Microsoft Visual Studio
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開発元: | マイクロソフト |
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最新版: | 2005 SP1 (8.0) / 2005年11月17日(日本語版), 2006年12月18日(SP1) |
対応OS: | Windows 2000/XP/Server 2003/Vista |
プラットフォーム: | x86, x64 (WOW64) |
種別: | 統合開発環境 |
ライセンス: | プロプライエタリ (Microsoft EULA) |
公式サイト: | Visual Studio ホームページ |
Microsoft Visual Studio(マイクロソフト ビジュアル スタジオ)はマイクロソフトのソフトウェア開発製品群及びそれらを管理する統合開発環境である。これを用いることによりプログラム、ウェブサイト、ウェブアプリケーション、ウェブサービスなどの作成に使うことができる。作ったものを動かせる環境も、Windows、PocketPC、スマートフォン、ワールドワイドウェブと幅広い。
Visual Studioには次の製品が含まれている。
バージョンによってはSQL Serverを含むことがある。
過去には、次の製品が含まれていたことがある。
- Visual InterDev - ウェブページ作成のためのアプリケーション。Active Server PagesとWebスクリプトの編集ができた。
- Visual J++ - Java開発環境。
- Visual FoxPro - xBaseプログラミング言語環境。今もVisual Studioと関連はあるものの、Visual Studio本体からは独立している。
目次 |
[編集] 歴史
[編集] Visual Studio 97
1997年、最初のVisual Studioが発売された。これにはVisual Basic 5.0とVisual C++ 5.0のほか、Visual J++ 1.1、Visual FoxPro 5.0、Visual InterDev、そしてMSDN ライブラリが含まれていた。Visual Studio 97にはプロフェッショナルとエンタープライズという2つのエディションが存在した。
Visual Studio 97は、複数のプログラミング言語を単独の開発環境に統合しようというマイクロソフト初の試みであり、実際Visual J++、InterDevとMSDNライブラリはDeveloper Studioと呼ばれる同一の環境を使用した。しかしVisual BasicとVisual FoxProは統合されなかった。
[編集] Visual Studio 6.0
次のバージョンであるVisual Studio 6.0は1998年にリリースされた。以前は1.1だったVisual J++と、1.0だったVisual InterDevを含む構成パーツの全てのバージョンナンバーも6.0に移行した。このバージョンはマイクロソフトの開発フォーカスが.NET Frameworkへ移行するまでの4年間に渡ってマイクロソフトの開発システムのベースとなった。
Visual Studio 6.0は最も多くのVBプログラマが理解したVisual Basicの最後のバージョンだった(以降のバージョンは.NETをベースとしたVisual Basic .NETという全く異なるものである)。これはまたWindowsに深い依存性があり、Sunのバージョンと非互換のJava言語への独自拡張を含むVisual J++の最後のバージョンだった。これはSunがマイクロソフトを訴える原因となった。和解条件の一部として、マイクロソフトはJava Virtual Machine向けのプログラミングツールを販売しないことになった。
マイクロソフトの長期目標はそのツールを1つの環境下に統合することであったけれども、このバージョンは実際にはVS97のほかにもうひとつの開発環境を含んでいた。Visual BasicとVisual FoxProが統合されていたのに対し、Visual J++とVisual InterDevはVisual C++などの開発環境から分離していた。
[編集] Visual Studio .NET (2002)
2002年には、VisualStuido .NETをリリースされた(ベータバージョンはMSDNで2001年にリリースされた)。現在ではVisual Studio .NET 2003と区別するため、マイクロソフトはVisual Studio .NET 2002と呼称している。
もっとも大きな変更は.NET Frameworkを使用したマネージドコードの開発環境の採用である。.NETを使用したプログラムの開発は(たとえばC++のように)マシン語ではなくMSILまたはCILと呼ばれる中間言語へコンパイルされる。MSILアプリケーションが実行されるとき、適切なプラットフォームのマシン語へ実行時に逐次コンパイル (JIT)されるため、マルチプラットフォーム上でコードの互換性がある。MSILへコンパイルされたプログラムは共通言語基盤 (CLI)を実装したプラットフォーム上でのみ実行される。MonoやDotGNUのようなマイクロソフト以外の.NET実装を利用してMSILプログラムをLinuxやMac OS Xで走らせることが可能である。
マイクロソフトが作成した新しいプログラミング言語であるC#は.NETをターゲットにしている。またVisual J#というVisual J++の後継も公開された。Visual J#のプログラムはJavaの言語シンタックスを使用するものの、Visual J++のプログラムと異なり、Visual J#のプログラムはその他のすべてのJavaツールがターゲットとしているJava仮想マシンではなく.NET Frameworkのみをターゲットとしている。
Visual Basicは新しいフレームワークにフィットするように劇的に変化し、新バージョンはVisual Basic .NETと呼ぶようになった。マイクロソフトはまたC++プログラマが.NETプログラムを作成できるマネージ拡張と呼ばれる拡張をC++に加えた。
Visual Studio .NETは(.NET FrameworkのパーツであるWindows Formsを利用して)Windowsアプリケーションの作成、(ASP.NETとWebサービスを利用して)Webアプリケーションの作成、そしてアドインを使ってポータブルデバイスをターゲットとするアプリケーションの作成に利用できる。
Visual Studio .NETのIDEは部分的に.NETを使用するように書き換えられた。Visual FoxProを除き、全ての言語の開発環境が一つに統合された。Visual Studioの以前のバージョンと比較してより綺麗でよくまとまっている。また未使用時には自動的に隠れるツールウィンドウによってよりカスタマイズ可能だ。
