SyQuest
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SyQuest Technology, Inc. (SYQT, Inc.) は、米国にかつて存在したリムーバブルハードディスクの大手ベンダーである。
リムーバブルハードディスクとは、ハードディスクのディスク部をカートリッジに収め着脱可能としたリムーバブルストレージのひとつである。ハードディスク並みの速度と大容量が特徴で、かつて米国ではコンピュータ環境の入れ換えやバックアップ、大量のデータの受け渡し(特にファイルサイズが大きく、フロッピーにデータの入りきらないマルチメディア用)などにつかわれ、普及していた。ただし、日本では同じ目的のリムーバブルストレージとしてMOが普及していたため、あまり普及することはなかった。
SyQuestは1983年に創設され(創始者 Syed Iftikar 氏)、当初よりリムーバブルハードディスクを製造し、米国ではSyQuestというと、リムーバブルハードディスクの別名のように使われていた。さまざまな製品を発売し、市場の最前線を走りつづけていたが、1995年以降登場してくるSOHO市場(小さなオフィス/ホームオフィス)ターゲットに作られた新たな製品群(Zip、SuperDisk等)が出てくると、次第にシェアを奪われるようになった。
当時、SyQuestの経営悪化については、市場戦略を誤ったことが一因であるという解説がなされることが多かった。リムーバブルストレージには、大きく分けて2つの市場があった。
- SOHO市場--容量や性能はほどほどあれば十分、それよりも低価格であることが求められる。販売台数が多い。
- ヘビーユース市場--価格は高くてもいいが、容量や性能のいい物が選ばれる。販売台数は少ない。
リムーバブルハードディスクはハードディスクと同じ構造であるため、SOHO市場では上述のZIPやSuperDISKなどの競合製品にコストでかなわないことは明白で、どちらかというとヘビーユース向けに適した製品であったにもかかわらず、SOHO市場向け製品に対する過大な需要予測・過剰投資を行ったことが、SyQuestの経営悪化を招いたといわれていた。
一時は同じくフランスのリムーバブルハードディスクベンダーで、SyQuest互換ディスクの発売もしていたNomai社との株式交換による合併計画があったが、SyQuestの業績悪化を理由に合意に至ることはなかった。
その後、業績悪化のため、SyQuestは1998年11月2日に業務停止、1999年1月に自己破産した。 SyQuest資産は(知的財産権、在庫品、固定資産の全て。債権は含まれない)アイオメガに950万ドルで買収された。
倒産後もSyQuestのサイトでは、サポート、在庫品、再生品、各種ドライブメディアの販売が行われ、2006年4月現在もアクセス可能である。ただし、販売品は年々減少しており、現在はメディアがほとんどである。
[編集] SyQuestの代表的な製品
1枚のプラッター
5.25インチディスク
- SQ400 44MB
- SQ800 88MB
- SQ2000 200MB
3.5インチディスク
複数のプラッター
3.5インチディスク
- SyJet 1.5GB
- SparQ 1.0GB
発表済みであった製品
- Quest 4.7GB
SQ327、EZ135、ezflyerのディスクは、Nomai社製540MBリムーバブルハードディスクも含めて、PDC (Power Disk Cartridge) という統一ディスク規格も策定されていた。