豪血寺一族
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『豪血寺一族』(ごうけつじいちぞく)は、アトラスよりアーケードゲームとして発売されたゲームの名称、及びそのシリーズ名。ジャンルは対戦格闘ゲーム。
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[編集] 作品解説
対戦格闘ゲームの黎明期の作品には奇抜な設定のものが多々あるが、その中でも本シリーズは「ラスボスを含む、登場する全ファイターが血縁関係にある」という稀に見る設定で始まっており、異質で濃厚な雰囲気を漂わせる作品になっている。この方向性は後の作品では“外部から招かれた格闘家”など例外的人物も出てくるが、基本的には変わっていない。
アトラス開発の『グルーヴ オン ファイト 豪血寺一族3』までの作品は、後に人気イラストレーターとなる村田蓮爾がデザインを担当しており、現在に至るまでカルト的な人気を博している。また全作を通じて背景や田中敬一が作曲するBGMに妙なこだわりの見られるゲームで、特にBGMは一部を除いてほとんど歌入りになっている。なお、闘婚のイラストは中野友和が村田蓮爾の絵を似せて描いている。
『グルーヴ オン ファイト 豪血寺一族3』まではアトラスの制作、販売。「新豪血寺一族 闘婚 -Matrimelee-」はアトラス許諾の元で、制作ノイズファクトリー、販売SNKプレイモア(「新・豪血寺一族 煩悩解放」はエキサイトよりの販売)という形でリリースされた。
[編集] 特色
設定こそ極めて独特な本作であるが、操作系は他の一般的な格闘ゲームの例から漏れず、方向レバー(方向キー)後ろでガード、コマンドとボタンで必殺技。ボタンは4ボタン制でパンチとキック、それぞれ弱と強がある。
当初の対戦格闘ゲームには無かった概念を多く取り入れており、「2段ジャンプ(飛び上がった空中でもう一度ジャンプできる)」や「ダッシュ攻撃(通常攻撃と違ったモーションが出る。本作においてはダメージも通常攻撃より大きい)」は豪血寺一族が初出とされている。現在では他のゲームにも取り入れられている概念だが、登場する全キャラクターが標準装備しているのはいまもって豪血寺シリーズくらいのものである。高さのある二段ジャンプで、空中戦の要素が大きいゲームであるため、画面は当時の標準的な格闘ゲームと比べてかなり上までスクロールする。
その他「変身技」を持つキャラクターがいるのも特色。『モータルコンバット』のボスキャラ“シャンツン”など、自分以外のキャラの姿に変身するキャラは他のシリーズにも多く出てくるが、このシリーズでは相手の精気を吸って老婆がモンペ姿の美少女に若返るなど、グラフィックはそのキャラのためだけに用意されており、技も全く別なキャラクターになってしまう。
[編集] 電波ソング
先述の通り豪血寺一族シリーズは音楽にこだわりが見られるシリーズで、壮大にゲームを盛り上げるものもあれば、電波ソングと勘違いされかねない曲も揃えており(特に歌付きの曲はほとんどがそれである)、シリーズをプレイしたユーザーからは極めて高い評価を受けていた。しかし、本シリーズで有名だったのはキャラクターが濃いこと(主人公が高齢のババア)のみであり、音楽が広く注目される事は少なかった。
これらはインターネットの普及とインターネット上のアングラ文化の発達により、意外な形で大きな注目を受けることになった。
『新豪血寺一族 闘婚 -Matrimelee-』、『新豪血寺一族 -煩悩解放-』のステージBGMの一つに『レッツゴー! 陰陽師』という曲が配置されているが、タイトルに「陰陽師」と標されているものの、ゲーム中の陰陽師は画面背景中央の筮台に背をむけて座り九字を切るなどの仕草をするのみで、格闘キャラクターとしては登場しないものであった。
同曲は『闘婚』稼働時からプレイヤーや豪血寺ファンの間で高い人気を得ていたものの、CPU乱入キャラクターの条件等でそのステージでプレイする機会が少ない事もあり、ライトユーザー層にはそこまで広く話題にならなかった。
