蒼穹の昴
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『蒼穹の昴』(そうきゅうのすばる)は、浅田次郎の長編小説。1996年講談社刊。
浅田次郎の最高傑作との評判が高い。また浅田次郎本人も「私はこの作品を書くために作家になった。」と帯でコメントしている。『珍妃の井戸』『中原の虹』という続編的扱いの小説もある。
2004年10月に、講談社で文庫化された(全4巻)。
ISBN 4-06-274891-6, ISBN 4-06-274892-4, ISBN 4-06-274893-2, ISBN 4-06-274894-0
[編集] あらすじ
貧家の子、李春雲(春児)は糞拾いによって生計を立てていたが、貧しい家族のために浄身し宦官となって西太后の元に出仕する。春児の兄の義兄弟で同郷の梁文秀(史了)は光緒十二年の科挙を主席(状元)で合格し光緒帝に仕えることとなる。
清朝内部では、西太后を戴く后党と、西太后を除いて皇帝の親政を実現しようとする帝党とに分かれて激しく対立していた。春児は西太后の寵を得てその側近として仕え、文秀は皇帝を支える変法派若手官僚の中心となる。
敵味方に分かれてしまった二人は滅びゆく清朝の中で懸命に生きていく。
[編集] 登場人物
- 李春雲(春児):貧民の子。糞拾いで生計を立てていたが、自ら浄身して宦官となり、西太后に仕える。
- 梁文秀(史了):春児の兄の義兄弟。科挙に状元で合格し、光緒帝に仕える。
- 西太后:咸豊帝の妃。皇帝を抑えて垂簾政治を行う。
- 光緒帝:清朝の若き皇帝。西太后の甥。
- 李鴻章:清の外交・軍事の最高実力者。漢民族の英雄。
- 楊喜楨:光緒帝の教育係。文秀の岳父。帝党の筆頭。
- 王逸:文秀と同年の進士。李鴻章配下の軍人となる。
- 順桂:文秀と同年の進士。満州旗人出身。
- 栄禄:西太后の側近。后党の筆頭。
- 李蓮英:宮中の宦官を束ねる大総管。
- 恭親王:光緒帝の伯父。
- 醇親王:光緒帝の実父。
- 袁世凱:李鴻章配下の軍人。
- 康有為:公羊学者。光緒帝を擁して戊戌の変法を主導するも失敗。
- 譚嗣同:梁文秀、康有為らとともに清朝改革をはかるも失敗して刑死。
- 岡圭一郎:日本人。万朝報記者。
- トーマス・E・バートン:アメリカ人新聞記者。
- ミセス・張:トーマスの現地秘書を勤める謎めいた美女。実は咸豊帝の隠し子、寿安公主。
- 柴五郎:北京の日本公使館駐在武官。会津出身。
- 白太太:韃靼の星占いの秘術をおさめた老女。
- 乾隆帝:清朝第5代皇帝。大清帝国の全盛期を現出。
- ジュゼッペ・カスティリオーネ(郎世寧):康熙帝、雍正帝、乾隆帝に使えたイエズス会士で画家。