渡邊守章
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渡邊 守章(わたなべ もりあき、1933年3月20日 - )は、日本のフランス文学者、演劇研究者、演出家。東京大学、放送大学名誉教授。
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[編集] 略歴
東京都出身。東京大学文学部教養学科フランス分科卒業、同大学院仏文科修了、文学博士。東大教養学部教授として、表象文化論研究室を創設し初代主任。退官後は放送大学教授、副学長。フランス芸術文化勲章、国家功労賞オフィシエ受章。2006年、クローデル『繻子の靴』の翻訳で、日本翻訳文化賞、毎日出版文化賞受賞。
クローデル、ラシーヌなどのフランス演劇専攻だが、能楽など日本演劇にも造詣が深く、1970年、観世寿夫らと冥の会を結成して演劇の実践も行い、1979年より演劇集団 円の演出家として活躍、ラシーヌの『フェードル』を能様式で演出、フランスでも上演した。ほかに『能ジャンクション・葵上』のような実験的な能や、クローデル、コクトーのほか、多くの近代演劇の上演を行い、1996年から演劇製作「空中庭園」に拠って演出活動を行う。野村萬斎が武司といった時代にいち早く起用し、渡辺謙も守章演出で初舞台を踏んでいる。
またミシェル・フーコーは友人であり、日本への紹介にも尽くした。
[編集] 主な演出作品
- 1972年 冥の会『アガメムノーン』(作=アイスキュロス)
- 1975年 冥の会『メーデーア』(作=セネカ)
- 1980年 演劇集団 円『悲劇ブリタニキュス』(作=ラシーヌ/出演=藤田宗久、橋爪功、後藤加代)
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- 演劇企画「会」『女中たち』(作=ジャン・ジュネ)
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- 1981年 演劇集団 円『バジャゼ 後宮悲劇』(作=ラシーヌ/出演=渡辺謙、後藤加代)
- 1983年 演劇集団 円『アンドロマック』(作=ラシーヌ/出演=後藤加代)
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- 演劇企画「会」『バルコン』(作=ジュネ/出演=仲谷昇、後藤加代)
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- 1984年 演劇集団 円『女王ベレニス』(作=ラシーヌ/出演=後藤加代)
- 1986年 演劇集団 円『悲劇フェードル』(作=ラシーヌ/出演=後藤加代、松本留美、井上倫宏)
- 1987年 パルコ・能ジャンクション『葵上』(出演=後藤加代、野村武司)
- 1988年 パルコ・能ジャンクション『當麻』(出演=野村武司)
- 1989年 演劇集団 円・シアターサンモール『天守物語』(作=泉鏡花/出演=後藤加代)
- 1990年 東京グローブ座『ハムレット』(作=シェイクスピア/出演=野村武司、後藤加代)
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- 銀座セゾン劇場『かもめ』(作=チェーホフ)
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- 1992年 演劇集団 円 円『愛の勝利』(作=マリヴォー/出演=平栗あつみ)
- 1993年 銀座セゾン劇場『ロレンザッチョ』(作=ミュッセ/出演=堤真一、佐藤オリエ)
- 1994年 シアターΧ『アガタ』(作=マルグリット・デュラス/出演=范文雀)
- 1995年 武生市『源氏物語』(構成=渡邊守章/作曲=松平頼則)
- 1997年 空中庭園・六行会ホール『声』(作=コクトー/出演=剣幸)
- 1998年 空中庭園『天守物語』(作=泉鏡花/出演=後藤加代、平栗あつみ)
- 1999年 空中庭園・青山円形劇場『悲劇フェードル』(作=ラシーヌ/出演=後藤加代、平栗あつみ
- 2001年 演劇集団 円『シラノ・ド・ベルジュラック』(作=エドモン・ロスタン/出演=橋爪功、仲谷昇)
- 2004年 空中庭園・世田谷パブリックシアター『内壕十二景』(作=渡邊守章/出演=観世栄夫、野村萬斎)
[編集] 著作
[編集] 単著
- 『ポール・クローデル』(博士論文)中央公論社, 1975
- 『空間の神話学 対談集』朝日出版社, 1978 (エピステーメー選書)
- 『仮面と身体 対談集』朝日出版社, 1978 (エピステーメー選書)
- 『虚構の身体』中央公論社, 1978
- 『時間の部屋 対談集』朝日出版社, 1980
- 『芝居鉛筆書き』冬樹社, 1983
- 『劇場の思考』岩波書店, 1984
- 『パリ感覚』岩波書店, 1985 (旅とトポスの精神史)
- 『劇場の余白に』青土社, 1985
- 『演劇的欲望について』筑摩書房, 1987
- 『フーコーの声』哲学書房, 1987
- 『踊ること・劇』新書館, 1987
- 『「フェードル」の軌跡』新書館, 1988
- 『演劇とは何か』講談社学術文庫(オリジナル) 1990
- 『舞台芸術論』放送大学教材, 1996
- 『舞台芸術の現在』放送大学教材, 2000
[編集] 共著、編著
- 『哲学の舞台』(フーコー)朝日出版社, 1978 (エピステーメー叢書)
- 編『幽玄-観世寿夫の世界』リブロポート, 1980
- 『フランス』(山口昌男、蓮実重彦)岩波書店, 1983
- 『演戯する都市』(如月小春)平凡社, 1986
- 編『ミシェル・フーコーの世紀』(蓮実重彦)筑摩書房, 1993
- 『演劇を読む』(渡辺保,浅田彰)放送大学教材, 1997
- 編著『フランスの文学』(塩川徹也)放送大学教材, 1998
- 監修『ミシェル・フーコー思考集成』1-4(蓮実重彦)筑摩書房, 1998-99
[編集] 翻訳
- 「黄金の頭」クローデル、今日のフランス演劇、白水社、1967
- 「カリギュラ」カミュ、新潮世界文学、1969
- 「女中たち」ジュネ、筑摩世界文学大系、1974
- 「真昼に分かつ」他、クローデル、筑摩世界文学大系、1976
- 『仮面の道』レヴィ=ストロース 新潮社, 1977
- 『ラシーヌ戯曲全集 2』白水社, 1979
- 『闇を熔かして訪れる影 オランダ絵画序説』クローデル 朝日出版社, 1980
- 『マラルメ論』サルトル 中央公論社, 1983 (のちちくま学芸文庫)
- 『ベジャールによるベジャール』コレット・マソン編 新書館, 1984
- 『カミーユ・クローデル』アンヌ・デルベ 文芸春秋, 1989
- 『マラルメ全集II-V』(共訳)ステファヌ・マラルメ 筑摩書房, 1989-(Iは未刊)
- 『フェードル・アンドロマック』ラシーヌ 岩波文庫, 1993
- 『舞踊評論』テオフィル・ゴーチェ他 新書館, 1994
- 『女中たち・バルコン』ジュネ 白水社, 1995
- 『繻子の靴』上下、クローデル、岩波文庫、2005
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