練習

春と夏の全国大会の開幕の前に、出場が決まった全代表チームの阪神甲子園球場での事前練習(通称:甲子園練習)が行われる。これは大会までに甲子園のグラウンドの雰囲気を事前に確かめるという目的があり、大会開幕の概ね1週間前から順次行われる。1チームの割り当ては概ね30~50分程度。なお、夏の大会に関してはプロ野球阪神タイガースの公式戦との日程調整の関係で午前中だけの開催となる場合がある。

[編集] エピソード

[編集] 外地学校からの参加

戦前は台湾朝鮮関東州(満州)といった外地学校が全国大会に参加していた(春は台湾のみの参加)。1921年の夏の第7回大会に釜山商(朝鮮)、大連商(関東州)が外地学校として初出場をした。外地学校が決勝に進出することもあったが、決勝戦で勝利をすることができず、外地学校の優勝校が出ないまま、戦後はこれらの外地学校からの参加がなくなった。

これまでの外地勢の戦績(決勝)
開催年 大会 学校 結果 相手校
1926年 夏・第12回 大連商(関東州) 準優勝 1-2 静岡中(静岡)
1931年 夏・第17回 嘉義農林(台湾) 準優勝 0-4 中京商(愛知)

[編集] 大学野球経験者の出場・19歳の出場

大会初期の頃、大学野球経験者が高校野球全国大会(当時は中学野球)に出場することがあった。 1918年、全国大会に出場した慶応普通部(東京)の山口昇は慶応大の選手として大学野球経験があった。山口は全国大会出場時は中学5年だったが、当時の大学野球の規約では系列校であれば大学生でなくても大学野球に出場できたため、このような現象が起こった。

また、1920年、全国大会に出場した豊国中(福岡)の小方二十世は出場時は19歳であり、法政大の選手として大学野球経験があった。当時の中学野球の規約では選手の年齢制限はなく、在籍生を学校長が代表選手と認めればどんな選手でも出場できたため、このような現象が起こった。1922年に選手年齢を18歳未満にする年齢制限などの規約改正を行い、大学野球経験者が出場することはなくなった。

しかし、規約改正以降も年齢制限を超えながら出場特例が認められ、甲子園に出場した選手が何人かいる。1956年の夏大会で甲子園に出場した米子東(鳥取)の長島康夫は外地からの引き揚げのため、大会出場時には19歳になっていたが、高野連は事情を考慮して、予選1ヶ月前に特例を設けて長島の出場を許可している。その後、中学卒業後に1年以上何らかの事情で高校に進学できなかった選手に関しては、満19歳以下でも出場資格が得られる規則になっている。1999年の春大会で甲子園に出場した明徳義塾(高知)の森岡エーデル次郎は、帰国子女のため大会出場時には19歳になっていたが、特例が認められ出場した。

[編集] 甲子園6回以上出場

現在、一人の選手が甲子園に出場できるのは最大5回までである。しかし、学制改革前は旧制中学が5年制のため、6回以上甲子園に出場することが可能であり、理論上は一人の選手が9回出場することが可能だった。なお、実際には一人の選手による最多出場回数は8回が最高であった。

[編集] 甲子園の土

1937年の夏の大会で熊本工(熊本)は順調に勝ち抜いたが、決勝戦で敗れて準優勝に終わった。決勝戦終了後に、熊本工の投手であった川上哲治は甲子園の土をユニフォームのポケットに入れた。それから数年後、1949年の夏の大会で小倉(福岡)が準々決勝で倉敷工(岡山)に負けた後、小倉の投手であった福島一雄が甲子園の土を拾って地元に持ち帰った。これが甲子園の土第一号とされている。 その以降、高校球児たちの憧れである甲子園球場への出場の記念として、戦いに敗れた高校球児が試合後に甲子園の土を拾って持ち帰るようになった。

1958年の夏の大会で、春夏を通じて初めて沖縄(当時はアメリカ統治下)から首里(沖縄)が出場。1回戦で敦賀(福井)に敗戦したが、試合終了後に拾った甲子園の土が検疫の関係で持ち帰ることができず、帰郷後処分された(外国の土・動植物を検疫を経ずに持ち込む事はどこの国でも法で禁じられているが、外国のものという理由での処分にも関わらず、那覇港の沿岸に捨てられている)。それを知った日本航空客室乗務員有志らが球場周辺にあった海岸の石を拾い首里に寄贈。同校庭に今も甲子園初出場を記念した「友愛の碑」というモニュメントとして飾られている。また、これがメディアで扱われ、沖縄返還運動を加速させる一端ともなった。なお、那覇港にてアメリカ人職員が高圧的に没収したわけではなく、沖縄人の係官が申し訳なさそうに「規則なので・・・」といった感じでの没収だったため、申し出ずに土を持ちかえった高校生もいたという。

[編集] 地方大会での甲子園球場の使用

兵庫県大会や近畿大会では阪神甲子園球場を使用することがある。つまり、全国大会に出場したことがないにも関わらず、甲子園の土を踏んだ高校球児が存在する。

甲子園球場が完成した1924年から地方大会に使用されており、兵庫県の球児は本大会より一足先に完成されたばかりの甲子園球場の感触を味わっていた。その後も兵庫県内の球場事情や立地が重なり、たびたび甲子園球場が使用されていた。平成になってからは地方大会で使用されることは少なくなったが、現在でも使用されることがある。

[編集] 勝利校の校歌演奏と校旗掲揚

試合で勝負を決した後、勝利校の校歌演奏と校旗掲揚が行われている。 これを発案したのは、毎日新聞大阪本社の記者であった人見絹枝である(余談だが、人見絹枝は開会式での「校名プラカードを先頭に入場行進」という形式も同時に発案している)。人見は1928年アムステルダムオリンピックの女子800mに出場し、日本女子陸上初となる銀メダルを獲得した。オリンピックでは金メダル選手の国の国歌が流れ、上位3位までの選手の国旗が掲揚される。人見はこの表彰式を元に発案し、1929年、春の第6回大会から始められた。勝利校の校歌斉唱と校旗掲揚が最初に行われたのは八尾中(大阪)であった。

