風船
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風船(ふうせん・balloon(バルーン))とは、紙やビニール、ゴムなどの袋の中に気体を入れて膨らませたものである。主に個人向けの玩具である。手で投げて飛ばしたり、飛ばした風船を弾いたりして遊ぶ。空中に浮かぶものは「気球(ききゅう)」とも呼び、この場合には観測や運搬、宣伝用にも用いられる。
中に入れる気体には、空気のほかヘリウムなどがある。ヘリウムを入れた場合には、空気より軽いため自然に上昇していく。昔は、空気より軽い気体として水素を入れた場合もあったが、発火すると爆発する危険から一般的な用途には使用されなくなった。水素を入れた理由として、空気を1としたときのヘリウムの比重は0.138、水素の比重は0.0695(ともに標準状態の場合)であり、水素のほうが浮きやすく、しかも入手が容易という事情があった。現在でも高層気象観測用観測気球には、費用対効果の面から水素が使用されていることが多い。
配布・販売以外では「風船飛ばし(バルーンリリース)が自然環境に悪い」という反響から風船の利用が激減する事になる。しかし、その後複数個の風船を重ねて作成するバルーンデコレーションがテレビ番組に用いられ、またバルーンモデリングも流行。(これら風船を用いて形をつくる事を総称して バルーンアート・アートバルーン と呼ばれる)これにより風船業界に活気が出てくるようになった。また近年プロ野球に用いられる ジェット風船 による普及と新たな場所で用いられるケースも多くなった。結婚式でもバルーンデコーレションや風船飛ばしがよく行われている。
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[編集] 風船の種類
現在風船を示す場合、ゴム風船かUFO風船を示す場合が多い。
[編集] ゴム風船
別名としてラテックス風船・ラテックスバルーンという用語を風船業界で用いる場合もある。材質は天然ゴム(ラテックス)である。あまり大きく膨らませると口元の部分が膨らみ洋梨のような形になっていき、それでも構わず膨らませると限界を超えて、大きな音を出し破裂する。
ヘリウムを入れた浮く風船は、デパートの催事や遊園地などで子供用の玩具として配られたり販売されることが多い。ヘリウム入りの風船に膨らまし配布する作業を楽に行うために用いるプラスチックや紙製の止め具を クリップ、予め風船に付けた状態で膨らませられる注入口の止め具を バルブ と呼ばれる。最近はこの クリップ や バルブ を用いた配布用のヘリウム入り風船も増えた。
空気を入れた風船は、風船で満たした部屋など子供の遊び場の用具として使用されたり、コンサートなどでは天井から大量に風船が舞い落ちるバルーンドロップ等といった演出にも使われている。針など尖ったもので突いたり、大きく膨らませすぎると破裂する特性を利用して、ゲームなどにもよく使われる。また過去に於いて、富山の薬売りなど配置薬の行商の宣伝にも使用された。主に空気入りの風船に付ける棒はスティックと呼ばれる場合もある。
リードの付いたストローの先に風船が付けられ、膨らました風船の空気が勢いよく抜ける力を利用して音を鳴らす「毛笛」という玩具も昔から親しまれている。毛笛用の風船はゴム厚が薄めで非常に破裂しやすいものだが、音を鳴らす為にリードと空気の抜ける勢いのバランスなどが考えられており、敢えて強度の弱い風船が使われている。そのため、割れてしまった後に他の風船を付け替えても、うまく音が鳴らない場合もある。
[編集] 変形風船
ハート型や花型や耳付きのものが存在する。他にも雪だるま型やドーナツ型のものも存在する。これらはゴム風船の一種であるが、膨らましにくく繊細(大きく膨らますと簡単に破裂する)な為に扱いづらい。しかし、外見がかわいらしいことから世界的に人気がある。
[編集] 観測気球
大型のゴム風船。本来はラジオゾンデの気球用で、大きくて高価だが、個人でも購入可能。天然ゴム製で普通の風船よりも柔らかい肌触り。色は乳白色が主だが、小型の気球は橙色のものもある。気象庁で最も多く使用しているもの(通称「600型」という。他に1200型等がある)は内部に水素ガスを充填して使用する(但し南極観測隊および気象観測船はヘリウムを使用)ので、火気厳禁である。600型に水素を充填して使用する場合、地上での直径は通常約1.6m、海抜高度3万m付近で破裂する直前の直径は約8mに達する。日本では主に気球製作所およびトーテックスが製造している。
[編集] ペンシルバルーン
細長い風船。大道芸などに使用されていて、空気を入れた後にねじったり曲げたりして、生き物などの形を作る。製作する事は バルーンモデリング とも呼ばれる。
[編集] ジェット風船
