首都圏トライアングル
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首都圏トライアングル(しゅとけんトライアングル)は、南関東のUHF3局であるテレビ神奈川(tvk)・千葉テレビ放送(チバテレビ)・テレビ埼玉(テレ玉)の共同制作機構の名称。各局を代表する地域情報生番組を30分ずつそれぞれの局に放送している。
2006年3月までは上記3局に東京MXテレビを加えた4局の「首都圏ネット4」であった。ネット4についてやトライアングルに変わった経緯なども下記を参照していただきたい。
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[編集] 首都圏トライアングルの番組
- 6:30~7:00 朝まるJUST チバテレビ制作 (チバテレビのみ8:00まで放送)
- 12:00~12:30 埼玉産 ひるたま テレ玉制作 (テレ玉のみ11:30から放送)
- 12:30~13:00 1230@(アッと!!)ハマランチョ tvk制作 (tvkのみ14:00まで放送)
放送は月~金、1230@(アッと!!)ハマランチョは祝日を除く。表示時間以外の前半または後半は、制作局のみの放送。
- ルール
この枠内は3局同じCMが流れるが、あくまで番販扱いであり、スポンサー収入はそれぞれ制作局のみが受けられる。また、7月の高校野球など特番があるときには、特定の局のみ休止になることもある。
[編集] 共同企画
- 首都圏ネット4
[編集] 上記以外で3局がネットする主な番組
- 中央競馬ワイド中継
- ニッポン早わかり→JUST JAPAN(tvk制作)
- 新車情報(終了)→新車ファイル クルマのツボ(tvk制作)
- 佐藤しのぶ出逢いのハーモニー (tvk制作)
- HOT WAVE(テレ玉制作)
- ダンスは一番(テレ玉制作)
- おんナビ(トライアングル3局+三重テレビ+KBS京都+日本ビーエス放送共同制作)
- とちぎ発!旅好き!(とちぎテレビ制作)
- 全国高校サッカー選手権大会(日本テレビ制作)
- One→学生OneOne(tvk制作、終了)
- ネットワーク3県 (終了)
- SONY MUSIC TV(終了)
[編集] 経緯
- 前史
- テレビ神奈川(以後TVKと表記)、千葉テレビ、テレビ埼玉の友好関係はテレビ埼玉の開局時からあった。編成部門での連携は強いが、音楽、スポーツ、競馬中継以外の同時ネットはほとんどなかった。ましてや、つい最近まで今のような地域情報番組の相互供給は、やろうともしなかった(千葉とTVKであれば17:30~17:50の「ポート5:30」での共同制作の例がある。TVKが抜けた後、千葉では17:30スタートの夕方情報番組が長く続いたのはこの名残である)。この相互供給は、各局の生き残りをかけての試みである。
- 東京メトロポリタンテレビジョン(以後MXTVと表記)が開局する以前、TVK・千葉テレビ・テレビ埼玉3局とも東京都域局のUHF局の電波割り当てに猛反対した。結果として周波数が割り当てられ、3局とも結果は厳粛に受け止めるとしながらも、MXTV対策の共同会議なるものはこの頃から進んでいた。後にMXTVを全国独立UHF放送協議会に加盟させるか否かでも、当初は反対派が多数だったが、後に柔軟な考えへと変わっていった。またMXTVも開局当初は一切の地上波民放テレビ局との連携を考えていなかったために、MXTVは業界内外を問わず孤立していた。しかし、MXTVも様々な方面で不利な扱いを受けている(たとえば新聞、雑誌等の番組欄がラジオ面でTVKよりも小さく掲載されているものもあれば(読売・朝日新聞などではTVKと同じサイズあるいはTVKより小さいサイズで掲載されている)、千葉日報など全く掲載されないものもある)。
- 千葉テレビとテレビ埼玉の2局は、MXTVに対して協力できるものは協力するという方向に変わりつつあった。それは当時の両局の経営者がMXTVに対して理解を示してくれたからである。そのため、両局はMXTVから「タカラヅカ・カフェブレーク」のネットを受けるようになった(同番組のネットは現在も継続中)。
- その後、MXTVは自社のニュース番組「東京NEWS」で「ネットワークU」のコーナーを設ける。さらに、KBS京都、サンテレビと共同で、初のMXTV制作同時ネット生番組のがんばれ三都市を1クール放送した(ネットワークUにはTVKのみ参加しなかった)。