夏の大会での勝利校の校歌演奏と校旗掲揚は春の大会より28年遅れて、1957年の第39回大会から始められた。

雨天コールドで勝利した場合、雨に濡れた選手や応援団の体調を考慮し、校歌演奏を省略することがある。例として、最近では1988年夏の滝川二(兵庫・対高田戦)や1993年夏の鹿児島商工(鹿児島・対堀越戦)がある。

なお、夏の大会では校歌演奏なのに対し、春の大会では校歌斉唱とアナウンスされる。

[編集] 春優勝校と夏優勝校の決戦試合

高校野球の全国大会は春と夏で年2回あるが(国体と明治神宮大会を除く)、両大会の優勝校同士による決戦試合が行われたことがある。

1927年、春優勝校は和歌山中(和歌山)で夏優勝校は高松商(香川)であったが、「真の日本一を決めよう」という声があがり、同年11月6日に大阪の寝屋川球場で両校による決戦試合が行われた。この試合は高松商が勝利した。

また、1956年の第11回秋季国体でも春優勝校の中京商(愛知)、夏優勝校の平安(京都)の直接対決があり、中京商が勝利した。この年の国体は兵庫県での開催だったので、甲子園球場で行われた。

[編集] 全国大会出場辞退

過去には、全国大会出場を決めた学校に不祥事が発生すると、その学校が出場辞退を強いられることがある。たとえ、不祥事を起こした者が野球部員でなくても、連帯責任として野球部の全国大会出場に影響を及ぼす。日本学生野球憲章の第20条に基づくものであくまで自主的に辞退するものとされているが、実質的には出場権の剥奪である。しかし、最近の高野連は野球部員以外の不祥事には、連帯責任を負わないとしている。

不祥事以外で出場辞退した学校も存在する。1922年夏の新潟商(新潟)の出場辞退は不祥事によるものではなく、主力選手の病気であった。

今までの全国大会出場辞退校(春は推薦辞退を含む)
開催年 大会 学校 辞退理由
1922年 夏・第8回 新潟商(新潟) 主力選手の病気
1935年 春・第12回 浪華商(大阪) 系列校にからむ刑事事件
1939年 夏・第25回 帝京商(東京) 選手の出場資格問題
1939年 夏・第25回 日大三(東京) 選手の出場資格問題
1952年 春・第24回 門司東(福岡) 野球部員の試験免除
1958年 春・第30回 浪華商(大阪) 同校生の恐喝事件
1965年 春・第37回 高知商(高知) 野球部員の暴力事件
1967年 春・第39回 津山商(岡山) 元部員の暴力事件
1971年 春・第43回 北海(北海道) 同校生の暴力事件
1971年 春・第43回 三田学園(兵庫) 同校生の暴力事件
1971年 春・第43回 市和歌山商(和歌山) 同校生の暴力事件
1971年 春・第43回 南部(和歌山) 同校生の暴力事件
1975年 春・第45回 門司工(福岡) 同校生の暴力未遂。辞退の正式発表は開会式当日の朝
1984年 春・第56回 池田(徳島) 野球部員の飲酒運転事故
1984年 春・第56回 函館大有斗(北海道) マネージャーのひき逃げ事故
1985年 春・第57回 明徳義塾(高知) 野球部長の売春斡旋事件
1987年 春・第59回 東海大浦安(千葉) 野球部員の暴力事件
1989年 春・第61回 岩倉(東京) 野球部指導者の暴力事件
1992年 春・第64回 上宮(大阪) 元監督の同校生への暴力事件
1992年 春・第64回 神戸弘陵(兵庫) 野球部員の喫煙
2000年 春・第72回 敦賀気比(福井) 野球部員の無免許・飲酒運転事故
2002年 春・第74回 仙台育英(宮城) 部内暴力などの発覚
2005年 夏・第87回 明徳義塾(高知) 野球部員の暴力事件と喫煙
2006年 春・第78回 駒大苫小牧(北海道) 野球部員の飲酒・喫煙※

※2006年春の駒大苫小牧の3年生部員による飲酒・喫煙事件は、卒業式後の事件だが、高野連の規定では「卒業日までは野球部員」と定められているため、「元野球部員」ではなくあくまでも「現役の野球部員」の不祥事である。

[編集] 白河の関・津軽海峡

福島県白河に作られていた関所に由来。春夏の大会で東北以北の地域から優勝校が出なかったため、高校野球の隠語として使用されていた。ただ、2001年春および2003年夏の大会の際は宮城県代表の決勝戦の対戦相手がいずれも茨城県の常総学院高であったため、白河の関ではなく、福島・茨城両県境付近にかつてあったとされる「勿来の関を越える」という表現が正しいのではないかとの議論があった。しかし、いずれにしても2004年夏の大会で駒大苫小牧(南北海道)が全国制覇を成し遂げ、それまでの最北だった作新学院高等学校(栃木)を大きく更新し、優勝旗は一足飛びに津軽海峡を越えてしまった(優勝旗が津軽海峡を越えたその旨を、ナインを乗せた機内でキャビンアテンダントが「深紅の大優勝旗も皆さまとともに津軽海峡を越え、まもなく北海道の空域へと入ります」と放送した時、乗客はこぞって歓声を上げた)。なお、駒大苫小牧の優勝後、白河市長が苫小牧市長宛てに「駒大苫小牧の優勝おめでとうございます。ただ、白河の関どころか津軽海峡まで飛び越えてしまったことで、白河の関の知名度が下がってしまうのが少し残念ですが・・・・」という趣旨の手紙を送っている。確かに今後「白河の関」という隠語は使われなくなるだろう。

