ISBN
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ISBN (アイエスビーエヌ、International Standard Book Number) は、世界共通で図書(書籍)を特定するための番号である。日本語に訳すと国際標準図書番号となる。
日本では、日本図書コードや書籍JANコードとして使用されている。
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[編集] 特徴
ISBNは各種の書籍(単行本、漫画など)の他、CD-ROM、カセット、マイクロフィルムなどに適用される。しかし、ウェブサイト、広告物、ゲームなどには国際的に適用されない。また、日本などでは、ムックを除く雑誌も適用されない。
[編集] 2006年まで(旧規格)
ISBNは10桁のコードで表され、通常4つのパートからなった。なお、この、10桁であらわされる(旧規格)ISBNコードを、現行の13桁のISBNに対してISBN-10と呼ぶ事がある。
[編集] 概要
ISBN-10は、
- ISBN● - AAAA - BBBB - C
のように表示される。しかし、●、A、Bの各部分の桁数は決まっておらず、合計で9桁(必ず1桁のC部分を入れると10桁)の範囲内で増減する。
それぞれの部分の意味は、
- ●部分 - 「グループ記号」:出版物の出版された国、地域、言語圏。国別の記号というより、言語別の記号に近い。桁数は、そのグループの出版点数によって異なる。
- 英語圏は0と1
- フランス語圏は2
- ドイツ語圏は3(ドイツの他、オーストリア、ベルギー、スイスのドイツ語圏を含む)
- 日本は4
- 旧ソビエト連邦は5(ロシア。ロシア以外の国では、ベラルーシは985、ウクライナは966など、他の記号も使用)
- 中国は7(香港は962)
- その他の国々は8番台が2桁(チェコ・スロバキアは80など)。9番台が2~5桁(トルコは9944など)を使用している。
- A部分 - 「出版者記号」:桁数は、出版社の出版点数などによって異なる。
- B部分 - 「書名記号」:出版物に固有の番号。原則として図書の版ごとに付与。
- C部分 - 「チェックデジット」:検査数字。入力した際に誤りがないか確かめるためのもの。0~9、Xが使用される。(Xは数値10をあらわす。)
[編集] チェックデジット
- 旧規格のISBN(ISBN-10)のチェックデジットはモジュラス11 ウェイト10-2という計算法にて算出される。
- (チェックデジットを除いた左側の桁から10、9、8・・・2を掛けてそれらの和を取る。和を11で割って出た余りを11から引く)
- ここで、例として ISBN4-10-109205-□ のチェックデジット(□部分)を求めてみる。
10×4 + 9×1 + 8×0 + 7×1 + 6×0 + 5×9 + 4×2 + 3×0 + 2×5 = 40 + 9 + 0 + 7 + 0 + 45 + 8 + 0 + 10 = 119 119 ÷ 11 = 10 あまり 9 11 - 9 = 2
- よって、このISBNのチェックデジットは 2 である。
- なお、計算結果が 10 になった場合、10 の代わりに X(アルファベットの大文字) を用いる。
[編集] 2007年以降(現行規格)
ISBNは2006年までは10桁であったが、一部のグループ記号(英語圏)で、発番可能な出版者記号(前項例示のA部分)の枯渇が目前となったため、13桁ISBNの規格が制定され、2007年1月1日に完全施行された。(と同時に、過去に発番された10桁ISBNの無効化も行われた。なお、無効と言ってもあくまで規格上の話である。書店での書籍検索・注文など、実際にISBNを利用する場面においては、過去の10桁ISBNも併用できるよう便宜が図られている場合がほとんどである。)
本年以降の新刊書には当初から13桁の新規格ISBNが付けられており、10桁ISBNの新たな発番は行われない。また、過去に発番された10桁ISBNについては、その頭に978-を挿入し、チェックデジットを計算しなおした13桁のほうを正規のISBNとして取扱う。
- 例 (旧ISBN) 4-00-310101-4 → (現行ISBN) 978-4-00-310101-8 (チェックデジットの計算法は後述)
なお、現行規格によって表されるISBNを、旧規格のISBN(ISBN-10)に対してISBN-13と呼ぶ事がある。