- この協力関係は、当時MXTVで放送されていた「白沢みきのモーニングTOKYO」をKBS京都が同時ネットするまでに発展した。独立U局間での生情報番組のネットワークはこれが初めてであり、視聴者にとっても大好評だった。
- 首都圏ネット4結成
- 「首都圏ネット4」は、経営不振でなおかつソフト調達に窮していたMXTVの後藤亘社長が、テレビ埼玉の中根憲一社長(当時)に「これからの独立U局って、どういうあり方でいけばいいんですかね」と声をかけたことがきっかけで、これが南関東の独立U局の共通コンテンツだった情報ワイド番組を部分的に相互ネットしようという形に発展、中日新聞資本が強くMXTVと友好的関係だった千葉テレビも参加、大井競馬などのコンテンツや売上をゴッソリ奪われてMXTVと犬猿の仲と言われながらも、千葉テレビ・テレビ埼玉との関係を考慮しTVKも参加することになった。
- 「首都圏ネット4」開始合同記者会見は、4局のニュースで放送された。そして記者からデジタル化を据えた4社の広域連携か合併の序章なのかという質問が矢継ぎ早にとんだ。しかし、新社屋移転に伴うVI展開計画がウラで進んでいたTVKの牧内良平社長には「周辺局とは営業的にもコンテンツでも切磋琢磨していかねばならない(要するにライバルと言うこと)。ゆえにまったく考えていない」とキッパリと否定されてしまった。
- 2003年1月のスタート時は実験的なもので、千葉テレビは「朝まるJUST」、MXTVは「白沢みきのモーニングTOKYO」、テレビ埼玉は「情報ひるびん」、TVKは「HAMA大国」の冒頭かエンドを30分ネットする形態であった。「朝まるJUST」と「モーニングTOKYO」がともに6:30スタートだったため、千葉テレビは「朝まるJUST」のスタートを6:00に繰り上げた。各社の人気番組がそろい踏みしたので、視聴者には好評裡に迎えられた。また2003年3月まで、CMは各社差し替えていた。
- しかしTVKにとっては事情が違った。それまで6:15か6:45の放送開始であり、旧社屋で自動運行など難しかった設備での開始繰り上げに組合から総反発を受けた(結局、6時台に通販番組を置くことで諸経費を確保する羽目になる)。しかも12:05~12:30には自社制作の「音楽缶」があり、人気番組の客を失う結果となった。また、従前は12:00~12:05に「TVKスポットニュース」があったため、しばらくテレビ埼玉の「情報ひるびん」の天気をネットせず、「TVKスポットニュース」に差し替えた(そのため、しばらく12:01:30に飛び降り、12:04:00に飛び乗りポイントがあった)。
- 大人気番組だった「モーニングTOKYO」終了後は「TOKYOモーニングサプリ」が始まったが、「芸能サプリ」などのマニアックなコーナー以外、思った視聴者を獲得できず、ネット4結成前からネットしていたKBS京都が半年でネットを打ち切った。また千葉テレビもデジタル放送諸経費で累積債務を抱えるほど経営を圧迫させており(その後債務は償還)、調整の結果、2004年4月より「朝まる」は6:30スタートに戻り、「TOKYOモーニングサプリ」はMXTVのみ7:00スタートとなった(制作局ではOAが120分から90分に短縮された)。
- 「首都圏ネット4」時代の主な活動は、NHKがデジタル総合テレビを関東各都県別の県域化にするという計画を打ち出したことに対し、共同で阻止したことである。これは北関東2局を含め、NHKの県域化には首都圏の独立UHF全局反対だった。6局団結し、共同でNHKに対して抗議した。その結果、県域民放がない茨城県を除きNHKの県域化は阻止された。
- 東京に本社のあるMXTVを除く各局は高料金の広域営業を強いられ、枠を埋められず大苦戦した。
- 首都圏ネット4から首都圏トライアングルへ
- 「首都圏ネット4」は成功したかのように思われたが、実はMXTVと他の3局の間に亀裂が生じかけていた。
- まず、KBS京都とサンテレビの三都ネットの瓦解、かねてからの岐阜放送と三重テレビの不仲など、全国独立UHF放送協議会の中でも寒風が吹きつつあった。共同で立ち上げた「you13.tv」というサイトも2005年夏に活動休止、閉鎖されてしまう。