なお、本来白河の関は古来、東北の豪族が関所をおいたところであり、朝廷の実質的権力が及ぶ限界を言い表したものでもある。そのため「白河の関」はそれより北方の蝦夷(東北の旧称でありかつ『蔑称』である)を差別する隠語でもあった。したがって日常的に使える言葉ではないと唱える人もいる(優勝決定後、朝日新聞にその旨を記した投書があった)。

また一部のスポーツ記者や高校野球ファンなどからは「白河の関とは、陸路で超えることに意味がある」という理由で、現在でも白河の関は残っていると主張している。現に駒大苫小牧が優勝して以降も、白河越えを強調する新聞が存在する。

2004年までの北海道・東北勢の戦績(決勝)
開催年 大会 学校 結果 相手校
1915年 夏・第1回 秋田中(秋田) 準優勝 1-2 京都二中(京都)
1963年 春・第35回 北海(北海道) 準優勝 0-10 下関商(山口)
1969年 夏・第51回 三沢(青森) 準優勝 2-4 松山商(愛媛)
1971年 夏・第53回 磐城(福島) 準優勝 0-1 桐蔭学園(神奈川)
1989年 夏・第71回 仙台育英(宮城) 準優勝 0-2 帝京(東東京)
2001年 春・第73回 仙台育英(宮城) 準優勝 6-7 常総学院(茨城)
2003年 夏・第85回 東北(宮城) 準優勝 2-4 常総学院(茨城)
2004年 夏・第86回 駒大苫小牧(南北海道) 優勝 13-10 済美(愛媛)

[編集] 北海道の高校野球

かつて、北海道の高校野球は「負け」の代名詞とさえ言われた。駒大苫小牧の優勝まで、夏の代表が南・北両地域に分かれた昭和34年以降の成績は、ベスト8進出は昭和36・37年・平成6年(いずれも北海・南北海道)と平成7年(旭川実業・北北海道)と僅か4回・2校のみであった。

北海道民の間でも、「勝つ」よりも「不様に負けない」ように応援するというスタイルがあった。原因としては、雪国のハンデ、関西までの移動による体力の消耗(かつては鉄道での移動であった)、関西の暑さにバテる、等もあるが、北海道人気質である「おおらか・おっとり」とくじ運の悪さ(初戦で優勝候補と対戦することも多かった)も多分に挙げられる。北海道勢との対戦を願う、対戦が決まってガッツポーズしたチームがあった、等は有名な話であるが、過去の北海道勢の成績を見れば不思議は無く、ましてや北海道の高校が優勝することなど、不可能の同義語と言われてきたのである。

この状況を一変させたのが駒大苫小牧である。平成16年夏に北海道・東北勢で初の優勝を果たし、翌平成17年夏にも優勝して57年ぶりの2連覇を達成、更に平成18年夏にも決勝に進出し、惜しくも準優勝であったが、73年ぶりの3連覇に迫った。2連覇+3年目準優勝は、現在の野球レベル、選手の分散や野球留学、参加校数等を勘案すれば、今後の達成はほぼ不可能と思われ、中京商業の3連覇(貶める意図は無いが、当時の参加校が現在の1/5程度であること、1県1代表制の時代ではないこと、旧学制時代の記録であることは勘案する必要があろう)と較べても何ら遜色無い大記録である。

南北海道は札幌・室蘭・小樽・南空知・函館、北北海道は旭川・北空知・名寄・網走・十勝・釧根の支部に分かれており、各支部代表2~4校を決定した後に南北海道大会と北北海道大会が開催される。平成18年の時点で、春夏通じて甲子園出場校を出していないのは名寄支部のみである。ただし網走支部は昭和47年夏の北見工以降、30年以上出場校が無く、小樽支部も平成3年夏の北照が初の出場校である。

南北海道は札幌支部に有力校が集中していたが、選手の流出や分散、進学校化の傾向が強まっているうえ、苫小牧市と近郊には駒大苫小牧・苫小牧工苫小牧東鵡川・北海道栄と強豪校が集中していることから、室蘭支部に勢力が移っている。北北海道は旭川支部が圧倒的勢力であり、南北両代表制になった昭和34年から平成18年まで旭川支部から22回(旭川市内から21回)出場し、平成元~18年では11回出場している(全て旭川市内からの出場)。平成19年からは参加校数のバランスを取るため、南空知支部と北空知支部を空知支部に統合して北北海道に区域変更され、強豪校の駒大岩見沢が北北海道に移るため、活性化が期待される。

なお、甲子園で北海道のチーム同士の対戦が今までに1度だけある。平成6年夏の2回戦、北海(南北海道)対砂川北(北北海道)の試合がそれで、北海10-1で勝利を収めた。この大会で、北海は北海道勢として夏は33年ぶりのベスト8進出を果たしている。

平成5年に稚内大谷、平成16年に雄武、平成17・18年に遠軽が北大会決勝に進出し、昭和45年春の網走南ヶ丘以来、最北の出場校を更新するかと期待されたが、いずれも敗退した。平成17年は日本最東端の根室、平成18年は最北端の野球部である稚内(最北端の高校である礼文は野球部が無い)が北大会に出場したが、いずれも初戦敗退した。


[編集] 箱根の関

関東の学校が全国制覇を成し遂げた場合の高校野球の隠語。初めて箱根を越したのは1916年の夏の大会の慶應普通部(東京)、その後1949年の夏の大会の湘南(神奈川)が達成した。

