MASTERキートン
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『MASTERキートン』は、浦沢直樹、勝鹿北星著のオムニバス形式の漫画。全18巻。後にアニメ化もされている。
目次 |
[編集] ストーリー
ロイズの保険調査員(オプ)である平賀・キートン・太一は、オックスフォード大学を卒業した考古学者であると同時に、元SAS(英国特殊空挺部隊・対テロ活動で知られる)のサバイバル教官でもある。フォークランド紛争や在イギリスイラン大使館人質事件ではSAS隊員として活躍したとされる。父は日本人(父・太平は動物学者)、母はイギリス人。オックスフォード大学時代に日本人女性と学生結婚し、一女をもうけたが、離婚。別れた妻は数学者として大学教員を勤めている。本人は考古学の道を進みたいと思っているが、職もままならない。発掘費用のために調査員を続けるが、過去の経歴からいろいろな依頼が舞い込み、数々の危険な目にも遭ってしまう。
冷戦前後の社会情勢、考古学、そしてキートンをめぐる人々のドラマが絡み合った秀作。
[編集] 主な登場人物
人物描写に定評がある浦沢漫画の中でも、特に秀逸な描写で知られている作品である。端役にあっても深く掘り下げられて描かれ、バックボーンを想像することができる。 ※人物名横の(声)はアニメのキャスト。
- 平賀・キートン・太一 (声:井上倫宏)
- 動物学者の父太平と、イギリス・コーンウォール地方の名門キートン家の息女パトリシアとの間に出来た日英ハーフ。イギリス国籍。
- オックスフォード大学ベーリアル校に在学中に、別れた妻への未練を断ち切るため、陸軍に志願(イギリスは徴兵制度を1960年に廃止している)。SASで数々の戦果を上げ、サバイバル教官としても活躍した。軍当局は当人を士官候補生として扱ったが、軍隊が「あまりに現実的すぎて」自分には向かないと感じ、曹長のときに名誉除隊を選ぶ。とはいえ、サバイバルのスペシャリストであることからフォークランド紛争の際は予備役として待機命令を受けたという。この作品の中でも、湾岸戦争で英国政府から王族救出の特命を受け、イラクへの潜入作戦に従事している。ロイズ保険組合の調査員をしながら、遺跡発掘の足がかりとするために考古学者として大学への就職を探っている。本人の希望は、師であるユーリー・スコット教授も提唱した「西欧文明ドナウ起源論」の証明をすること。専門の考古学に限らず歴史全般に造詣が深く、博覧強記と呼ぶにふさわしい知識人である。日本の自宅にいる時以外は、発掘作業中であっても基本的にスーツを着ている。
- ロンドンへ留学していた日本人女性の数学者と結婚するが離婚。父と同様バツイチの独身である。見た目は柔弱そうだが、いざとなるとテロリストや犯罪組織を相手に熟練した戦闘力を発揮。武器を携行せずとも現場にあるさまざまなものを効果的に利用して危機的状況から生還する。しかし「罪を憎んで人を憎まず」という性格から、たとえ敵対者を打ち倒しても、相手がそれで窮地に陥ってしまったら助けずにはいられない人道家でもある。
- 格闘も器用にこなすが、あるいはいちばんの特技は投擲かもしれず、足下の石や雪玉、自分の革靴、はてはつららまで、プロ野球の投手顔負けのコントロールで標的に命中させている。火器の扱いも完璧だと思われるものの、危機に瀕しても銃口を人間には向けられない臆病ともとれる一面も持ちあわせている。実際、ある案件での逃走中、追手を直接撃たずに足止めさせることだけを選んだ結果、油断によって同行人を死なせてしまったこともある。
- 拾得物をすぐポケットに入れる癖がある。
- 借り物のクルマは何台もオシャカにしている。
- 平賀太平 (声:永井一郎)
- 太一の父で動物学者。パトリシアと結婚し息子太一をもうけるが離婚。もう老人なのに若い女に手を出すなど、好き勝手に暮らしているように見える。太助というチャウチャウの混じった雑種犬を飼っている。一見すると多少茶目っ気の多い凡庸な人物のようだが、その実深い洞察力と人間としての器の大きさを持ち、しばしば主人公の太一をも顔色なさしめる活躍をする。元軍属ながら性格が柔和という点で息子の太一と共通する。モデルは喜劇俳優の益田喜頓。
