GTL
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GTL (gas to liquids) とは、国際石油資本であるシェル社が開発した、天然ガスを材料として一酸化炭素と水素に分解後、分子構造を組み替えて液体燃料を作る過程である。
無色、無臭で、軽油・灯油の代替品として使用可能である。大気汚染の原因となる硫黄やアロマ分(芳香族)などの不純物をほとんど含まないため、石油由来の製品に較べ、排気ガス中の一酸化炭素や窒素酸化物などの有害物質を減少させることができることが特徴。環境への負荷が小さい次世代エネルギーとして注目されている。原油よりも可採年数が長いとされる天然ガスを利用するため、長期の安定供給が可能とみられている。また、氷点下162℃の低温で取り扱う液化天然ガス (LNG) とは異なり、常温での流通と使用が可能。
2006年現在、シェルではマレーシアに商業用プラントを保有・稼働し、燃料の供給を行っているが、2010年を目途にカタールで世界最大規模の生産設備を稼働させ、より一層の普及を図る方針と伝えられる。日本でも、石油資源開発や石油天然ガス・金属鉱物資源機構などで研究が進められている。
[編集] 日本における使用例
2005年に開催された愛知万博では、ハイブリッド・シャトルバスの燃料として、日本で初めて、ディーゼルエンジンにGTL燃料が用いられた。このシャトルバスは、万博八草駅(現・八草駅)と万博会場間などを走行した。
2001年昭和シェル石油はGTL技術を用いたE灯油を鎌倉市で試験的に発売。2004年12月4日より、横浜市および鎌倉市の一部地域でテスト販売をした。横浜市、横須賀市、逗子市に範囲を広げ、会員限定で販売。2005年には、E灯油をエコ灯油という商品名を代えて東京都、世田谷区神奈川県藤沢市、厚木市などに範囲を広げ、販売した。2006年、川崎市、小田原市を除く神奈川県内一部地域、群馬県内の一部地域で地域限定で販売を行った。カタールのGTLプラントの稼動に合わせ、順次販売地域を拡大する方針。