CIPHER
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『CIPHER』(さいふぁ)は、成田美名子による漫画作品。 「LaLa」(白泉社)に1985年2月号から1990年12月号にかけて連載された。全12巻。 1980年代のアメリカを舞台にした少女漫画。美術学校に通う少女と、その少女に秘密を知られた双子の俳優を中心とした作品。二人一役のきっかけや、双子と彼らを取り巻く人々の葛藤と自立・再生を丁寧に、細やかに綴る。
続編に大学進学後のアレクサンドラを主人公とした『ALEXANDRITE』がある。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
ニューヨークの美術学校に通うアニスは、同じ学校に通うプロ俳優兼モデルの「シヴァ」が双子の弟サイファと交互に学校へ来ていることに気付く。アニスは周囲を欺く双子の真意を突き止めるため、双子の家に泊まりこみ勝負を挑む。その勝負とは「2週間で双子の見分けがつくようになるか?」というもので、アニスが勝てば双子が真相を話し、負ければ今後一切詮索してはならないというものであった。2週間でアニスは双子の見分けがつくようになっていた。しかし、双子が自ら話してくれるようになるまで待ちたいという思いからわざと勝負に負ける。
この勝負が縁で、アニスはやがて弟のサイファとつき合うようになる。一方、ひとり取り残されてしまった兄のシヴァは、街で声をかけてきた女優の卵・ディーナに次第に惹かれるようになっていく。 だが、双子の「二人一役」は相変わらず続いていた。サイファとディーナが一緒の仕事をすることを知ったシヴァは、ドラマの役を譲ってほしいと弟に頼み込む。だが、サイファはシヴァの気持ちを知りつつも、役者としてのプロ意識から仕事を譲る決心がつかない。双子の入れ替わりを知らないディーナは、仕事の現場でサイファを「シヴァ」と慕い続ける。良心の呵責とディーナへの思慕から、早くすべてを打ち明けてしまいたいシヴァをサイファは必死になって止める。「この仕事が終わるまで」「そうしたら二人は晴れて恋人同士だ」と。 この仕事を最後に、サイファはすべてをかくしたまま「シヴァ」名義の仕事を引退するつもりだったのだ。 その間、ディーナは仕事の現場とプライベートで接するシヴァの人格が微妙に違うことに次第に違和感と不安を感じ始める。とうとうディーナは公衆の面前でシヴァ(中身はサイファ)に「あなたが好きだ」と告げる。しかし、サイファは答えを返せない。それを「ノー」と受けとったディーナは部屋を飛び出し、誤解が解けないまま、ある事件が起こる・・。シヴァは心をとざし、責任を感じたサイファは誰にも(アニスにも)知らせずにL.A.へ旅立ち、双子の離れ離れの生活が始まる。
[編集] 登場人物
- アニス・マーフィ
美術学校に通う奔放な少女。 シヴァが双子の弟と交互に学校へ来ていることに気付く。 雑誌記者でマドンナ似の母、小説家の父、そして弟がいるが両親は離婚、アニスは父と、弟は母と暮らしている。 額に小さなほくろがある。
- サイファ
双子の兄シヴァと一日交代で学校に通っている。 ポーカーフェイスが出来ず感情が表に出やすい。 サイファは芸名で由来はインド語の0から、本名はロイ・ラング。 あることが原因でL.A.に旅立ってしまう。
- シヴァ
双子の弟サイファと一日交代で学校に通っている。 サイファよりクールで計画的。 シヴァは芸名で由来は神のシヴァから、本名はジェイク・ラング。 時々雑誌に文章を寄稿しており全米の学生コンクールで入賞するほどの腕である。
- アレクサンドラ・レヴァイン
スタイベサント高校出身。 モデルの仕事でシヴァと知り合う。 男なのに女性名のうえ外見も美女であるため傷つくことが多い。 柔道と空手は黒帯の腕前だが、公園で花を摘む乙女な部分ももつ。
- ハル
サイファのロサンゼルスでの同居人。 日本人の父とイギリス人の母を持つハーフで弟と妹もいる。本名は竹下春臣。 かなりシャイなのでサングラスと奔放な口調でごまかしている。 UCLAの生徒で建築を専攻しているがコンピュータにも精通しており、誤ってハッキングしFBIに捕まりかけたことがある。
- ディーナ・ジャクソン
シヴァ名義での最後の仕事で共演した女優。 ゴスペルで鍛えたのどはかなりの声量をもつ。 仕事をしているうちにシヴァに好意を持つようになるが…
[編集] その他
『エデンの東』と連載当時ニューヨークにあったツインタワーが物語に深く関係しており、作中にはそれらに絡んだ描写も多い。
また物語の転換部にはツインタワーのイラストがよく使われる。