しかし『新豪血寺一族 -煩悩解放-』のゲーム中において、一定条件を満たすと見ることができるPVでは、ステージ背景キャラである陰陽師「矢部野彦麿(やべのひこまろ)」が3Dアニメで登場し、巫女の「琴姫」や3人の僧侶からなる「坊主ダンサーズ」とともにロングバージョンの同曲に合わせて踊るものが発表され、2007年1月~2月にかけて、閲覧者が自由にコメントを書き込むことの出来る動画配信サービスニコニコ動画上で爆発的な人気を呼び大きな話題となった。この動画が話題になった当時ニコニコ動画はYouTube等外部の動画共有サイトから取得した動画にコメントを付ける方式であったが、制作者はこの動画がアップロードされてネット上で話題になった事について「大勢の人に楽しんでもらえたから」と(著作権絡みの問題に対し)黙認的な対応を取っている[1]。
その後ニコニコ動画管理元のdwangoが正式に契約を結び、同曲を着うたサイトでこの歌を配信することになった。ノイズファクトリーもフルコーラスバージョンのサウンドトラックCDを自社通販で販売する事を発表したところ膨大な注文を受けたため、一般のCDショップでも販売することにもなった。自社通販版と一般販売版では収録内容に違いがある[2][3]。
この一件により、矢部野彦麿らは背景キャラに過ぎないにもかかわらず、本作を知らぬユーザーからは豪血寺一族のキャラクター中で最も有名なキャラクターとなっている。
- ^ 「陰陽師」はなぜ削除されなかったのか - "豪血寺"サントラCDが発表
- ^ 新・豪血寺一族 -煩悩解放- 【重要なお知らせ】
- ^ 4月18日発売決定!「豪血寺一族 -煩悩解放-」‐みんなでCDショップを「豪血寺」で埋め尽くしてみませんか?
[編集] シリーズ構成
[編集] 豪血寺一族
ジャンル | 対戦格闘アクション |
対応機種 | アーケード スーパーファミコン メガドライブ |
開発元 | アトラス |
発売元 | アトラス |
人数 | 1~2人 |
メディア | AC:業務用基板 SFC:ロムカセット MD:ロムカセット |
発売日 | AC:1993年11月 SFC:1994年10月14日 MD:1994年11月18日 |
価格 | SFC:10,500円 MD:9,800円 |
8人のプレイヤーキャラから1人を選び、他の7人を蹴散らし、ラスボスである当代頭主・お梅を倒すのが目的。
主人公はお梅の双子の妹、お種。お梅とお種は『ストリートファイターII』のリュウ・ケンのようにグラフィックが使いまわしで技も似たものだったが、技の性能は格段に違っていた。
家庭用ではス-パーファミコン版・メガドライブ版(いずれもアトラス)が発売されている。
[編集] 登場キャラクター
- アニー・ハミルトン
- アンジェラ・ベルテ
- 大山礼児(おおやま れいじ)
- キース・ウェイン
- 豪血寺お梅(ごうけつじ おうめ)
- 豪血寺お種(ごうけつじ おたね)
- 陳念(ちんねん)
- 破鳥才蔵(はっとり さいぞう)
- ホワイト・バッファロー
[編集] 豪血寺一族2
ジャンル | 対戦格闘アクション |
対応機種 | アーケード プレイステーション |
開発元 | アトラス |
発売元 | アトラス |
人数 | 1~2人 |
メディア | AC:業務用基板 PS:CD-ROM |
発売日 | AC:1994年10月 PS:1995年10月20日 |
価格 | PS:5,800円 |
ストーリーは、時期は前作から一年後、お種の優勝で前大会は幕を下ろした事になっている。この作品から「一発奥義」といういわゆる超必殺技が追加された。
念願叶ってついに頭主の座に就いたはずのお種が「しばらく留守にする。後の事は任せた」とだけ書かれた手紙を残し失踪した。一族の家訓により頭主は一週間以上姿を消した場合、その座を追われる事になっており、また新たに頭主を決める大会が催される事となる。
使用可能なキャラはお種が抜けてその代わりにお梅が加わり、さらに新規に5名の新キャラが追加されている。そのうちの一人、「弧空院金田郎」は5才の幼稚園児、そしてまた別の一人は、高齢な老婆であるお梅・お種姉妹のさらに高齢な母、「豪血寺お志摩」101才。モンスターやミュータントなどでなく、純粋な人間だけが登場する格闘ゲームとしては稀に見る年齢差である。