1916年夏に慶應普通部が優勝したにも関わらず、1949年夏の湘南の優勝において箱根越えが注目された理由として以下の要因があげられる。箱根が東西を分ける関所として人々に有名であること、慶応普通部の優勝から湘南の優勝まで33年間の開きがあること、湘南の優勝までの当時の高校野球(または中学野球)では西高東低(西日本の学校が強く、東日本の学校が弱い)の印象が強かったこと、1916年はまだ2回目の大会であり当時の中学野球は世間から余り注目されていなかったことなどである。

春の箱根越えは1957年早稲田実(東京)が達成。早稲田実の優勝以降は関東勢の優勝が珍しくなくなったためか、現在では殆ど意識されなくなっている。

1949年までの関東勢の戦績(決勝)
開催年 大会 学校 結果 相手校
1916年 夏・第2回 慶應普通部(東京) 優勝 6-2 市岡中(大阪)
1920年 夏・第6回 慶應普通部(東京) 準優勝 0-17 関西学院中(兵庫)
1924年 春・第1回 早稲田実(東京) 準優勝 0-2 高松商(香川)
1925年 夏・第11回 早稲田実(東京) 準優勝 3-5 高松商(香川)
1936年 春・第13回 桐生中(群馬) 準優勝 1-2 愛知商(愛知)
1949年 夏・第31回 湘南(神奈川) 優勝 5-3 岐阜(岐阜)

[編集] 関門海峡

九州の学校が全国制覇を成し遂げた場合の高校野球の隠語。1947年の夏の大会で小倉中(福岡)は優勝し、優勝旗は初めて関門海峡を越した。また、それまでの最西だった松山商(愛媛)を更新した。春の大会では1958年の済々黌(熊本)が達成。

1947年までの九州勢の戦績(決勝)
開催年 大会 学校 結果 相手校
1934年 夏・第20回 熊本工(熊本) 準優勝 0-2 呉港中(広島)
1937年 夏・第23回 熊本工(熊本) 準優勝 1-3 中京商(愛知)
1947年 春・第19回 小倉中(福岡) 準優勝 1-3 徳島商(徳島)
1947年 夏・第29回 小倉中(福岡) 優勝 6-3 岐阜商(岐阜)

[編集] 海を渡る

沖縄県の学校が全国制覇を成し遂げた場合の高校野球の隠語。沖縄は琉球王朝時代や米軍統治時代などの歴史から、本土に対する意識が強かった。そのため、沖縄水産(沖縄)が夏の大会で1990年と1991年に二年連続で決勝に進出しながら準優勝に終わった時、同校の監督が「優勝旗が沖縄の海を渡らなければ、 沖縄の戦後は終わらない」 と発言するほどだった(しかし、本人は否定している)。 そして、1999年の春の大会で沖縄尚学(沖縄)が沖縄勢として初優勝し、優勝旗は沖縄の海を渡った。また、それまでの最南だった鹿児島実(鹿児島)を大きく更新した(沖縄尚学が優勝を決めた瞬間、スタンドでは相手の水戸商(茨城)の応援団を交えてのウェーブが起きた)。

1999年までの沖縄勢の戦績(決勝)
開催年 大会 学校 結果 相手校
1990年 夏・第72回 沖縄水産(沖縄) 準優勝 0-1 天理(奈良)
1991年 夏・第73回 沖縄水産(沖縄) 準優勝 8-13 大阪桐蔭(大阪)
1999年 春・第71回 沖縄尚学(沖縄) 優勝 7-2 水戸商(茨城)

[編集] 東北の甲子園制覇

北海道は甲子園での優勝経験を持つが、白河の関から一気に津軽海峡を越えたため東北地方では甲子園優勝校は存在しない。また、優勝旗を甲子園から駒大苫小牧に持ち帰る実際の経路は陸上交通において白河の関を通過しなかったため、主に東北の人々から、白河の関はまだ越えていないとする意見が存在する。その意見に従うと、陸上交通で白河の関越しが欠かせない東北太平洋側の県や山形県内陸地方、秋田県県南地区に所在の高校の優勝はまだ存在せず、「白河の関を越す」ことはこれらの地域の高等学校の悲願として、実現まで隠語として継続使用する価値はあるとしている。

よくこの原因について、雪国のハンディと言われている。このため、秋場に行われる国体や明治神宮大会では、ハンディのある季節からの期間が長いせいか優勝校は存在する。

東北勢としては国体では1952年の盛岡商(岩手)が、明治神宮大会では1977年の東北(宮城)が東北勢として初優勝している。

また、高校野球大会では1969年夏に三沢高(青森)が準優勝まで登ったことがあった。

[編集] 新潟県・北陸の甲子園制覇

北信越5県では長野県が甲子園優勝経験を持つが、新潟県北陸地方では甲子園優勝校はまだ存在しない。準優勝は1978年春の福井商(福井)と1995年夏の星稜(石川)がある。北陸勢としては若狭(福井)が1952年の国体と1973年の明治神宮大会で初優勝をしている。その後も、北陸勢は国体や明治神宮大会で何度か優勝をしている。そのため、該当地域の甲子園制覇は時間の問題とする声もある。

加えて、北陸地方の場合は、富山・石川・福井の三県とも大学進学率が全国上位に位置しており、難関な大学に現役で進学する生徒の比率も高い。このため「天候に左右されやすい高校野球に打ち込むよりも、高校の3年間は思い切り勉強して大学に現役で入るほうが得だ」とする考え方が多いためでないか、という意見もある。

今までの北陸勢の戦績(決勝)
開催年 大会 学校 結果 相手校
1978年 春・第50回 福井商(福井) 準優勝 0-2 浜松商(静岡)
1995年 夏・第77回 星稜(石川) 準優勝 1-3 帝京(東東京)