細長い風船の口に笛を取り付け、飛んでいくときに音がでるようにした風船。最近はスポーツの応援で観客が空気を入れたものをいっせいに手放して雰囲気を盛り上げることに使われる事が多くなった。日本のプロ野球では、多くの球団のラッキー7での演出に使われている。ちなみに、このジェット風船での演出を始めたのは、広島東洋カープである。
[編集] UFO風船
UFO風船は別名としてメタリック風船・マイラー風船・フォイル風船等の名称も存在するが、認知された定まった名称は確立されていない。最近は主に販売向けの風船としてゴム風船に代わって用いられる事が多くなった。ゴム風船に比べて印刷面に優れ自由な形が生成できる事、また素材としてゴム風船に比べて気体が抜けにくく長持ちする特徴がある。通常ヘリウムをゴム風船に入れた場合は1日も持たない場合が多いが、この風船では数ヶ月持つ場合もある。
素材はフィルム(ポリエチレン・ナイロン等)の上にアルミを蒸着させている。アルミは金属の一種であるため、電気などを通す。またこれらの素材は人工的につくられたものであるため、風船飛ばし(バルーンリリース)を行ってはいけない。そのため、このような風船には通常重り等を付けて飛ばないようにする。実際電線にからまってショートする事が多く、これによって電車が止まったケースも多く、電車関係のイベントで風船が使われなくなった例もある。
[編集] ビニール風船
UFO風船と同様の製造でビニール系の素材を用いたビニール風船もある。UFO風船に比べて透明度のある風船が製造できる面で特徴があるが、基本的にヘリウムを入れた際の期間はUFO風船より気体が抜けるのが早く、長持ちしない。
また、酢酸ビニール樹脂をアルコール類(主に酢酸エチル(有害)・局方エタノール(無害)を使用)で溶かしたもの(原液)を金属製チューブに入れたものを短くて細いプラスチック(PVC)製パイプと一緒に売られているものもあるが、これは正しくは風船玉といわれる玩具の一種である。
[編集] 紙風船
日本古来からある風船で、和紙をボール状に貼り合わせたものである。ゴム風船同様、配置薬の行商人が子供に対しおまけとして配ることもあった。
また、UFO風船・ビニール風船と同様に製造された紙風船が存在する。これは風船飛ばし(バルーンリリース)を目的に利用される。紙製の風船は自然に戻る事から採用されている。
[編集] 水風船
風船の中に空気と少量の水を入れた「水風船(みずふうせん)」というものもある。これも祭りの屋台などでは玩具として売られる。ゴムの紐をつけて、手からぶら下げて遊ぶ(通称 ヨーヨー といわれる)。また、小さく薄めのゴム風船に水を入れて、ぶつけ合って遊ぶ水風船もある。
[編集] 風船飛ばしに関して
落ちたゴム風船を野鳥が誤って食べて窒息死するなどという理由により、野外でのゴム風船の使用が減ったことがあったが、日本バルーン協会によれば、天然ゴムを使用しているゴム風船は自然界で分解されるためにそのような事故が起きる可能性はきわめて低いとされる。
なお、日本バルーン協会は、野外で放すための風船はゴム風船等の自然素材の風船を用い、風船も分解しやすい糸を用いて吹き口を留めるようにする事を推奨している。
[編集] 風船が使用される主なテレビ番組
- 番組の最後にハート型の風船がたくさん降ってくる。
- 子育てパラダイス(テレビ東京)
- オープニングで子供や親子が部屋にある風船で戯れる。
- 早押しの代わりに、テーブルの端に固定されたジェット風船を膨らまして伸ばし、中央に設置された剣山に触れて早く割ったら回答権が得られるクイズや、10秒以内に道具を使わずに風船を割れるかというゲーム、時間制限のあるクイズが出題され、答えられないと檻の中の巨大風船(3~4フィート程度の観測気球)が破裂するまで膨らむコーナーなどがある。
- 隠れんぼのトラップとして、部屋いっぱいに敷き詰めたりなど多用される。
[編集] 風船が使用される主なテレビCM
- キユーピー ディフェ(キユーピー)
- 第二CMシリーズで冒頭部分に丸いガス風船が複数個(白・薄紫)あり、庭の芝生で少女がピンク色の風船(流線型)をけっている(しかも芝生には更に全く同じものが二個置いてあった)。
- 太った男性が青い大きな風船を膨らますと、ガリガリに痩せてしまうというシーンがある。
- 筆王 (アイフォー)
- 1980年代の歌番組を再現したようなコンセプトで、セットに風船が大量に使用されている。
- ACC CM FESTIVAL
- 男性の顔が描かれた風船が、笑い声とともに膨らみ破裂する。
- 赤いヘリウム風船が色々な風景に漂っている。
[編集] 関連項目
- 風船割り
- くす玉(中に敷き詰めることが多い)
- 熱気球
- ラジオゾンデ
- レーウィンゾンデ
- アドバルーン
- バルーンアート
- ツイスト・バルーン
- 風船爆弾
- こどもの文化
- 風船おじさん(鈴木嘉和)
- とらや/トラバルーン