IKA
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IKA(Industrias Kaiser Argentina/インドゥストゥリアス・カイゼル・アルヘンティーナ){アルゼンチン・カイザー・インダストリーズ}は、アルゼンチンにかつて存在した自動車メーカー。
1955年、ウィリス=オーバーランド社買収によりジープなどの生産に軸足を置き、乗用車からの産業撤退を決定したアメリカ合衆国のカイザー・インダストリーズ社傘下のカイザー・モーターズ社から、従来のカイザー車用の乗用車生産設備などを移転し、アルゼンチン拠点として発足した。本国で生産していた「エアロ・ウィリス」や「ヘンリーJ」等の乗用車、そしてジープとその変型車「エスタンシエラ」等を製造した。
1960年にアルファロメオ1900ベースの6気筒セダン「ベルガンティン」を製造する一方で、フランスのルノーが提携の手を延ばしてルノー・ドーフィンを製造するなどより小型な車の市場にも進出、さらにルノー 4、ルノー 6も製造してアルゼンチン市場に浸透し、1968年にルノーの主導権の下で社名が「IKAルノー」となった。(一方、アメリカン・モーターズは1970年にジープの製造権を獲得した。)
1966年、本国でカイザーと提携していた(?)アメリカン・モーターズの「ランブラー・アメリカン」をイタリアのピニンファリーナにアレンジさせた中型車「トリノ」が登場。4ドアセダンと2ドアクーペ(翌年登場)からなり、3リットルと3.8リットルの直列6気筒エンジンを搭載し、最速モデルは200km/h以上の最高速度を得ていて現地のレースシーンで活躍、ドイツのニュルブルクリンク(旧コース)でのレースに遠征もした。またクーペにはイタリア製GTを思わせる木目調ダッシュボードを備えたモデルもあった。このトリノは、微小な変更を繰り返しながら1982年まで製造された。
1977年以降は社名を「ルノー・アルヘンティーナ」と改め、以来現在まで各種ルノー車を本国とは数年遅れで製造している。
[編集] 参考文献
『自動車アーカイヴVol.9 70年代のフランス・その他の諸国車編』二玄社刊 ISBN4-544-91010-2