[編集] 山梨県の甲子園制覇

関東勢で山梨県勢は唯一春夏ともに優勝したことがない。しかも山梨県勢は初戦敗退率が高く、また決勝進出も春夏通じて経験が無い。最近では2004年夏第86回選手権大会で、東海大甲府が準決勝で、優勝した駒大苫小牧(南北海道)に8-10で惜しくも敗れ、山梨県勢初の決勝進出を逃している。

[編集] 滋賀県の甲子園制覇

甲子園のお膝元である近畿地方に属するものの、滋賀県勢は近畿勢で唯一いまだに春夏とも優勝したことがない。2001年夏選手権で近江が、春夏通じて滋賀県勢初の決勝進出を果たしたが、決勝では日大三に敗れて準優勝となった。

今までの滋賀県勢の戦績(決勝)
開催年 大会 学校 結果 相手校
2001年 夏・第83回 近江(滋賀) 準優勝 2-5 日大三(西東京)

[編集] 山陰の甲子園制覇

山陰地方には色々な解釈があるがここでは山陰地方の項を参考にし、鳥取県島根県及び山口県北部と定める。

原因として雪国のハンディがよく指摘される。山陰地方は日本海側気候に属し湿った雪が多い。昨夏までの甲子園での通算成績は鳥取が54勝84敗、島根は34勝77敗、山口県北部は0勝2敗で大きく負け越している。 鳥取県・島根県については、草創期には何度か上位進出があるものの、人口が少ない(鳥取県の人口は日本最少)地域であるため、優秀な高校生の絶対数もその分少ない。このため、他地域のレベルアップも著しい近年では振るわなくなっている。


現在まで山陰地方から決勝進出を果たしたのは、1960年選抜で準優勝した米子東高校のみである。

今までの山陰勢の戦績(決勝)
開催年 大会 学校 結果 相手校
1960年 春・第32回 米子東(鳥取) 準優勝 1-2 高松商(香川)

[編集] 春夏連覇・夏春連覇

春の全国大会で優勝した年の夏の全国大会で優勝することを春夏連覇という。また、夏の全国大会で優勝した翌年の春の全国大会で優勝することを夏春連覇という。春夏連覇や夏春連覇をすると優勝校には二つの優勝旗が同時期に置かれることになる。過去に9例がある。

春夏連覇・夏春連覇
開催年 学校 春大会 夏大会 連覇
1930年 広島商(広島) 夏・16回 夏春連覇
1931年 春・8回
1937年 中京商(愛知) 夏・23回 夏春連覇
1938年 春・15回
1960年 法政二(神奈川) 夏・42回 夏春連覇
1961年 春・33回
1962年 作新学院(栃木) 春・34回 夏・44回 春夏連覇
1966年 中京商(愛知) 春・38回 夏・48回 春夏連覇
1979年 箕島(和歌山) 春・51回 夏・61回 春夏連覇
1982年 池田(徳島) 夏・64回 夏春連覇
1983年 春・55回
1987年 PL学園(大阪) 春・59回 夏・69回 春夏連覇
1998年 横浜(神奈川) 春・70回 夏・80回 春夏連覇

[編集] 雨に負けた春夏連覇

連覇を目指す高校が初戦敗退することは珍しくないが、試合中の降雨による再試合で初戦敗退した高校がある。 1965年の選抜を制した岡山東商は春夏連覇を懸けて、夏の甲子園に進出した。初戦の日大二に4-1と勝っていたが、5回表に降雨ノーゲームとなった。 当時、エースの平松は右肩痛に悩んでいたものの再試合にも登板した。すると日大二が平松を攻略し5-2で岡山東商を下した。

[編集] 孤塁を守る徳島県

近年は野球留学などで全国から有力選手を集める私立高校が多く、甲子園出場校における私立高校の割合は増え続けている。そんな中、徳島県だけは現在(2007年春)まで私立高校の甲子園出場がない。これは徳島県内に私立高校が4校しかない上に、野球部があるのが生光学園だけであるというのが最大の理由である。しかし近年は生光学園も力をつけており、悲願の甲子園初出場も時間の問題かもしれない。

[編集] 初出場・初優勝

初出場・初優勝
開催年 大会 学校 備考
1915年 夏・1回 京都二中(京都)
1916年 夏・2回 慶應普通部(東京)
1917年 夏・3回 愛知一中(愛知)
1919年 夏・5回 神戸一中(兵庫)
1923年 夏・9回 甲陽中(兵庫) ここまでセンバツ開始前
1924年 春・1回 高松商(香川)
1934年 春・9回 東邦商(愛知) 春夏通じて初出場
1936年 夏・22回 県岐阜商(岐阜)
1949年 夏・31回 湘南(神奈川) 春夏通じて初出場
1950年 春・22回 韮山(静岡) 春夏通じて初出場
1953年 春・25回 洲本(兵庫) 春夏通じて初出場
1954年 春・26回 飯田長姫(長野)
1955年 夏・37回 四日市(三重)
1961年 春・33回 法政二(神奈川)
1964年 春・36回 徳島海南(徳島) 春夏通じて初出場
1965年 夏・47回 三池工(福岡) 春夏通じて初出場
1967年 春・39回 津久見(大分)
1968年 春・40回 大宮工(埼玉) 春夏通じて初出場
1968年 夏・50回 興國(大阪)
1971年 夏・53回 桐蔭学園(神奈川) 春夏通じて初出場
1972年 春・44回 日大桜丘(東京) 春夏通じて初出場
1973年 春・45回 横浜(神奈川)
1976年 春・48回 崇徳(広島)
1976年 夏・58回 桜美林(東京)
1984年 春・56回 岩倉(東京) 春夏通じて初出場
1985年 春・57回 伊野商(高知) 春夏通じて初出場
1988年 春・60回 宇和島東(愛媛)
1991年 夏・73回 大阪桐蔭(大阪)
1995年 春・67回 観音寺中央(香川) 春夏通じて初出場
2004年 春・76回 済美(愛媛) 春夏通じて初出場・史上最短の創部2年目

