陸前浜街道
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陸前浜街道(りくぜんはまかいどう)とは、東京都中央区日本橋から宮城県岩沼市に至る街道の名前である。現在の国道6号線に該当する。
[編集] 街道の歴史
- 街道そのものの歴史については古く、奈良時代には既に石城国(福島県いわき市周辺)に駅が設置されていたことや、平安時代の千載集に茨城・福島県境の勿来関に関する歌が残されており、浜街道として整備が進められていたことが知られている。
- 江戸時代には、水戸では日本橋から茨城県水戸市までを水戸街道、水戸市から岩沼市までを岩城街道(もしくは磐城街道)などと呼んでいたが、明治に入り両街道をまとめて陸前浜街道として扱うようになった。街道名としては比較的新しい名称である。なお、公式な文書に名が残るのは、陸前浜街道という名を用いた通達が出された1872年から、国道に番号制度ができる1885年の間のわずか13年間である。
- なお、常磐線取手~藤代間をはじめとして、成田線・新金線などを交差する踏切には「陸前浜街道踏切」「浜街道踏切」などの名称を持つ踏切がいくつも存在し、現在も名を残している。
[編集] 奥州街道との対比
関東と東北を結ぶ重要な街道として、平坦で降雪量が少ない浜街道が奥州街道並みの格式を得ることができなかったのは、戦国大名の勢力範囲と、江戸時代に参勤交代に用いる大名の数が影響し、街道沿いの物資の集積やインフラの整備が遅れたことによるものが大きい。
街道の出発点である仙台藩(宮城県)は、敵国であった相馬藩(福島県)の領内の通過を敬遠し、伊達藩以北の諸大名は、強大な伊達藩の領内の通過を敬遠し山形方面への遠回りによる移動を行った。このため、浜街道を参勤交代で用いた藩は、もっぱら磐城平藩や相馬藩などに限られてしまったのである。