純粋な家庭用移植作品は存在せず、プレイステーション版(アトラス)から「ちょっとだけ最強伝説」という副題つきで発売された。これは『2』をベースとしているが、「最強伝説」の要素(隠しキャラなど)も含まれている。
しかし移植の出来はかなり悪く変身する度にロードが始まり対戦が一時止まってしまったり(一種のポーズ状態)斜めジャンプ攻撃が垂直ジャンプ攻撃と同じ物がでる、ステージ背景の一部欠如(陳念ステージのバックダンサー、お種ステージのお種像等)があったりとかなり不満が残るものとなっている。
[編集] 登場キャラクター
前作からの続投キャラ
- アニー・ハミルトン
- アンジェラ・ベルテ
- 大山礼児(おおやま れいじ)
- キース・ウェイン
- 豪血寺お梅(ごうけつじ おうめ)
- 豪血寺お種(ごうけつじ おたね)
- 陳念(ちんねん)
- 破鳥才蔵(はっとり さいぞう)
- ホワイト・バッファロー
新登場のキャラ
- 豪血寺お志摩(ごうけつじ おしま)
- 弧空院干滋(こくういん かんじ)
- 弧空院金田郎(こくういん きんたろう)
- サハド・アスラーン・リュート
- 花小路クララ(はなのこうじ くらら)
家庭用のみのキャラ
- 黒子(くろこ)
- チャック
[編集] 豪血寺一族外伝 最強伝説
お種の失踪は、頭主への返り咲きを狙ったお梅の陰謀であった。しかし、そうまでして開いた大会だったがお梅は優勝を逃がしてしまい、新たな頭主は孤空院干滋に決まった。その干滋が暇つぶしにタッグマッチ形式の大会を開くというストーリー。シリーズ中初めて、豪血寺初代頭主の血を引かない人物「地上最強の男・チャック」が登場する。
初期の「ザ・キング・オブ・ファイターズ」シリーズに近いチームマッチで、タッグマッチといいながらも同キャラを選べたため、前作までと変わらないスタイルで戦うこともできた。
前作でラスボスであったお種のほか、一部の変身キャラの変身前・変身後が別キャラ扱いになるなどで使用キャラは増加している。隠しコマンドを入力すれば、ラスボス・チャックも使用可能となる。
[編集] 登場キャラクター
前作からの続投キャラ
- アニー・ハミルトン
- アンジェラ・ベルテ
- 大山礼児(おおやま れいじ)
- キース・ウェイン
- 豪血寺お梅(ごうけつじ おうめ)
- 豪血寺お志摩(ごうけつじ おしま)
- 豪血寺お種(ごうけつじ おたね)
- 弧空院干滋(こくういん かんじ)
- 弧空院金田郎(こくういん きんたろう)
- サハド・アスラーン・リュート
- 陳念(ちんねん)
- 破鳥才蔵(はっとり さいぞう)
- 花小路クララ(はなのこうじ くらら)
- ホワイト・バッファロー
新登場のキャラ
- 黒子(くろこ)
- チャック
[編集] グルーヴ オン ファイト 豪血寺一族3
前作まで争っていたお種・お梅が結託し、タッグマッチ制の頭主大会を開催するというストーリー。デザイン・キャラクターを刷新した、新世代を意識した作品。前作からのキャラクターはお種お梅のみだが、なんと今作では背中あわせに腰の部分を縛り、二人で一体のキャラとして登場する。なお新キャラのクリス・ウェインはキース・ウェインとアニー・ハミルトンの息子、花小路ポプラは花小路クララの娘(父親は明らかにされていない)であり、劇中ではかなりの歳月がたった事が伺える。
前作に引き続きのタッグマッチ形式で「戦闘中に任意で交代できる」「待機中は体力が回復する」など、『X-MEN VS. STREET FIGHTER』に近いシステムになっているが、そこにも「倒れた味方を飛び道具として投げつけられる」などといった豪血寺シリーズ独特の味付けがなされている。
家庭用ではセガサターン版(アトラス)が発売されている。
[編集] 登場キャラクター
- 乙霧レミ(おとぎり れみ)
- クリス・ウェイン
- 豪血寺お梅&お種(ごうけつじ おうめ アンド おたね)
- ソーリス=R8000
- デミアン・シェイド
- 天神橋筋六(てんじんばし すじろく)
- ファルコ