[編集] 夏の甲子園専門

夏の大会から10年後に春の大会が始まった。当然、回を重ねるごとに春夏の甲子園出場の高校が増えてくる一方で夏の甲子園しか出場できない高校もある。岩手県福岡高校1927年夏に甲子園へ初出場を決め、1985年の夏まで10度甲子園に出場し8強入りも二度あるのだが、なぜか春の甲子園には一度も出場していない。昭和3年と4年には選抜されたが予算不足で辞退したのが惜しまれる。確かに原則1府県1校の夏と違って春は1地区2、3校と甲子園の出場枠が狭い。ちなみに夏の出場のみという高校は334校に上るが、2ケタ以上の出場経験があり春出場なしというのは福岡高校の1校しかない。(ただし戦前は満州・朝鮮・台湾からも出場があり、満州の大連商業が夏12回出場し準優勝もありながら、春の出場がないという例がある。現在同地域からの出場がありえないため、春出場が実現する可能性もない)

また春の出場のみという高校は153校あるが、甲子園の出場回数は最高でも4回(それまで春に7回出場し夏出場が無かった東京の国士舘が2005年夏に初出場)である(ただし、和歌山の海南(旧海南中、春14回・夏4回)や大阪の上宮(春8回・夏1回)のように春の出場回数のほうが極端に多い学校は大都市圏を中心に多数存在する)。以上のことから春の大会はまさに選抜である。

