F-80 (戦闘機)
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F-80は、アメリカ合衆国陸軍が採用した戦闘機。製造はロッキード社。愛称はシューティングスター(Shooting Star、流星のこと)。陸軍時代はP-80であったが、1948年に空軍が分離発足したため、名称はF-80となった。
[編集] 沿革
第二次世界大戦中の1943年6月から開発を開始した、米軍最初の実用ジェット戦闘機である。それまでのプロペラ機とは比べ物にならない機動性を持ち備えていた。後に副座の練習機T-33も登場した。
試作1号機には英国ハルフォードが開発したH1Bジェットエンジンを搭載していたが、戦時に海上輸送は危険が伴うため、2号機からはジェネラル・エレクトリックが開発したI-40に転換された。
実戦には45機が配備されたものの、戦後のイタリアをわずか2機が飛んだだけで、戦果を上げることは無かった。しかし陸軍はP-80の性能を信頼していたので、4,390機の生産を目論んだが、戦争終結によって削減されてしまった。
1950年に朝鮮戦争が勃発すると、レシプロ戦闘機とともにF-80の実戦配備となったが、ソビエト連邦製のジェット戦闘機MiG-15は後退翼を備え、F-80をはるかに凌ぐ機動力を持っていたため、戦線からは撤退した。このため米軍は次なる主力戦闘機としてノースアメリカン F-86を投入することとなった。
[編集] 派生型
- XP-80:試作機。
- XP-80A:試作機。XP-80の改良型。
- YP-80A:増加試作型。
- F-80A:旧称P-80A。初期生産型。
- XP-80R:高速度試験機。P-80Aより1機改造。1947年に速度記録を樹立。
- RF-80A:F-80Aの偵察機型。旧称FP-80A。
- F-80B:エンジンなどを強化した型。240機製造。
- F-80C:戦闘爆撃機型。エンジン・主翼の強化。798機製造。
- RF-80C:F-80Cの偵察機型。旧称FP-80C。
- TF-80C:練習機型。後にT-33と改称。