- また「多摩方向へくまなく飛ばすにはこの出力が必要」と主張するMXTVの地上波デジタル局の高出力(3Kw)問題にtvk・テレビ埼玉・千葉テレビは共同で抵抗した。デジタル放送で送信所と周波数帯が同じで受信可能地域も増えて視聴可能な世帯が大幅に増えてしまうのである。地理的に指向性をかけなければ高出力は免れなく、なんとか多摩方向以外は減力(2kw程度)を実現させたが、3社のエリア・さらには茨城県の一部までエリア外へデジタルが高出力で飛ぶことには変わりない。また独自チャンネルIDをもらっていることや、高出力かつアンテナがキー局と共用できることで、3社のエリアで地元3局のデジタルを再送信せず、MXTVを再送信するようなCATVも多く見られるようになってしまっている。とくに親局が500wで平地発射のテレビ埼玉にとっては深刻な問題であった(同じ出力でも千葉は高台発射でエリアは広く視聴者も多いためまだましである)。
- こういった過程からMXTVは村八分状態となった。このような状況をみて、MXTVは仕方なく離脱を決意する(半蔵門に本社移転した現在、MXTVはTOKYO FMとの一体経営を模索しており、こういった腹づもりも3局の怒りを買っていた)。
- 2006年3月末をもってMXTVは「首都圏ネット4」を離脱し、他の3局による「首都圏トライアングル」に変わった。MXTV「TOKYOモーニングサプリ」では「3局のみなさんとは今回でお別れということになってしまいました」と終了の挨拶があったが、残り3社制作番組はネットからMXTVが消えることを番組内では一切発言しなかった。
- 「トライアングル」結成後、tvk(「ヨコハマ開放区」)に続いて、テレビ埼玉が「テレ玉」、千葉テレビが「チバテレビ」のVIを導入したのは、まさに「生き残り」をかけたものである(売上は伸びないものの黒字体質になり債務を償還、経営が安定してきたMXTVや、新社屋移転後にすさまじい営業攻勢をかけて売上を大幅に伸ばしているtvkをよそに、テレ玉とチバテレビはここ数年、大幅に売上を減らしており、危機感は大きい)。
- この事の顛末を「とっておき自遊食感ハマランチョ」で「トライアングル」初日のMC、金田賢一が「三本の矢は折れない」と皮肉った。
- 「トライアングル」正午枠の真裏に、MXTVは14時台に25分間放送してきた「TOKYOアフタヌーンサプリ」を1時間に拡大の上、枠移動。これは番組審議委員会でも「つまらない」と酷評されていた番組のテコ入れである。それをよそにテレ玉は「ひるたま」(VI導入に伴い今までの「ひるびん」を改称)ではだいまじん出演のお笑い色の濃いコーナーを大量に「トライアングル」枠へもってきたほか、tvk「ハマランチョ」は12:30から金田賢一、テミヤンを出演させる(それまで「トライアングル」枠になぜか両名の出演はほぼなかった)など、対決色が強くなってきた。MXTVは7月のメディアセンター引越にともない、「つまらない」「暗い」と評判の悪かった「TOKYOアフタヌーンサプリ」を打ち切って「U・LA・LA」というF1層向け番組を開始した。またMXTVは「ハマランチョ」tvkローカルの時間の裏に「TOKYO MX NEWS」を編成し、主婦向けの内容を放送している。またtvkが重点枠として共同制作・自社制作(これにはチバ、テレ玉もネットや制作に加わっているものばかりである)の番組を並べた平日21時台に、MXTVは過去のキー局制作の人気アニメを並べた。広域連携どころかMXTVと周辺局の激突の様相を呈している。
- MXTVが自ら積極的に呼びかけたとされる「首都圏ネット4」は、皮肉にも他局から締め出されるという哀れな結末となってしまった。
- 「首都圏トライアングル」の営業面の現状は、一部を除きスポンサーが付けられず、「ネット4」だったときと何ら変わりはない。
- そして東名阪ネット6結成へ
- 2007年春に「首都圏トライアングル」の tvk、テレ玉、チバテレビの他に三重テレビ、KBS京都、サンテレビを加えた「東名阪ネット6」が結成され、2007年4月から「カルチャーSHOwQ~21世紀テレビ検定~」が開始された。
[編集] 関連項目
- 朝まるJUST
- ひるたま
- HAMA大国
- 1230@(アッと!!)ハマランチョ
- 白沢みきのモーニングTOKYO
- TOKYOモーニングサプリ
- 東名阪ネット6
- 三都ネット(京都放送・サンテレビジョン)
- FMトライアングル(ROUTE16とも) - FMヨコハマ、NACK5、bayfmの首都圏民放FM3局のネット機構