Selective Sequence Electronic Calculator
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SSEC(Selective Sequence Electronic Calculator、順序選択式電子計算機)は、IBMが開発した電気機械式計算機で、1948年1月に完成した。
SSECは Harvard Mark I で虚仮にされたIBMが威信をかけて開発した計算機であり、大規模なものとしては最後の電気機械式計算機である。プログラム内蔵式コンピュータではないし、完全に電子化されてもいない。開発責任者はウォレス・エッカート。完成後、ニューヨークのIBM本社ビルの一階ショールームに設置され、道行く人々からその動作する様子が見えるようになっていた。公式なデモンストレーションが行われたのは1948年1月27日である。1952年8月まで動作し、ショールームには新たにIBM 701が設置され、SSECは破棄されたという。
SSECは真空管と電気機械式リレーを共に使用している。約13,500本の真空管は演算装置と8本の高速レジスタに使われた。レジスタのアクセス時間は 1ミリ秒以下である。また、21,400個のリレーは制御装置と150本の低速レジスタ(アクセス時間は20ミリ秒)に使われた。SSECの演算装置は電子乗算器 IBM 603 を改造したものである。加算には 285マイクロ秒、乗算には 20,000マイクロ秒かかり、これはHarvard Mark Iの100倍の高速さであった。
SSECは当時としては信頼性が高く、8時間に一回程度のエラー頻度であった。アメリカ原子力委員会による計算や惑星の軌道計算などに使われた。SSECは月の位置の計算にも使われ、そのデータは1969年のアポロ計画のフライトプラン策定の際にコースを決めるのに使われた。
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