白神山地
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白神山地 |
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白神山地核心地域 | |
(英名) | Shirakami-Sanchi |
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(仏名) | Shirakami-Sanchi |
面積 | 169.71km² |
登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | 自然遺産(9) |
登録年 | 1993年12月11日 |
拡張年 | |
IUCN分類 | |
備考 | |
公式サイト | ユネスコ本部(英語) |
地図 | |
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白神山地(しらかみさんち)は、青森県の南西部から秋田県北西部にかけて広がる山地で、人の手が加えられていないブナの原生林からなる地域である。昭和29年発行国土地理院地勢図には白神山地の名称が使われているが、世界遺産登録以前には弘西山地(こうせいさんち)とも呼ばれていた。
目次 |
[編集] 概要
全体の面積は13万haでそのうち約1万7千ha(169.7km²)がユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されている。青森県側の面積はそのうち74%の126.3km²を占め、残る43.4km²は秋田県北西部にあたる。なお、白神山地は法隆寺地域の仏教建造物、姫路城、屋久島とともに、1993年、日本で最初に世界遺産に登録された。
白神山地は、世界遺産登録地域の外側にも広大な山林をもち、通常は、登録地域外をも含んで呼ばれる事が多い。その中でも特に林道などの整備が全く行われなかった中心地域が世界遺産に登録されている。
世界遺産地域は、中央部の核心地域と、周辺の緩衝地域に分かれ、これらの地域は世界遺産登録時より開発を行わず、現状のまま保護される事になっている。従って、これらの地域には遺産登録以前からあった登山道以外には道はなく、今後も恒久的に整備されない予定である。特に核心地域には道らしい道はない。又、青森県側の核心地域に入るには、事前、あるいは当日までに森林管理署長に報告をする必要がある。秋田県側の核心地区は原則的に入山禁止である。核心地区は林道すらないので、そこを踏破するには極めて高度な技術を必要とする。世界遺産に登録されてから、核心地区での遭難事故もあり死亡者も出ている。
世界遺産登録地域は、登録前後に禁猟区に指定されている。漁を行うには漁業協同組合と森林管理所長の許可が必要である。なお、漁業組合はここを通年禁漁としている。
[編集] 見どころ
[編集] ブナの原生林
ブナ(漢字は「橅(木に無)」)の木は従来、椎茸栽培以外にはあまり役に立たない木であったために伐採を免れたと言えるであろう。ブナは沢山の小さな実を付けるために、果樹と同様に寿命が短く、寿命は200年ほどであると言われている。自然に放置して倒れたブナは他の樹木や生物の生存に欠かせない栄養分を供給する。白神山地のブナの原生林は樹齢の若いもの、大木、老木、倒壊し朽ちたものまであらゆる世代が見られる。もちろんブナだけでなく、カツラ、ハリギリ、アサダなどの大木も見られる。
白神山地は、名勝地のような美しい高山植物や雄大な景色を眺められる場所はあまり多くはない。市街地のそばにあるようなブナ林が巨大化したものと考えた方がいい。世界遺産の登録は、観光地であるからではなく、このような広大な原生林が世界的に珍しいためである。
[編集] 暗門の滝
暗門の滝(第一の滝)、暗門の滝(第二の滝)、暗門の滝(第三の滝)、の3つの滝は、駐車場、バス停から片道1時間(第三の滝のみならば片道30分)で行け、又、世界遺産緩衝地域内にあるため、観光地として人気がある。滝までの山道の脇には、上記のようなブナの原生林があり、観察のための道も整備されている。ただし、滝の直前で川べりを歩くなど、通行には危険を伴う。又、増水時にはすぐに通行止めになるため、あらかじめ確認が必要である。
[編集] 岳岱自然観察教育林
樹齢400年とも言われる巨大なブナをシンボルとした保護林。大小の苔むした巨岩とブナ林との対比が面白い。遊歩道やトイレなども整備されている。広い駐車場もあり整備が進んでいるが、最近ブナの傷みが指摘されている。又、この岳岱自然観察教育林の近くには田苗代湿原があり、ニッコウキスゲなどの高山植物が咲く。以前は「風景林」であったが、平成4年に自然観察教育林として指定された。
[編集] 二ツ森
世界遺産緩衝地域内にある山。国道101号線から真瀬林道、青秋林道を通った終点にある二ツ森登山道入口(標高約920m、駐車場、公衆トイレあり)から約5分で世界遺産地域に入れるため、観光地として人気がある。登山道を約1時間弱歩くと標高1,086mの二ツ森山頂に着く。頂上からは、世界自然遺産地域が一望できる。
[編集] 津軽峠
ここにも、樹齢四百年ともいわれる巨木「マザーツリー」がある。津軽峠の駐車場から案内板通りに進みおよそ5分でこの巨木を見る事が出来る。津軽峠から高倉森を通る登山道も優れている。この津軽峠までは弘前市からのバスが通っている。
[編集] 津軽国定公園十二湖
津軽国定公園を参照。
[編集] 白神岳
