SPV
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SPV(Special Purpose Vehicle)は、信託や特定目的会社等のように自らは利益獲得などの目的を有することなく、単に投資家からの資金調達や資産の小口化のための道具立てあるいは器の総称である。SPVはSPE(Special Purpose Entity)とも呼ばれる。
また、SPVのうち、法人格を有するものはSPC (Special Purpose Company)と呼ばれ、信託はSPT(Special Purpose Trust)と呼ばれる。
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[編集] 特徴
- 導管体としての役割
- SPVは単なる資金調達のための器でしかないため、資産から得られる収益から調達金利や必要なコスト等を差し引いて残った利益に対して、課税されずに投資家、あるいはオリジネータへ還元する必要がある。
- 具体的には、常に純利益を0とする、もしくは初年度に大幅な欠損金を計上し、それ以降の期においてはその欠損金を利益で徐々に埋めていくようなスキームを構築することで実現する。
- 純利益を常に0とする方法では、会社の場合は匿名組合を用いて、利益を匿名組合配当として還元する方法や、特定目的会社の場合は税制優遇を利用して社員への配当を利益の90%以上行うことで実現する方法、信託を用いる場合は常に信託会計上のP/Lは0になるようになっているためにこれを実現することが出来る。
- 所有する資産の種類 - SPVが所有する資産は、一般的には以下の種類が上げられる。
- 金銭債権 - ローン、社債などのクレジット
- 不動産 - 土地、建物など
- コンテンツ等の著作権、版権等
- 事業(トラッキングストックの様なもの)
- 上記資産を信託した場合の受益権 - 一般的には優先受益権、メザニン受益権のみをSPVに譲渡する
- デリバティブ等
- ※SPVが所有する資産は、原所有者であるオリジネータの倒産の影響を受けないようにする(譲渡資産の真正売買)。これは、格付を取得する際においてはかなり重要な要素である。また、これによって対象資産の収益のみに限定して投資を行うため、オリジネータにとってはノンリコースによる資金調達が可能になる。
- 資金の調達方法
- サービサーの必要性
- SPVは単なる器に過ぎないため、例えば金銭債権をオリジネータからSPVが譲り受けた場合であっても、SPV自体が元利金の回収を行うことは当然不可能である。そのため、通常SPVとオリジネータ間にはサービシング契約を締結し、オリジネータが当該債権の回収業務をSPVに代わって行うことが通例となっている。その際、オリジネータ兼サービサーに対してはSPVからサービシング報酬を支払う事が一般的である。
- しかし、サービサーがオリジネータであると言うことは、SPVに対してオリジネータから譲渡した資産であっても、当該資産がオリジネータの倒産リスクに晒されることとなる。これを排除するため、通常はSPVは1人(社)以上のバックアップサービサーを準備することが一般的である。これにより、オリジネータが破綻した場合であっても代わりにバックアップサービサーがサービシングを行う事でSPVが保有する資産を滞りなく回収することが出来る。(ただし、その場合でも資産の劣化は否めない)
- 会計上の留意点
- SPVのうち、SPCは、かつてオリジネータ等の連結対象外にするためのものとして利用されている部分もあったが、ライブドア問題等を鑑み、会計基準が変更となりつつある。
[編集] 主なSPV
[編集] 法人格のないSPV
- 信託(信託法、信託業法)
- 投資信託(投資信託及び投資法人に関する法律)
- 特定目的信託(資産の流動化に関する法律)
- 投資事業有限責任組合(投資事業有限責任組合契約に関する法律)
- 有限責任事業組合-LLP(有限責任事業組合契約に関する法律)
- 組合(民法)
[編集] 法人格のあるSPV(SPC)
- 特定目的会社(資産の流動化に関する法律(SPC法)) - TMKと略す。
- 株式会社,有限会社,合同会社,外国会社(会社法) - 株式会社をKK、有限会社をYK、合同会社をGKまたはLLCと略す。
- 投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律)
- 中間法人(中間法人法) - 倒産隔離のための持ち株会社として。CHと略す。