[編集] その問題点

[編集] 人気ゆえの問題点

単なる高校部活動の対抗戦に留まらず、圧倒的な人気で社会を巻き込んでいる高校野球であるが、その人気と関心度故に多くの矛盾を抱え込んでいることも事実である。

  1. 教育の一環としての課外活動が、全国レベルの社会的イベントになっているため、硬式野球部だけが他の部活動(軟式野球部等も含める)と比べて特別扱いされたり(予算、施設など)、私立高校の広告塔として利用されたりしている矛盾。半ば強制的に在学生を応援に動員している学校も見受けられる。
  2. 大会は商業新聞社(毎日、朝日)の主催であり、事実上新聞社や、新聞社の系列の放送局の宣伝にもなっている。また、前項のように、全国レベルの社会的イベントとしてNHKを含む各マスメディアが大きく取り上げることで、批判は表に出ず、「青春」の言葉の元に過度に美化されている面がある。近年の報道は殆んど全て煽動的手法を用いている。
    • スター選手に対してミーハー的態度をとることでファンを煽っている。
    • 本来問題とされる行動でも、マスコミが美化して報道することが殆どである。これにより暴力・喫煙などの不祥事を起こしても批判したり苦言を呈すことには及び腰である。
    • 続出する不祥事にジャーナリズムとして全く対応していない。批判がメディアで公になることは殆どない。「フロムA」が『誰の甲子園だ』として採り上げた程度である。
    • なお日本学生野球憲章では、日本オリンピック委員会 (JOC) の選手強化キャンペーン(「がんばれニッポン」)の協賛スポンサー企業を含めて、高校生や大学生の商業出演行為(コマーシャル、テレビのバラエティー番組出演など)は厳しく禁じている。 しかし、ここ最近は野球部以外の運動部に所属する高校・大学在学中の選手達が、多くのTV出演等をしているにも拘わらず、野球部所属の選手に対しては、未だに商業出演行為は一切認めていない。
  3. 選手への肉体的、精神的な負担が大きい。
    • 夏の大会では、本来、野球には不向きな真夏の7~8月にかけての日中・炎天下の屋外球場で、全国規模のトーナメント戦(地方予選~本大会)を行なうことによる選手への負担もかなり有る。
      • 愛知大会ではナゴヤドーム、大阪大会では京セラドーム大阪が使用されている。雨天順延による日程調整の回避や炎天下での試合が回避でき選手への負担が軽減されるが、ドーム球場の使用料が屋外球場の使用料に比べて非常に高額であるため、一部の人々からは「高校生には贅沢すぎる」といった批判が出ている。
    • 学校や地域の過剰な期待によるプレッシャーと、それを意識した熾烈な練習による選手の負担。
    • 社会の注目度が高い故に、一介の課外活動に対して多くの報道が為される故のトラブル。
    • 負けが一切許されないトーナメント戦であるが故に、エース投手が登板間隔や投球数を無視して連投し続けるなど、根拠のない精神論根性の名の下にスポーツ医学・スポーツ生理学の常識を無視し、体を酷使して痛めてしまい、野球選手としての将来の道が絶たれる事例も相次いで出ている。高野連は昔から投手を複数育成してローテーションを組み、選手に無茶な連投をさせないよう各方面に訴え続けているが、残念ながらほとんどの学校は勝利至上主義のために警告を無視し、エースのフル回転に頼り切っている状態である。この事から、高校野球の公式戦のルールそのものを変える必要があるのではないかと論議が沸き起こっている。
  4. 甲子園出場を目的とするため特定の学校(主に県外からの志願も受け入れる私立校。野球部員寮を保有している)への「野球留学」「スポーツ推薦」が増えた。本来の意味での“地元代表”なのか、と疑問視する声がある。
    • もっとも、多感な時期の3年間なので、生徒は地元にすっかり染まってしまうという意見もある。
    • 人口や学校が少ない県(高知県山陰両県など)は試合数が比較的少なく、甲子園に出やすい(競争率が低い)。逆に神奈川県大阪府のように、人口や学校が多いにも関わらず1校しか枠のない県は出場が難しくなる(競争率が高い)。このため、「人口が多い神奈川県大阪府愛知県千葉県埼玉県兵庫県福岡県は出場枠を2校にすべき」の声は多い。実際、第80回記念大会は福岡県を除く6府県が2校に分けて出場を果たしたが、それ以外の大会は通常通り1校のみ出場となっており、相変わらずの競争率の激しい区域となっている。
    • 強豪校は、本業である学業より野球を優先する風潮があるため、「野球のため強豪校に進学」というパターンも増えた。
    • 特待生制度、上述のスポーツ推薦などで中学生を買い漁る学校野球部のスカウトも多い。2007年4月専修大学北上高等学校で、日本学生野球憲章で禁じられている「スポーツ特待による奨学金支給(授業料免除)」が発覚した。高野連、専大北上を「除名相当」と判断 裏金問題で アサヒコム
    • 特定の学校への集中は部活動の領域を越えたセミプロ化としての存在になることが大きい。全ての学校が同一条件にならないことは教育の一環という前提を越えてしまう。生徒集めに条件のある公立高校との格差は大きくなる一方である。
    • 宗教法人系が経営する学校は、信者として全国から生徒を集められ、かつ強力になればテレビや新聞の報道が、バックの宗教団体の宣伝にもなる。
    • もっとも、進学する高校の選択の自由は憲法上保障された権利であり、これを制限することは違憲のおそれがある。また、野球以外の様々な事情、例えば他のスポーツ競技、芸術、勉学そのものなどを理由とした越境留学は日常化しており、高校野球においてのみ問題にするのは矛盾であり感情論にすぎない、とする意見もある。
    • 高野連によれば、第88回大会登録選手の総数76,374人の内、都道府県外中学出身者は3,096人。この内、隣接都道府県以外の都道府県外中学出身者は1,260人と発表している。
      • 流出元は
        1. 大阪府409人
        2. 兵庫県128人
        3. 神奈川県91人
      • 一方、隣接都道府県以外出身の選手流入先は
        1. 愛媛県73人
        2. 東京都65人
        3. 山形県56人
      • ※この他、高知県宮崎県なども隣接都道府県外出身の選手流入が多い。これは強豪校に入学して補欠で終わるより発展途上校でレギュラーとなる事を目指す生徒が多い為。
  5. 夏の本大会では真夏の昼間に行なうことで、テレビ冷房に使う電力が増えるため、省エネ運動に逆行していること。
    • 試合内容や気候などによっては、電力会社の電力供給能力の限界に迫る場合もある。
  6. 「地域代表」的な立場やプロ野球への登竜門としての要素があるために(実際にプロ野球球団のスカウトがバックネット裏の観覧席に陣取って、ドラフト上位候補と目される主要選手のチェックを行っている)、教育とは無関係な第三者の利権や介入が生じる。
  7. 暴力行為」や「過剰な指導」、「指導者・先輩への絶対服従」など体育会系クラブにありがちなトラブルと、それに対する「連帯責任」的な処分。
  8. 現状における高校生の実態とかけ離れた世間のイメージに基づいた、高校野球連盟の過剰な指導。
  9. 長期の遠征になることで選手や応援に借り出される生徒の費用が多額になり、大規模な寄付金集めがおこることや生徒の家庭の生活に影響が出ていること。また、無関係な生徒や近所住民に対し、応援を強制すること。
    • 県予選の段階から、全校生徒または各学年単位で生徒を動員しての野球応援を強制される。また、野球部関連は勿論、関係の無い親やOB、近隣住民にまで、遠征費等の必要経費の寄付を求められることもある(当然、勝ち進めるほど負担が重くなる)。そもそも、野球部員である生徒個人の活動であるのに、生徒以外の者が強制的に動員されたり、経費を負担させられるのは明らかに不合理である。また、応援の動員を拒否した場合、夏休みであるにも関わらず時間外補習等の罰則を科す学校さえある。試合をテレビで視聴できる昨今、観客席に応援団チアリーディング部とベンチ入りメンバーの親族以外の応援があれば、それは強制的に動員されているとも考えられる。もっとも、上記のような寄付や応援のシステムは、高校サッカーや高校バレーなどの大会でもしばしば見られる状況であり、必ずしも高校野球に限った問題というわけでない。
  10. 女子には未だに門戸を開かない。
    • バレーボール陸上駅伝などと異なり、同一組織による女子大会は開かれていない。女子大会は女子のみの野球部がある学校により構成されている別組織の全国高等学校女子硬式野球連盟によって開催されている。開催地も甲子園球場ではない。マスコミもほとんど報道せず(TBS系「JNN報道特集」が神村学園高校女子野球部を取材した他、大会を一時後援していたことがある読売新聞がベタ記事で扱った程度。現在は神戸新聞京都新聞などが後援)、存在自体が全く知られていない。
    • 女子部員のいる学校も僅かに存在するが、大学野球のように選手として出場できない。応援団やマネージャー(事実上雑用係)としてしか参加できないので、女子生徒は否応なく裏方の強制である。かつては女子はマネージャーとしてもベンチ入りが出来なかった。
  11. 不合理・理不尽な習慣の押し付け・踏襲が昔ほどではないが存在しており、特に髪型に関して刑務所ですら坊主刈り・五分刈り・スポーツ刈りの3種類から選べるのに、坊主刈りを強要している学校がまだ多い。髪型が自由な学校に至ってはごく少数である。
    • 他の高校スポーツにおいても、野球ほどではないが、坊主刈りの強要は存在する。また、他競技と違い、ユニフォームの一つとして帽子の着用が義務づけられる野球においては、その方が競技上有利であるという合理的理由も一応存在する。しかし、仮に合理的理由があるとしても、全員に強制する理由にはならない。全員を特定の髪型にしなければならないということは強要として問題である。
    • 生徒には学校選択の自由があるのだから、髪型が自由な野球部を持つ高校を選んで入学すれば良いのであり、強要は本質的な問題でないとする意見もある。もっとも、在学中に監督が変わり、髪型を強要する事態が出来する可能性はあり、転校をすると野球部での活動を著しく制限する規則が存在するため、やはり問題はある。
    • 坊主刈りにしなくても髪を染めても出場ができる規則はあるようだが、2004年11月に高野連は、近年流行しているヘアカラーの使用や眉毛の剃りこみを禁止するように、と通達を呼びかけた例が有る。
    • 最近では強制的だった昔とは変わり、選手達自身が自主的に坊主刈りにしている、という報道があった。しかし“自主的に”とは実際は名ばかりで、実は他の先輩達や部員達からの“慣習である”と言う強要によって仕方なく坊主に、といったケースも多い。「何故高校球児は坊主で無ければならないのか」というテーマは、今後も論議の的となりそうである。
  12. “超高校級”などと騒がれる選手さえ出る割りに、登録アマチュアとプロが対戦する天皇杯大会のような真の全国選手権が行なわれた事はない。
  13. 開催時期の関係で高校生の国際大会「AAA世界野球選手権大会」に日本代表が派遣できないことが多い。
  14. 選抜高校野球大会の「21世紀枠」への推薦条件が野球に対する功績などでなく、「『朝の読書』推進校」「積雪期における苦難の練習」など本来スポーツ的な要素と関係ない理由である例があることに対する不満。不透明、人気取りと非難されている。
上記の矛盾については批判の声もあり、大会運営を高校生の手に委ねることや、全国規模の大会を廃し地方ブロック大会止まりにすること、夏の大会では甲子園だけではなく、複数球場での分散開催、また比較的涼しい北日本の球場またはドーム球場での開催などを提案する声もある。また、学校対抗では無理があるとしてクラブチーム化、あるいは強豪校と公立校を別枠にする意見もある。指名打者制を導入したりワールド・ベースボール・クラシックに倣って投球数制限を行なうべき、あるいは負けが一切認められない今のトーナメントでなく、1次リーグを設け、リーグで勝利した学校が決勝に出るシステムなども提案されている。これらを行なえば選手になれるチャンスが増えるため試合出場の機会も増え、野球人口の拡大につながるという意見がある。しかし、すでに大会が「高等学校の課外活動」の域を超えた「国民的行事」(スポーツ紙・一般紙を問わず、開催期間中(特に甲子園での春・夏の本大会)は大きく報じられるレベル)になっており、野球部と高校野球を経営戦略に組み込んでいる私立高校も多数存在するため、教育的な立場からの改革は難しいのが現状である。