- ブリストル・ウェラー
- 花小路ポプラ(はなのこうじ ぽぷら)
- M.A.D(マックス=アックス=ダックス)
- 雪上火澄(ゆきのうえ ひずみ)
- ラリー・ライト
- ルドルフ・ゲルトハイマー
[編集] 新豪血寺一族 闘婚 -Matrimelee-
ジャンル | 対戦格闘アクション |
対応機種 | アーケード ネオジオ |
開発元 | ノイズファクトリー |
発売元 | AC:プレイモア NG:プレイモア |
人数 | 1~2人 |
メディア | AC:MVS用ロムカセット NG:ネオジオ用ロムカセット |
発売日 | AC:2003年3月 NG:2003年5月29日 |
今作は、単純に頭主を決定するのみならずとある国の王族との婚約がかかっている、という設定。登場キャラの顔ぶれや様子で判断する限り、少なくとも前作より時期的には前のようである。
途中で「レイジ・オブ・ザ・ドラゴンズ」(同じノイズファクトリー制作だが、発売元は違うため厳密に言えば他社のゲームである)のキャラが乱入したり、ラスボスは賞品のはずのお姫様プリンセス・シシーであったりと、シリーズ中最高に混沌とした出来映えとなっている。
家庭用ではネオジオ版(プレイモア/ノイズファクトリー)が発売されている。
[編集] 登場キャラクター
シリーズ続投キャラ
- アニー・ハミルトン
- 大山礼児(おおやま れいじ)
- キース・ウェイン
- 豪血寺お梅(ごうけつじ おうめ)
- 豪血寺お種(ごうけつじ おたね)
- 弧空院干滋(こくういん かんじ)
- 陳念(ちんねん)
- 破鳥才蔵(はっとり さいぞう)
- 花小路クララ(はなのこうじ くらら)
- ホワイト・バッファロー
- 冥犬ポチ(めいけんぽち) ※弧空院金田郎の変身後の姿が独立キャラとなったもの
新登場のキャラ
- オロフ・リンデロード
- 九戸真太郎(くど しんたろう)
- 九戸文太郎(くど ぶんたろう)
- 城門光(じょうもん ひかる)
- プリンセス・シシー
レイジ・オブ・ザ・ドラゴンズからのキャラ
- エリアス・パトリック
- ジミー(ジェームズ・ルイス)
- Mr.ジョーンズ
- リン・べーカー
[編集] 新・豪血寺一族 煩悩解放
ジャンル | 対戦格闘アクション |
対応機種 | プレイステーション2 |
開発元 | ノイズファクトリー |
発売元 | PS2:エキサイト |
人数 | 1~2人 |
メディア | DVD-ROM |
発売日 | 2006年5月25日 |
価格 | 7,140円 |
対象年齢 | CERO:12歳以上対象 |
前作の続編にあたり、プリンセス・シシー主催の大会で、優勝者には王位継承権以外の望みを一つ叶えてあげる、という設定。
基本的なシステムは前作と基本的に同じだが、レイジ・オブ・ザ・ドラゴンズからのキャラクターは全て削除されてしまった。一方、「変身システム」が復活し、一部のキャラクターが再登場、さらにタレントのボビー・オロゴンが追加された。
また、オンラインバトル対応、煩悩カードシステムなど、家庭版専用ならではの機能が追加された。
[編集] 登場キャラクター
シリーズ続投キャラ
- アニー・ハミルトン
- 大山礼児(おおやま れいじ)
- キース・ウェイン
- 豪血寺お梅(ごうけつじ おうめ)
- 豪血寺お種(ごうけつじ おたね)
- 弧空院干滋(こくういん かんじ)
- 弧空院金田郎(こくういん きんたろう)※変身システム復活に伴い、冥犬ポチと再び統合された。
- 陳念(ちんねん)
- 破鳥才蔵(はっとり さいぞう)
- 花小路クララ(はなのこうじ くらら)
- プリンセス・シシー
- ホワイト・バッファロー
- オロフ・リンデロード
- 九戸真太郎(くど しんたろう)
- 九戸文太郎(くど ぶんたろう)
- 城門光(じょうもん ひかる)
再登場のキャラ
- アンジェラ・ベルテ
新登場のキャラ
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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