転置行列
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転置行列(てんちぎょうれつ、transposed matrix)とは m 行n 列の行列 A に対して A の (i, j) 要素と (j, i) 要素を入れ替えた n 行 m 列の行列、つまり対角線で成分を折り返した行列のことである。転置行列は AT や tA、また Atr などと表現される。
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[編集] 例
に対して転置行列 AT, BT はそれぞれ
[編集] 性質
A, B は行列、k はスカラーとして各演算が定義できる限りにおいて次が成り立つ:
- (AT)T = A, (A + B)T = AT + BT, (AB)T = BTAT, (kA)T = kAT。
- n 次正方行列 A のトレースを tr A とすると tr A = tr AT。
- n 次正方行列 A と標準内積 (·, ·) に関して (Ax, y) = (x, ATy) が任意の n 次元ベクトル x, y に対して成り立つ。
[編集] 線形写像との関係
m × n 行列 A を n 次元ベクトル空間 V から m 次元ベクトル空間 W への線形写像 fA とみなすとき、A の転置行列 AT には fA の転置写像が対応する。すなわち、AT に対応する W の双対空間 W* から V の双対空間 V* への線形写像は
(for ξ ∈ W*) によって定義される写像 tfA: W* → V* である。
[編集] 関連項目
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