[編集] 概要
ISBNは13桁のコードで表され、通常5つのパートからなる。
- ISBNnnn - ● - AAAA - BBBB - C
●、A、Bの各部分の桁数は決まっておらず、合計で9桁の範囲内で増減する。
- n部分 - 「接頭記号」:nnnは978または979のいずれか(数字3桁)である。
- ●部分 - 「グループ記号」:2006年以前と基本的に同じ。上記解説を参照。但し、接頭記号が異なれば、グループ記号が同じでも異なる言語圏を指す可能性がある事に留意。
- A部分 - 「出版者記号」:2006年以前と同じ。上記解説を参照。
- B部分 - 「書名記号」:2006年以前と同じ。上記解説を参照。
- C部分 - 「チェックデジット」:0~9の数字1桁が入る。以前のISBNのチェックデジットとは計算法が異なり、10桁→13桁に変換する際は再計算が必要となる。
各パートの間は、ハイフン(またはスペース)で区切りを付けるのが正式な表示法である。(区切りを付けなくても書籍を特定する上での問題はない。)
[編集] チェックデジット
- 現行規格のISBN(ISBN-13)のチェックデジットは、JANコードと同じく、モジュラス10 ウェイト3・1(モジュラス10ウェイト3とも呼ばれる)という算法にて算出される。
- (チェックデジットを除いた一番右側の桁から順に3、1、3、1・・・を掛けてそれらの和を取る。和を10で割って出た余りを10から引く)
- ここで、例として ISBN978-4-10-109205-□ のチェックデジット(□部分)を求めてみる。
9×1 + 7×3 + 8×1 + 4×3 + 1×1 + 0×3 + 1×1 + 0×3 + 9×1 + 2×3 + 0×1 + 5×3 = 9 + 21 + 8 + 12 + 1 + 0 + 1 + 0 + 9 + 6 + 0 + 15 = 82 82 ÷ 10 = 8 あまり 2 10 - 2 = 8
- よって、このISBNのチェックデジットは 8 である。
[編集] 日本国内における運用
日本では、ISBNに、Cコード(読者対象、発行形態、内容を分類した4桁の数字)や本体価格を加えた日本図書コードが、1981年から徐々に導入され、図書の裏表紙などに表示され、図書館などで使用されている(導入前は、1970年に制定された日本独自の書籍コードが使用されていた)。
また、日本図書コードを JANコードの体系に組み入れた書籍JANコードが1990年に制定されており、2段のバーコードで表示され、書店などの出版流通で使用されている(978-か979-から始まる1段目がISBN用。2段目はCコードなどを表示)。これらのコードの表示は強制ではなく、登録費用もかかるが、日本の新刊ではほぼ100%表示されている。
日本では2007年1月以降に新刊として発売される書籍から、これまでの10桁の表示の前に978-を挿入(の上、チェックデジットを再計算)した13桁を表示する。改定後のISBNは、これまでの書籍JANコード(の1段目)と完全に一致する。 なお、既刊書のISBN桁数書き換えは、可及的速やかに行うこととされているが、書籍JANコードが表示されている限り流通上の支障は相当期間生じないため、書き換えのタイミングは出版者に任されている。すなわち、当面の間、10桁表記と13桁表記の書籍が混在することとなる。
[編集] 歴史
現在のISBNは1966年、英国で開発された規格が元になっている。当初SBNと呼ばれたこの英国内向けの規格は国際標準化機構 (ISO) で1970年に採用され (ISO 2108)、ISBNとなった。
日本では、1988年にJIS X 0305として日本工業規格になっている。出版関連の団体によって設立された日本出版インフラセンターに所属する日本図書コード管理センターが、管理している。
なお、出版物(本)に関する国際標準化機構の国際規格は、ISBNの他に、逐次刊行物(雑誌)のシリーズごとに付与される国際標準逐次刊行物番号(ISSN)があり、日本では国立図書館である国立国会図書館が管理している。
[編集] 外部リンク
- 国際ISBN機関(英国ロンドン。かつてはドイツのベルリンに在った。)
- 日本図書コード管理センター - ISBN規格改定のお知らせ など。
- CyberLibrarian
ウィキペディア上でISBNを利用する際の情報についてはWikipedia:ISBNを参照。