- 平賀百合子 (声:桑島法子)
- 太一の娘。高校生。母親譲りの気の強さや現実的な面と、父親譲りの堅実さやロマンチストな面を、理想的なバランスで兼ね備える利発な少女として描かれる。父親のお人好し過ぎる所は「尊重すべき欠点」と見なしている模様で、当人もややもすればお節介焼きである。
- 「百合子」の名前は、キートンの恩師 ユーリー・スコット教授が由来である。
- オックスフォード大学への進学を計画する。
- チャーリー・チャップマン (声:菅原正志)
- 太一の幼なじみの有名探偵。イタリア系。当人が仕事に熱心であるため、勤勉とは言い難い太一に苛立ちを覚えることもあるが、その一方で自分以上に度胸の据わっている太一を認めている。仕事の上ではライバル視しているが、いつも推理で太一に一歩及ばないことが悩みの種。また、母親に頭が上がらない。なおダンディを地でいくそのスタイルは、嫌味でもなく爽やかである。モデルはジャン・レノ。
- ダニエル・オコンネル (声:辻親八)
- 太一の務める探偵事務所の共同経営者(相棒)。女性に弱く、振られる事も多いが、ファッションには一寸うるさい一言家で、人生を達観している所もある。荒事の才能は皆無に等しいが、実務に関しては相応の手腕がある模様で、小さな探偵事務所の経営が行き詰まらないのも彼のお陰といえよう。ただ、太一の能力を信頼しすぎるがゆえか、しばしば非常に難しい仕事を取ってくるため、煙たがられることも……。モデルは元ジェネシスのフィル・コリンズ。
- ハドソン
- 元ロンドン警視庁・ホーンズロウ警察署の敏腕警部。とある事件でキートンと知合い、定年退職後ダニエルの探偵事務所に顔を出すうちに、ルーマニアでの事件に巻き込まれる。キートンが念願のドナウ河発掘に従事するのと入替わりで、ダニエルのもとで仕事を担当するが、強引過ぎるやり方でギャラ以上の損害賠償を請求されるほどである。
- ナレーション (声:キートン山田)
[編集] その他登場人物について逸話
浦沢自身インタビュー(ビッグコミックオリジナル1994年6月20日号)で語っている通り,海外の映画俳優・歌手等をモデルにすることが多い。どの登場人物もよく雰囲気を掴んでおり,浦沢の画力の高さを物語っている。
- ピーター・オトゥール…ノーフォーク公リチャード殿下(『豹の檻』)
- アーネスト・ボーグナイン…フォスター(『臆病者の島』)
- フランシス・フォード・コッポラ…トニィ・スタンレイ(『失われた天才監督』)
- (レイジング・ブルの頃の)ロバート・デ・ニーロ…コナリー(『穏やかな死』)
[編集] アニメ版
アニメ版のMASTERキートンは、1998年に原作の全144話の一部を全24話の一話完結式で映像化して日本テレビ系列で放送された。また、ビデオ化の際に新たに15話が制作され、計全39話になっている。原作を忠実に、且つクオリティの高い映像として再現したアニメである。本放送と再放送ではオープニング・エンディング共に主題歌が異なる。
2007年3月10日よりNHK衛星第2テレビジョン(衛星アニメ劇場)にてOVA版も含む全39話が再放送中。
[編集] サブタイトル
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[編集] 絶版問題
週刊文春(2005年5月26日号)の報道によると、マスターキートンの著作者は浦沢直樹、勝鹿北星となっているが、物語の途中から勝鹿は関わらなくなり、浦沢と出版社の編集者が中心となって物語作りが行われたという。印税は二人で折半しているが、これが問題になり交渉。
結局印税は半分ずつの折半のままで勝鹿の名を小さく表示することで決着したが、勝鹿の死後、これに対して勝鹿と親しい雁屋哲が小学館に抗議。結局、2005年5月現在増刷が中断されている模様。ただ、浦沢の他作品に比べるとやはり特殊な位置にある作品であり、勝鹿北星が少なからず関わっていたという事実は窺える。
[編集] 外部リンク
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