JR白神岳登山口駅から山頂まで徒歩約5時間30分。登山口のバス停及び駐車場から約4時間30分。山頂では、白神山地核心地域の雄大な景色を見る事が出来る。山頂にはトイレと避難小屋があるが、世界遺産登録以降、登山客が増え、マナーの低下が指摘されている。
白神山地世界遺産登録地域には、この他に無許可で登山が可能で核心地域付近に入る事が可能な山は天狗岳、高倉森、櫛石山、小岳などがある。
[編集] ミニ白神
JR鰺ヶ沢駅から車で30分。駐車場有り(30台)。藩政時代から田の水源を確保するための「田山」として300年以上地元の人の手により守られてきた。 およそ52haのエリアは人の手がほとんど加えられておらず、樹齢200年を超えるブナも見受けられ、白神山地核心部同様の森林景観を保っている。 全長2.8kmの遊歩道があり、外回り2.2km、内回り1.1kmのコースが選べる。コース上にはクマゲラの開けた穴や熊の爪痕のあるブナがあり、外回り最奥にはブナが水を吸い上げる音を聞く事が出来るように聴診器が置かれている。
[編集] 悠久の森 白神フェスティバル
白神山地のふもと、秋田県山本郡八森町で、2001年より行われている野外コンサート。雄大な自然を讃える詩を、毎年全国から一般公募している。NHKのみんなのうたでKOKIAが歌う『悠久の杜』という曲は、第一回白神フェスティバルでの大賞作品に曲をつけた『悠久の森~My Home Town』である。
[編集] 白神山地に生きる動物たち
- 鳥類
- キツツキの種類の中でも一番大きく、絶滅が心配されている天然記念物のクマゲラが穴をあけ巣造りをする。カラスのように大きなクマゲラが選ぶ木は朽ち始めたような木ではなく、元気な太い木である。又、外敵から守られるように蔦のからまった木は選ばない。その他、イヌワシ、クマタカ、シノリガモの生息が確認されている。
[編集] 歴史
地質調査の結果、約8000年前には既にブナ林が形成されていた事が分かっており、約10000年前に最終氷河期が終わるとすぐにブナ林が形成されたと考えられる。その後、全く耕作されずに山地のままであった。これはブナに使い道がなかった事が大きく作用している。
歴史上、白神山地が初めて記述に現れるのは、1783年から1829年にかけて書かれた菅江真澄の日記『菅江真澄遊覧記』である。菅江は津軽藩(現在の青森県の西半分)の藩医の元で5年間、薬草指南を務めた。この前後から「白上」、「白髪が岳」との表記で白神山地への記述が現れる。津軽藩を去った後は佐竹藩(現在の秋田県の大部分)に召抱えられ、こちら側からも白神山地入りした。佐竹によれば、この時代、ここで伐採したブナを川に流し、出荷していた木こりがいた事が分かっている。
この時代には既にマタギがここで猟を行っていたと考えられるが、いつ頃からいたのかについてははっきりしない。
1970年代になると、ブナは楽器の材料などとして活用されるようになり、白神山地も伐採計画が持ち上がった。1978年、白神山地の中央を通る青秋林道の建設が明らかになり、1982年、まず、秋田県側から工事が開始された。一方で翌年の1983年には早くも秋田県側で自然保護団体を中心に「白神山地のブナ原生林を守る会」が結成され、1985年には秋田市で日本自然保護協会主催の「ブナ・シンポジウム」が開催されるなど反対運動が活発化した。特に工事のために青森県側の水源かん養保安林指定解除の通告が1987年に地元に行われると青森県側を中心に反対運動が更に激しくなり、13,202人の署名が青森県知事に提出された結果、青森県側の態度が変化し、翌1988年、林道の建設は凍結された。なお、この林道は、建設が完了した秋田県側は現在でも通行可能である。
林道建設反対運動が激しくなった理由については、それ以前に白神山地に作られた弘西林道などの影響により、白神山地でひんぱんにがけ崩れなどが起きるようになり、下流に被害を生じたため、これ以上の被害を食い止めるためだったといわれる。
1990年、林野庁は白神山地を森林生態系保護地域に指定。この後、保護に向けた行政側の整備が進む事になる。
2004年3月31日 白神山地全域が国指定白神山地鳥獣保護区となった事からこの地区のマタギの伝統が失われる事となった。
[編集] バイオビジネス
1997年、白神山地の秋田県側核心地区から新しい酵母菌「白神こだま酵母」が発見される。この酵母菌は耐冷性に優れ(パン生地を長期冷凍保存しても菌が生きている。したがってパン生地をより長期間冷凍保存出来る)、発酵力が極めて強い酵母である。この他、天然甘味料のトレハロースを大量に作る事による独特の甘みや、焼いた時の香りの良さなど各種の優れた性質を持っていて、現在、パン製造に幅広く活用されつつある。 白神山地は寒冷な気候で、ほとんど人が入り込まなかったため、独自の生態系を保ち、このような菌が生存競争を勝ち抜き生きてきたと思われる。白神山地からさらなる細菌を発見しようとする試みは続いていて、「白神こだま酵母」以外にも商品化にこぎつけた細菌も出てきている。
[編集] 登録基準
この世界遺産は、世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた。
- (9)陸上、淡水、沿岸、および、海洋生態系と動植物群集の進化と発達において、進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
日本の世界遺産
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