またこのバージョンよりVisual FoxProはバンドルされなくなり現在は別売りされるようになった。
Visual Studio .NETの内部バージョンは7.0。
[編集] Visual Studio .NET 2003
2003年、Visual Studio .NET 2003と呼ばれるマイナーアップグレードがリリースされた。これと区別するため従来のVisual Studio .NETはVisual Studio .NET 2002と呼ぶこととなった。このVisual Studio .NET 2003は.NET Framework 1.1へのアップグレードを含んでいる。またASP.NETまたは.NET Compact Frameworkのいずれかを使用してモバイルデバイスのプログラムを開発するビルトインサポートが付属している。Visual C++コンパイラは特にテンプレートの部分特殊化でより標準に準拠するように改善された。そしてIDEはないものの、後にVisual C++ Toolkit 2003と呼ばれるVisual Studio .NET 2003に搭載されたものと同じC++コンパイラの無料バージョンが公開された(現在既に公開は終了しており、現在はVisual Studio 2005 Express Editionに取って代わられている)。
Visual Studio .NET 2003はAcademic、Professional、Enterprise Developer、Enterprise Architectの4つのエディションで販売されている。Enterprice Architect editionは統一モデリング言語 (UML)ベースの、アプリケーションアーキテクチャのビジュアルプレゼンテーションの作成に特化したMicrosoft Visioのモデリングテクノロジーの実装を含んでいる。より大きな開発チームのコーディングスタイル標準化と、コンポーネント使用法やプロパティセッティングに関するポリシーの強制に役立つ「Enterprise Templates」もまた導入された。
2006年9月15日、Visual Studio 2003のService Pack 1がリリースされた。
Visual Studio .NET 2003の内部バージョンは7.1。
[編集] Visual Studio 2005
Visual Studio 2005(コードネーム:Whidbey、内部バージョン:8.0)は2005年11月にリリースされた。Visual Studio 2005では.NETという俗名は外されたが、バージョン2.0にアップグレードされた.NET Frameworkを引き続き主な対象にしている。
本バージョンの.NET Frameworkに追加された最も重要は機能はC++のテンプレートに非常に似ているジェネリクスの導入だった。これは実行時ではなくコンパイル時により沢山のバグを捕捉する可能性を増やす。C++はまたManaged C++を置き換える予定であるC++/CLIの追加で同様のアップグレードを得た。
Visual Studio 2005のその他の新機能として、実装前にアプリケーション設計を検証できる「Deployment Designer」、ASP.NET 2.0と統合されたWEBパブリッシングの改善された環境、アプリケーションのパフォーマンスを様々な種類のユーザー負荷の下で確認するための負荷テストを含んでいる。
Visual Studio 2005はまた64-bit拡張がサポートされた。Visual C++ 2005はx64(AMD64とIntel 64)、IA-64 (Itanium)へのコンパイルをサポートする。Visual Studioの以前のバージョンは64-bitをサポートしておらず、Microsoft Windows SDKが64-bitコンパイラとVisual C++ 6.0ライブラリの64-bitバージョンを含んでいただけであった。ただしVisual C++ .NET 2003ライブラリの64-bitバージョンはマイクロソフトに電子メールを送信することで入手可能だった。
Visual Studio 2005は過去のバージョンとは大きく異なるExpress、Standard、Professional、Tools for Office、Team Systemという複数のエディションが存在する。それぞれのバージョンの比較一覧についてはマイクロソフトのVisual Studio 2005機能比較を参照。これらに加えてTeam Suite、Team Edition for Software Architects、Team Edition for Software Developers、Team Edition for Software Testersの4つの個別のTeam SystemエディションがMSDN Premium Subscriptionsと共に提供される。Team Edition for Database Professionalsは現在コミュニティテクノロジープレビューであり、ライセンスの際にはTeam Editionプロダクトから独立してTeam Suiteの一部となるだろう。
Team Systemは大規模開発組織のサポートを含んでおり、Software Architects、Developers、Testersとは異なるエディションになる。
Tools for the Microsoft Office SystemはOfficeの拡張を作成できる。
Express Editionはアマチュア、ホビー、小規模ビジネス向けに実装されており、マイクロソフトのWebサイトから無償でダウンロードできる。各言語毎に(VB、VC++、VC#、VJ#)Express Editionがあり、それぞれWindows上の.NET Frameworkを、また同様にVisual Web DeveloperはASP.NETのウェブサイト作成をターゲットとしている。Express Editionはより上位の開発ツールとそのほかのエディションに含まれる機能の多くが欠けている。たとえば64ビット対応や、Windows SDK、リソースエディタ、リファクタリング機能の一部などがそうである。
Express Edition以外は、各言語毎に購入することはできない。
2006年12月18日、Service Pack 1がリリースされた。
.NET Framework 3.0に対応させるための拡張(WCF & WPFとWF)が現在、配布されている。
Windows Vistaで動作させるには、サービスパックが必要。
[編集] コードネーム Orcas
Visual Studio 2005 の次のバージョンであり、2007年出荷予定である。Windows Vistaや.NET Framework 3.0に対応し、LINQ、C# 3.0、VB 9.0などを搭載している。
現在、Community Technology Preview(CTP)がダウンロードできる。