電話機
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電話をするための機械、中でも通話者が会話や電話番号指定のためのインタフェースとして直接用いる部分の機械のことを、一般に電話機(でんわき) と言う。
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電話機の変遷
設置場所の変遷
事務所では事務連絡に使用するため事務所に設置されていた。また、商店の店先に設置され、近所の電話のない家庭への呼び出し電話としても利用されていた。
家庭への普及の初期には、呼び出し電話としての利用もあったため、玄関先に設置されているのが一般的であった。多くの家庭に普及した後には、居間に設置されるようになった。また、親子電話などで個室にも設置されるようになった。
電話の基本的機能と形態
半導体素子が安価に大量供給される以前の電話機は、機械式リレーと受動素子のみで構成されていた。受話器を取る/置く操作によりフックが上げ下げされることで電話回線の極性を変化させ電話交換機が回線接続・回線断を判別したことから、今でも回線接続/回線断の状態をオフフック/オンフックと言うことがある。
1930年代から、送話器と受話器は一体化して本体とコードで結ばれた形が主流になり、片手で、しかも本体に正対しなくとも通話できるようになった。現在ではこの部分のことを総称して受話器(ハンドセット)と呼ぶようになっている。
電話交換機からの給電のみで動作する基本的な機能として次があげられる。
- 通信先の電話番号を入力し、電話交換機に伝える。
- 電話交換機からの呼び出しを検知し、呼び出し音などで伝える。
- 送話器で音声を電気信号化し増幅して電話交換機へ送り出し、電話交換機から伝えられた信号を受話器で音声に戻す。
- 終話を電話交換機に伝える。
標準電話機
生産統計において標準電話機とは、基本的な機能のみを装備したものである。
基本的な機能
多機能電話機
生産統計において多機能電話機とは、標準電話機よりも多機能なものをさす。
機能の例
- ワンタッチ・自動ダイヤル
- 電話帳機能
- 通話電話番号・時間記録機能
- 転送機能
- ハンズフリー・マイクロフォン接続
- 留守番電話
- 内線電話・インターホン接続
- コードレス電話
- 防犯・防災用センサ接続、非常・異常通報機能
- 簡易課金機能
以下の機能は、別の品目となっている
装飾電話機
装飾電話機・ファッション電話機とは、機能よりも装飾性を重視した電話機である。電話敷設の初期から付加使用料を支払うことで利用できた。
端末設備自由化以降は、ダイヤルボタンが受話器側にあるものなど、デザインも多彩となった。
福祉電話機
福祉電話機(NTTでは「シルバーホン」と呼称)とは、耳が聞こえにくい・手が不自由などの場合でも支障なく使用できるように工夫された電話機である。
- 着信音の周波数・音量変更(より低い音など聞き取り易いものへ)
- 光点滅による着信通知
- 受話音量調節
- 骨伝導受話器
- 呼気スイッチ
- 頻繁にかける相手へのワンタッチダイヤルボタン(3箇所まで)
- ワンタッチ非常通報
ダイヤル自動化以前の電話機
ガワーベル電話機
電話機に取り付けられたダニエル電池より直流電力を送り、電話交換手を呼び出すのもの。
ガワーが発明した炭素棒送話器とベルが発明した永久磁石受話器とを組み合わせていた。
磁石式電話機
電話機に取り付けられた磁石式発電機を回すことにより、交換機の表示機を動作させ(表示機の蓋を落とす)、交換手を呼び出すのもの。交換機に繋がず、直接相手方電話機と繋ぐと、発電機は相手方電話機のベルを鳴らす役割を果たす。
送話用の電池を内蔵しているため定期的な交換が必要である。
現在では乾電池とツイストペアケーブルのみで通話できる為、専用線・私設線で業務用に用いられる。軍隊の野戦電話もこの一。
共電式電話機
電話機の受話器を外す事で、交換機のランプを点灯させ電話交換手を呼び出すもの。通話終了も受話器を下ろす事で自動的に交換手に通知される。
電話機側に電池や発電機が無く、保守が簡略化された。しかし、48Vの電圧を回線に常時印加する為、電線の絶縁材料が悪かった時代には、障害が多いものであった。
現在では着信専用電話機として、あるいは旅館等で構内電話交換機を持つ場合に用いられている場合もある。
黒電話機
黒電話を参照。
日本における端末設備自由化の歴史
- 1953年8月 - 専用線・構内交換機・船舶に設置するものなどの端末設備を利用者が設置することができるようになった。
- 1957年5月 - 日本電信電話公社からレンタルされた1台目の電話機の他に、切り替え式の付属電話として加入者が別の電話機を公衆回線に設置することができるようになった。
- 1972年11月 - データ通信等の非通話端末設備は自営による設置が原則となった。
- 1985年4月 - 技術基準等に適合していれば端末設備が自由に接続できるようになり(現実には電気通信端末機器審査協会等で適合認定を受けるか、それに相当する届出を行った機器のみが使用可能)、留守番電話・コードレス電話・ファクシミリなどの普及が促進された。
電話機開発メーカ(国内)
※コードレス電話については当該記事参照 NTT、パイオニア、シャープ、鳥取三洋電機、松下電器