高校野球の諸問題をジャーナリズム的視点から改革することをマスコミは一切行わないことも現状である。各問題が殆ど報道されない、マスコミで議論されないことは社会問題ともいえる。

費用の問題については、主催者である高野連と新聞社以外に第三の後援スポンサーを募集して賄うことも考えられるが、検討された形跡はない(知名度などから、後援スポンサーの獲得はさほど困難ではないと考えられる)。

暴力行為等の不祥事については、野球のみに限らず学生スポーツにおける運動部(体育会系)そのものに付きまとう課題になっているのが現状である。当事者内にも肯定あるいは必要悪とする意見があり、それが解決を一層困難なものにしている。また、学生野球界内での深刻ないじめ問題についての言及はほとんど無くクリーンなイメージだけを先行させている。実際に野球をやるのは人間であり一生徒である。失敗した選手は場合によっては手ひどいいじめによって退部させられる事や、気が弱い部員がいじめられ、自殺に至るケースも有ると考える事が普通である。学生野球界でも深刻いじめ問題…処分件数過去最多260件:アマ野球:野球:スポーツ報知

また、実情としては高校野球がメディアで大きく取り上げられる一方、他の高校スポーツは知名度が低く(もっとも、高校サッカー、高校バレーボール、高校ラグビーは高校野球ほどではないが、メディアで比較的よく取り上げられる)、学校総出で応援といったことも野球ほど多くはない(無論、他のスポーツでも地域で応援や激励などがされてはいる)。これはほぼ同時期に行われる全国高等学校総合体育大会(インターハイ)の扱われ方が小さいことからも伺える。これについてはかつて月刊陸上競技の編集後記において「高校野球や高校サッカー(年末の全国高校サッカー選手権大会)ばかりがメディアに取り上げられ、高校スポーツの祭典が軽んじられている現況に、全国の高校スポーツ関係者はやるせない怒りを感じている」という内容の批判として取り上げられている。

その一方で、高校生としての勉強や、部活動以外の学校活動もおろそかにしないよう指導し、生活指導面にも力を入れつつ好成績を残している指導者も多いことを付記しておきたい。

[編集] 野球人気そのものに関連する問題点

日本では戦後長い間、プロ野球を頂点とする野球に対する人気度が高かったが、1993年の日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)発足によるサッカー人気の高まりや、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、又かつてスター選手の不在等により、観客がスタンドを埋め尽くす日は以前に比べ少なくなってしまったとも言われる。スター選手の不在については、運動能力などの肉体的に優れた資質を有する生徒が、野球ではなくサッカー等別の部活動を志向するようになったことも大きいと考えられる。

しかし逆にスター選手が現れると、各マスコミ陣営が揃ってその特定の選手だけを延々取り上げ、一般の高校生を有名人・芸能人扱いするかの如く、その加熱化する報道も問題視されている。

高校野球を本来の教育活動の一環としてみた場合、「人気」が必ずしも不可欠ではないという見方もあり、スポーツを志す青少年の選択肢を増やすという意味では他競技との共存共栄は歓迎すべきという意見もある。突出した人気の国民的行事から多種多様なスポーツ大会の一つという立場への転換は、高校野球の本来あるべき姿を考える上で一つの契機と言える。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

高校野球
選抜高等学校野球大会 全国高等学校野球選手権大会 選手権大会地方予選

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